第10話 (残酷な描写しかない)
「げぅ げはぁ げほ げほ ごほっ うぁあぁぁぁぁ」
地下一階は食料の備蓄、道具部屋である。一年分の米を備蓄できる倉庫、金蔵、装飾品などを置く部屋などがある。
そして地下二階は仕置き部屋と
主に
最後に
滅多に使われることはない。広さは十畳ほどで土間と板張り、畳という不思議な構成の部屋だ。
今朝早くに連れてこられた女は激しい責めに遭っていた。
今は、拘束されたまま水の中に頭をつけられている。
女はすでに衣服を剥ぎ取られていた。体中に鞭の痕がある。自分では立てないようで若い者三人で支えながらの水責めだ。
「どうだ、女の様子は」
女は女に容赦しない。理由はそれだけだ。
「六つの石を抱かせて鞭打ちと竹棒での殴打を半刻ほど、手足の爪も剥いでみました。今はご覧の通り、水での責めの最中ですよ」
よく見ると女の
「よし、水はいい」
「ふぅむ」
肉体的にはかなり追い詰められたようだ。土間に叩きつけられたあとはぴくりとも動かない。|若い者達は良い仕事をした。
ここからは情報を聞き出す必要があるので若い者達には上に戻ってもらうことになる。
「お京以外は上に戻っていつも通りの仕事をしていておくれ」
「お京、塩と唐辛子を取ってくれないかい」
「はい、どうぞ」
お京はこれから起こることを想像したのか、顔色が悪い。
塩と唐辛子の入った壺の蓋をあけて
「とりあえず、目を覚ましてもらおうか」
「ん! ぎゃああ!! ひぎぃ」
先程までぴくりとも動かなかった女が身体を跳ね上げそこら中を転げ回った。女の金切り声が部屋の中に響き渡る。
げぇ げ いぃ げぃいいぃぃ
すでに悲鳴にすらなっていない。
のたうち廻る女の腹の上に勘左衛門は足を置いた。すべての重さを片足にかけ、女の動きを封じ込める。
女は動けなくなったぶん、手足、頭をばたつかせて痛みを発散させようとする。女の身体は徐々に動きがなくなり、ぴくぴくと
女の目に少しだけ正気が戻る。
「さて、どこの誰に雇われていますか?それとも仕えていますか?」
しかし、女は意に
「おや、なかなか強情ですね。今なら楽に死なせてあげれるものを……」
しゃがみ込み唐辛子の入った壺を引き寄せる。足は女の上にのせたままだ。
「いますべてを話すと、食事も取らせ、それから楽に死なせてあげますよ。死ぬ前に楽しむ最後の機会です」
女は首を横へ向ける。
どうやら話す気はないらしい。
「貴女、
ぃきゃぁぁぁぁぁっぁ ぁぁぁぁっぁぁぁぁあがぅ ぃぃぃぃぃぃぃ
赤い塊が女の片目に乗せられた。
そして先程塩を塗られた左手にも擦り込まれる。
女は千切れんばかりに頭を左右に振り乱し悲鳴を上げた。足をばたつかせ、残った手は空を掴もうとする。
口からは泡が吹き出し、舌も飛び出している。
身体は跳ね上がろうとするが
若い者達の責めでもそれはしなかったのだが。
女が不意に動かなくなる。
「やれやれ、この程度で気を遣るとはね。まだ、大阪の戦いの時の
以前は西国の
それと同時に
絶えず笑みを絶やさず、
かの家康公でさえ、「事、尋問に関しては、
「さて、
「わたしが替わる」
ぶっきらぼうに言うと刀だけを持って二人の方へ歩いてきた。刀をぶら下げて女の横に立つと、切っ先を切断された腕の傷口に差し込んだ
*▽×!#◇>$
女の身体が
肉の焦げる匂いが辺り一面に漂う。
部屋の隅から
どうやらお京が吐いたようだ。
「辛かったら上に上がってなさい」
その間、
「
出口付近から
「や、いやぁ、お願いじまず。なんでもはなじなずから、らくにしてぐだざい」
限界を超えたようだ。
言葉が懇願に替わっていた。逆らおうという気は失せたらしい。
女は横たわったまま必死に言葉を紡ぎ出した。
死霊や妖怪を見るような眼だ。
すでに片目は大きく腫れ上がり、開くことすら出来ないようだ。
「話せ」
冷気を
「ああ、あた、あたしは
げほげほと咳き込み、目を閉じる。
水分が蒸発し目を開けられないようだ。
「あ、ありが……とうございまず」
よほど目が痛いのか瞬きを繰り返している。
「で、目的は?」
「そこ……までは、知りまぜん。親……方様と側近く……らいしか知らないはず……でず」
女はそこで一呼吸おいた。
呼吸がかなり乱れ、眼の火も徐々に薄れている。
「もう、じ、知ってることはないでず……」
「
「あ、あふよう? しっ、しら……ない。そんなものはあつ……かってないはず……」
早く楽にしてくれと言わんばかりに口をつぐんだ。
女の荒い呼吸以外、静寂が訪れた。
突然地下二階の扉が開き、階段から二人分の足音が聞こえてくる。
女が目を見開き大声を上げた。
身体ががたがたと震えている。
「ぜ、ぜんぶしゃべりまじだ。ううう、うそはいってない、本当でず。頼みまず、信じてくだざい、早く殺してくれぐだざぃぃぃ!」
女は戻ってきた一人が
「今、こちらに来ているのは、
その言葉に女は沈黙した。
また失禁していた。生き残りが近づいてくる。しかも直弟子。
歩き方からして素破なのは間違いない。これだけ責められて、肉体的、精神的に痛めつけられても叩き込まれた訓練は生きていた。しかし女にとってそれは悪夢でしかなかった。
「た、たのみまず、ぜんぶしゃべりまじだ。は、はやく、ころ、殺してぐだざいぃぃぃ。いっ、いや、いやだぁぁぁ!」
女は最後の力を振り絞ったように叫び声をあげた。
しかし、止めは刺されない。
ふと女の視界が暗くなった。目を開けると、笑鬼と無表情の女が立っていた。残った片目に絶望の色が浮かんでいる。
「
あとはお
時雨は女が話した内容を二人に説明する。内容を聞いて、一瞬だけお
「申し訳ありませんが、二人にしていただけますか」
お
「や、やくそくが、やくそくがちがう。ぜんぶ話したじゃぁないか。たのむ、たのむからぁ」
女はこれから起こることを予感したのか、約束が守られなかった事へ
どうにか逃げようとずるずるとお
「それは、私との約束でしょう。貴女は私がいるときに話さなかった。約束を果たす必要はないのではないかな」
女の目に涙が浮かんだ。瞬間、今までされるがままになっていた女が飛び上がり、地に足をつけた。
足が地面に着いた瞬間、両足が折れた。
すぐに身体が沈んでゆく。その身体が落ちる前に
「っあああああああああぁぁっぁぁぁぁ」
まだ熱を持ったままの刀身が身体に喰い込み、熱はそのまま体内に放熱されていた。痛みと熱による刺激が、女に悲鳴と絶叫を上げさせた。
全身をばたばたとさせ、時折身体を痙攣させる。足下は斜めに綺麗に切断され、傷口から血飛沫が飛び散る。
その様子を
二人はお
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