第15話心に沈めてた闇と病み







それは、小学6年生。


12歳の時だった。


他の女子よりも大人びて、美しい容姿のあかねはどの男子生徒のハートを撃ち抜いていた。


容姿だけでもなく、立ち振る舞いや謙虚な姿も好感が良かったのだろう。


それを一部のクラスのリーダー的な女子が気に食わなかったのだ。


ある日、登校してきたあかねの下駄箱をあかねがにいつもの様に下駄箱の扉を開くと、大量のラブレターが扉を開けると同時にドサーッと落ちてきた。


あかねは、またかとため息をついて、その大量のラブレターを用意していた紙袋に拾い集めた。


その時だった。


「いつも大変だね。」


そう声を掛けてきたのは、あかねと同じクラスで人気のある優男のメガネをした、少し天然パーマがかった髪が特徴的な少年だった。


あかねは少し顔を赤らめて、小さくありがとうと呟いた。


声を掛けてきたのは、あかねと同じクラスの甲斐浩。


「ずっと、声を掛けたかったんだけど、あかねさんって凄い人気だから。やっと、声を掛けられて良かったよ。」


「そっ、そんな!私、そんな人気者じゃないもん‼︎」


「こんなにラブレターをもらっても?」


いじわるそうに笑う浩。


あかねは急いで、残りの分を紙袋に入れると甲斐浩を残して、足早にその場を離れた。


この一件をある女子が見ていたのだった。



次の日、僕は1人で大好きな推しのみこりんが載った雑誌を隠れながら滅多に人が来ない学校の階段で雑誌を読んでいると、聞き慣れた声が廊下から聞こえた。


あかねだ!


「違う。私、そんな事思ってもない!」


3人のいかにも意地悪そうな女子にあかねは囲まれて、何か攻撃されているようだった。


「あんた!私が甲斐君の事好きなの知ってて、わざと声かけたんでしょ!」


「この尻軽女」


「ちょっと、モテるからって調子に乗ってんじゃないわよ!」


「きゃっ‼︎」


その時、1番気が強そうな女子があかねを突き飛ばして壁に背中を強打してしまう。


これはまずい!


僕は慌ててみこりんの雑誌を袋に片付けて、あかねを助けに行った。


「大丈夫⁉︎あかね‼︎」


「げっ!キモオタの池田‼︎なんで、あんたがここにいんのよ。」


キモオタは失礼‼︎


余計なツッコミはともかく。


「多人数で無抵抗な1人に言い寄るのは良くないだろ。何があったんだよ?」


「この女が、私の男を取ったの!」


「違う‼︎誤解よ‼︎」


あかねは必死に訴える。


「嘘つくんじゃねぇよ。」


女達は笑いながら僕らをあざら笑った。


「昨日、下駄箱で甲斐君と話してたろ?」


「は?それだけ?」


僕が、そういうと女はジタバタと足を踏み締めて怒りを振るわせた。


「私が甲斐君の事が好きなのを知ってて、手を出すからよ!いい?あんたは、痛い目に遭うっていうのを思い知らせてあげるから。」



そう捨て台詞を吐いて女達は去っていった。


そして、その日から甲斐君に手を出した卑怯な女。


いわば、あかねは美しいがゆえにいじめにあったのだ。




そして、僕はこの日から人の闇を知ったんだ。



















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