第9話 忘却の作者

 アリスのその姿。

 ハートのクイーンの似姿。


 しかし、

 禍々しい光、

 湛えるその蒼い瞳と、

 忘却の風に乱れる黄金の髪は、

 両者を決定的に隔てる。


 神木の人形とは、対極の色。


 忘却の風に、守られ地上に降り立つその姿に、オッチャンの姿は、イケメンに変わる。


「その姿であれば、世界中の女はお前の好き放題。我が力でその姿をお前に固定してやっても良い」


 揺れる……。

 グラつく……。

 オッチャンの心。


 

 それは、愛のヒミツ。

 それは、恋の誘惑。

 それは、甘い罠。

 解けない謎。

 生命の起源……

 生命の神秘……。


『それは、浮気の言い訳』

        m(_ _)mサクシャ


 しかし、オッチャン耐える。


 その強き意思、

 まるで素数の数え上げ公式の

 揺れを

 無謀にも抑え込み、

 止めようとするその項の右肩。

 のような努力。



『何のこっちゃ?』

       (^_^;)サクシャ


 イケメン変身。

 パスタマン現れる。


「僕は、お前を滅ぼす。お嫁チャンのために」


 凛?

 と、言い放つパスタマン。


 振り切る誘惑。


 オッチャン。

 ほんとうは、

 今までにモテた経験無く、

 想像力が、追いつかなかった……、

 だけ。


 モード、アンチョビー。

 アリスに急接近するパスタマン。

 さらに、チーズ時計回転。


 フライドポテトアンチョビー味攻撃始まる。

 とても美味しい多数のフライドポテト攻撃。

 アリスの視界を塞ぐ。

 その刹那、フォークの槍を投げる。

 ちょっとせこい攻撃。


 しかし、


 アリスの忘却の風に吹かれると、ポテトその姿を元に戻す。

 調理された事を忘れた収穫されたばかりの姿のジャガイモと、地面でピチピチはねるイワシ。


 忘却の風の中。

 全ては、原初の世界へ、

 その気になれば、恐竜の時代にも、巨大昆虫の時代にもこの世界を逆転させることが、出来る。


 無敵のアリス。

 

 ハートのクイーンの体内に隠れていた、ダイヤの13。

 その姿現す。


 アリスの反物質。

 既に、心は抜き取られ、

 彼女は、ただの兵器。


 触れれば、

 アリスに触れれば

 お嫁チャンは、消える。


 オッチャン、

 焦る。

 泣く。

 叫ぶ。

 

 禁断のチーズ時計。

 更に、高速回転。

 モード、ミモザ。


 ノンビリ見物中の

 パスタの神様慌てる。

 急いで、外出の準備。

 慌て過ぎて、

 左右の靴を別々のものを履く。


 モード、ミモザ。


『美味しいピザ』

      (^_^;)パスタマンナノニ……


 パニックのオッチャン、

 自らの身体を細分。


 熱〜イ、チーズの乗るコーンに変身。

 そのままアリスに全方位攻撃。


 忘却の風。

 チーズのコーティングを剥がすのみ。

 コーンの弾丸、

 アリスの身体中を貫く。


 アリス、その形を失う。

 しかし、オッチャン、いや、パスタマンの命懸けの攻撃も、形を奪っただけ。

 アリス、再びの形を取るため、ハートのクイーンに。

 その身体に侵入。


 その瞬間、

 光が、

 轟音が、

 その地を支配。


 アリスは、消滅。

 ハートのクイーンも消滅。


 ハートのクイーン。

 アリスの反物質を再びその身体に、

 ダイヤの13から回収。

 代わりに、彼女の記憶を与える。


 しかし、オッチャンへの恋心は、アリスに奪われ、回収出来ず。

 与える事は、出来なかった。


 爆発の余韻去り、

 静かに時は、流れる。


 蘇る意識。

 目覚めるダイヤの13。

 たおやかな、

 その動き。


 爽やかな秋風の中、

 僅かな切なさの匂い、

 見つける。


 正体が、思い当たらない美魔女。


 帰る場所の記憶、

 一人きりで暮らすには、大き過ぎる新しい家。

 何故あの家を選んだのか。

 不思議に思いながらも、その場を去る美魔女。


 その目に映る、オジイチャン。

 左右別々の靴を履き、

 ブツブツと何か言いながら、

 地面に落ちている何かを拾っている。


「まったく、無茶をしよる。あれを使う時は、ワシがいる時だと、あれ程言ったのにお主の全てのパーツを拾い集めるのは、大変なんじゃ。空中でなら、神通力でバラバラのお主を簡単に回収して、すぐに再生してやれたのに……。地面に落ちるとな。あっ!これゃ」


 猫が、地面に落ちている何かを拾い、咥えて持ち去っていく。


「それは、アヤツのお腹の部分じゃ」


 猫をヨタヨタ追う、その姿こそパスタの神様。

 ということを美魔女は知らない。


 秋風、ただ、心地よく吹き、

 白き月が、地上を覗いていた。


      おわり?


「あれ?今度はオッチャンは?」


『また、忘れていました』 m(_ _)mサクシャ


 再びの再開はあるのか?

 大きな謎を残して、

 作者は去って行った。


 いや、パスタの神様を手伝い、オッチャンの欠片を拾いに行った。


     とりあえず、おわり。


        m(_ _)mサクシャ


        

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パスタマン(美魔女戦争その後) @ramia294

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ