第3話 ♦のキング

 秋の日の昼下がり。

 寒くもなく、

 暑くもなく、

 お散歩日和の秋。


 ポコポコ歩くオッチャン。

 気持ち良くお散歩。

 プルプル揺れる、ポッコリお腹。

 どんなに鍛えても、ポッコリお腹。

 揺れるお腹が、痒くなる頃、

 そのお腹、ポリポリとかく、オッチャン、

 の、視界に、ひとりの見目麗しい、女性侵入する。


 美魔女。

 とびきりの美が、その女性から溢れ出し、オッチャン以外に、手をふる、投げキスをする。

 オッチャンは、無視する。

 見覚えのある、美魔女。


 あの時、戦争が終わり、恋の相手が存在しないと気づいた時、ふたりで泣いていた、

 美魔女。


「オッチャンは、いるよ」


 と言ったのに。


 気づかないふりを、

 いや、無視をされた、

 あの女性ひと

 オッチャンの胸の中、ちょっぴりチリチリと。


 美魔女、

 ウルトラアイ装着。


『いや、違った』

      m(_ _)mサクシャ


 ベネチアンマスク、装着。

 ダイヤの戦士に、変身。


 ミニスカワンピのダイヤの数は、13。

 強敵。

 その場の男子、フラフラと引き寄せられる。


 オッチャン、変身。

 若者の姿へ。

 お腹もへこむ。


 途端に、吸い寄せられる、

 ダイヤの13の魅力。

 強力。


 さらに、変身。

 二段変身。


 パスタマン

 登場。


 ダイヤの13。

 気づき、

 ダイヤを投げる。

 本物のダイヤモンド。


 何とも贅沢な攻撃。

 

 受け止めて回収。 

 全部で、おいくら?

 の、誘惑を振り切り、


 かわす、パスタマン。

 ペペロンチーノアタックの一束攻撃。


 高価な対価へのサービス、サービス!


 スパゲティの束をまとめていた、帯。

 風に舞う。


 攻撃の数、多く。

 ダイヤの13、

 その場から大きく移動。

 フワッと揺れたスカートの

 その……。


 動揺するオッチャン。

 いや、パスタマン。

 女性にモテたことない、欠点浮き彫り。


 生まれてから、あの戦争まで、男性にモテ続けてきた、ダイヤの13。

 オッチャンの硬直、

 いや、パスタマンの反応、

 理解出来ず。


 チャンス逃す。

 

 おふたりとも、チョットオバカ。

      (^_^;)サクシャモネ 


 多数のダイヤモンド、空中を漂い、太陽光増幅の熱線をパスタマンに、多方向から攻撃。


 パスタマン、

 周囲に、多数の鏡面コンキリエを浮かべ、熱線反射。


 さらに、多数のマカロニを空中に展開。

 熱々のホワイトソース攻撃をダイヤの13へ。


 ダイヤの戦士、素早く全て、かわす。


 その動き、速すぎ。

 パスタマンに、加速世界の住人だと気づかれる。


 絵札の、

 高位ハイクラスの白ウサギの戦士。

 加速世界へ、突入可能。

 世界を置き去りにして、

 見えない動きで、

 若き男子をハンティング可能。


 美魔女の魅力溢れる。

 ダイヤの13には、必要なかっただけ。


 しかし、どんなに速くても、動いている事に変わりなく、

 その動き、速すぎる故の、空気の圧縮熱も発生する。


 パスタマンの素早く拡散した小麦粉の中を移動中、移動の圧縮熱により、粉体爆発。

 ダイヤの13。

 自滅。


 かつて、

 この世界に、生まれた時より、

 その美貌、

 家柄、

 経済力、

 その知性

 全ての女性の憧れと嫉妬の対象だった、

 ダイヤの13。


 初めて敗れさる。


 オッチャンに。


 いや、あの時、

 あの忌まわしい戦争の終わった、あの時。

 若き男子がいないと、泣き叫んだ。

 あの、一度目の挫折。


 そして、今回。

 アリスの力をその身に宿しながら、二度目の挫折。

 敗北した。


 その姿は、爆発の中、焼けただれ。

 あの美しかった姿。

 面影も偲べず。


 パスタマン、

 ゆっくりと近づく。

 とどめを刺すため?

 近づく。


 ダイヤの13失神。

 その焼けただれた姿を

 優しく抱き起こす、元パスタマン。

 活動時間限界が来て、イケメン男子見かけ年齢、若いよ!に変わる。


 気づけば、イケメンの膝枕。

 覚醒のダイヤの13。

 最後に幸せが、訪れたかと、

 夢見たまま逝きたいと願う。

 イケメンの顔、

 近づく。


 ダイヤの13。

 唇に、熱い感覚。


 イケメン

     (⁠~⁠ ̄⁠³⁠ ̄⁠)⁠~ホントハオッチャン

         

           のキス。


 幸せの勘違い。

 口移しの甘い香り、喉へ流れ込む。


『これは?これはイケメンさんの愛?いや、これには、憶えが……』


 それは、キャンティ、

 それは、ワイン、

 それは、命の水。


 命の水、流れ込むダイヤの13。

 焼けただれた傷、癒えていく。

 みるみる、蘇るあの美しい姿。

 その顔から、とげとげしさが消え。

 優しく、美しいその姿。


 まるで、聖母マリア。

 

「私を助けてくれたのですね。イケメンさん、これから私の命尽きるまで、私の全力の愛であなたにつくします」


 活動時間限界、訪れる。

 蘇るポッコリお腹。

 イケメンの面影が、何処にも存在しない、オッチャンの笑顔。

 優しい笑顔。


「私の命の恩人は、何処?私の心だけ奪って去っていったのかしら?」


 しかし、ダイヤの13。

 依然、膝枕状態。

 オッチャンの膝に、その美しき黒髪ひろがる。

 その姿、イケメンさんの膝に、すがったあの時と、変化なし。


 ただ、

 ポッチャリお腹が、顔を圧迫。

 少し苦しい。


 そんな、オッチャンなのに、

 相手になんかしてこなかったオッチャンなのに、


 ポッチャリお腹の呼吸の動きに、見え隠れするその笑顔に癒やされる自分の心に、

 戸惑う。


『これは、何?これは、あの思春期の頃に一度だけ感じた感覚。恋?このオッチャンに?』


 元、ダイヤの13。

 現、恋する美魔女。


 彼女の幸せの形は、オッチャンだった。


         (^_^;)ホント?


 


 

 


 


 


 

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