夜遊びエリザをテイムして、俺は貴族の子になった
ルイドラに着いて八日目の夜の事。
俺は路地裏から飛び出して、酒場帰りのエリザ・ヴィン・シューレインの行く手を遮った。
「何よこの薄気味悪いガキは! 貧民の分際でアタシの前に立たないでくれないかしら。蹴っ飛ばされたくなかったら、さっさとそこを退きなさい! シッシッ!」
俺をキッと睨みつけ、横柄な態度を取るエリザ。
俺のような貧民なんて、虫けらぐらいにしか思っていないのだろう。
「失せなさいって言ってんのよこのガキが! このアタシの命令が聞けないの!?」
気の短い雌猫が、全身の毛を逆立てて威嚇している。そんな感じだ。
高慢で、傲慢で、人間性は幼稚そのもの。
だが、外見の方はと言うと――
「すっげえ、綺麗な顔……」
思わずそんな言葉が漏れた。
月の光を浴びて陰影が強調されたエリザの顔は、まるで白亜の彫像みたいに美しかった。
こんなに顔立ちの整った人間が実在するなんて信じられない。
俺は今、神の奇跡を目の当たりにしていた。
顔だけじゃない、エリザの容姿はどこを取っても完璧だった。
髪色は黄金だ。
毛先が夜風になびくたび、光の粒子がぽわぽわ大気に舞い踊る。
若木のように細い首、沁み一つない真っ白な胸元、ツンと上向く大きな
胸の下にはすぐ腰がくる。体の半分が脚なんじゃないか? ってぐらいに脚が長い。
プロポーションが良すぎる。
「……ッ!」
見ているだけで性欲を掻き立てられる。
俺の卑しい子種で、こいつの高貴な体を汚したい――激しい欲望が臍の下でマグマのように沸騰していた。
欲しい。
この女が。
手に入れたい。
体を。
汚したい。
胎を。
植えつけてやりたい。
俺の、子種を――!
俺は衝動のままに動き出し――
「テイム」
エリザの手をさっと掴んで、そう言った。
そして命じた。
「俺を愛せ」
するとエリザは一瞬で態度を変えて、俺をぎゅっと大きな胸に抱きしめた。
「まあ、なんて美しい子供なの。あなたはもしや天使様? ねえ、良ければ抱き締めさせてくれないかしら。ああ、可愛い……!」
頬にキスの雨を降らせてくるエリザ。
俺はエリザの唇に唇を重ねた。
「はッ…はッ…!」
俺は骨を舐める犬のように、エリザの真っ赤な唇に舌を這わせた。
俺の唾液が貴族の美しい顔を汚している――頬を舐め、瞼を舐め、首を舐め、胸元を舐めた。
舐めながら、両手でエリザの胸を揉みしだく。
やはり村の女達の胸とは違って張りがある。
貴族は根本的に体のつくりが違うのだろうか?
どうだっていい。
どうせ全部、俺のものになるのだから――
「ふぅー……」
俺は深く息を吐き出して、いったん性欲を落ち着けた。
さすがに外で最後までするのはまずい……誰かに見られでもしたら身の破滅だ。
冷静になれ、冷静に。
まずは、最低限の目的を果たさなければ。
俺はエリザに向き合って、次の命令を下した。
「俺を養子にしろ」
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