私は彼の浮気を知っている。

紫蘭。

女の勘

私は知っている。

『彼が浮気していることを、。』


高校3年生の私には大学1年の彼氏がいる。

私と彼は同じ部活だった。いわゆる部内恋愛。互いに惹かれあい、恋に落ちた。

これが私と彼のはじまり。


私が高校2年生の時。

彼は志望校に合格するために毎日必死だった。私との連絡は3日に1度のペース。

私の心は実を言うと満たされなかった。

毎日自分という存在を心の中で確かめた。

高校2年生の私には大学受験の厳しさなんてまだ分からなかった。

だから、こういう状況は当たり前だと思っていた。


月日は経ちなんとかこの山は耐え抜いた。

彼は無事に合格した。

心から人のことを祝えたのはいつぶりだろうか。

彼のことが好き と言うことを再確認した日。


彼は大学生になって、バイトと勉強を頑張りながら私に会いに来てくれる。


ー 次は私の番だ。頑張らないと。

私も第一志望に受かるために頑張る。

勉強しすぎて頭が回らなくなる日もあった。

彼とは1日3ラリーくらいで会話してる。

これが私の唯一の癒しの時間。

月に2回は会いにきてくれて、疲れた私を

彼の体温と私だけに見せる笑顔で癒してくれる。


ー なんか、こんな感じだったけ。

ー こんな口調だっけ。

ー こんな金遣いだっけ。

ー こんな匂いがしたっけ。

彼に会うたびに違和感を感じるのはなぜだろう。


そう思いながら、言葉にはできず、胸の中でその言葉を飼いながら月日は流れる。


2週間前、私が参考書を買いに本屋さんを訪れた時。


ーえ。嘘じゃないよね。

心臓が騒ぐ。身体中の血液が踊る。 

頭が痛い。押し寄せてくる不快感。


ーあの女、だれ。 

私は急いで本屋を出た。

トイレにこもった。

苛立ちで涙が止まらない。嗚咽する。


でも彼に聞けなかった。

そのまま今日という日を迎えている。

この2週間、彼とはメールでやり取りしている。

「好き」とか「変わりなんていないよ」とか

無責任な言葉を私におくる。

その言葉が私の傷をさらにエグル。


間違いない。彼の隣にいたのは女の人。

最近彼から甘い匂いがしたのも彼女の匂いだろう。

口調が変わったのも彼女の口調がうつったのか?


ーこれ何回、


ー言ってなかったけど気づいてたよ。

彼が大学受験を頑張ってる時、連絡が3日に1回な理由。

全部、他の女の子と電話してたからだよね。


もう1人で抱えきれない。

私は怒り心頭に発している。

感情が暴れる。心が泣いている。

でももう涙は出ない。


私は彼と向き合いたい。

大好きだからこそ、話し合いたい。


私は携帯を手にした。

覚悟を決めたが手は震えている。

でも。言うしかない。

「明日、話し合いたいことがあるんだけど、会える?」







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私は彼の浮気を知っている。 紫蘭。 @sakuranbonotane

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ