第16話 入学式
先生に怒られてなんとか到着した校内広場は前世の体育館のような場所だった。ただ、広さが半端ない。
単純計算で1クラス50人で8クラス400人。これが6学年存在するとして2400人という事になる。これに教師の人数とか今回は保護者も見に来るってことだし、それらの人数が入っている現状を考えればとてつもない広さというのが分かるだろう。さすがはターロス国王都の学校だ。
前から新入生・在校生・保護者となっている。そして始まる入学式。壇上に上がりスピーチする理事長・校長・一部の先生・生徒会長。
そして分かったことがある。どうやらどこの世界でも校長先生の話は長いものらしい。途中でセイレーレなんて立ったまま寝ていたしな。
「・・・スピ―・・・」
「セイちゃん!?起きて!?寝ちゃだめだよ!?先生に見られてるよ!?」
「・・・スピ―・・・」
隣のミリヤが小声で注意するも起きる気配がない。
時間にして1人で1時間以上は喋っていたと思う校長先生。その後の一部の先生の話は簡潔に要点だけ話して終わり生徒会長も短く終わった。そして入学式最後で陛下が壇上に上がった。
「お父様だ!」
「(あの校長は陛下が後に控えているのにあんなに長々と喋っていたのか?)」
その事実に気付き驚く俺。そして壇上に上がった陛下が新入生を見て喋った。
「・・・私の時もそうだったがどうしてこうも校長先生は話が長いんだろうか?」
笑みを浮かべ校長先生をいじる陛下の言葉に自然と笑い声が起こった。
「・・・おめでとう新入生諸君。我が国の学校では他の地域も含めてすべて学校内では親の地位は関係ない。たとえ貴族の子でも悪い事をすれば叱るし優遇なども一切しない。それは王族でも変わりはしない事実だ。そうして育てられた子どもたちが今の我が国を支えよき国へと発展させてくれている・・・我が国の子らよ!学び成長せよ!・・・そしてどうかこの国を支えてほしい・・・」
そう言って陛下は壇上から降りた。そして自然と巻き起こる拍手喝采。
「(一瞬王族のところでシェミールを見たか?)」
おそらくシェミールに向けて言った面もあるのかも知れない。
陛下の言葉も終わり在校生や保護者の横を通りながら校内広場を去っていく。それを保護者や在校生などは拍手をする。
これにて入学式は終わりとなった。しかしここで前世と違うのがこの世界では入学式の後でも普通に授業がある事。しかも午後までちゃんとある。
しかしその前に新入生は見に来てくれた親の元へ行き少し話す時間はある。
「お父様!お母様!」
「おお!シェミール!可愛かったぞ!」
「クラスメイトの子はどうですか?仲良く出来そうですか?」
「うん!みんなもう友達だよ!」
「おお!そうかそうか!それはよかった!」
チラッと俺の方を見る陛下と王妃様。俺は簡潔に伝える。
「セイレーレという女の子が聡明でその子のお陰でシェミールお嬢様が浮くこともありませんでした」
そう報告すれば陛下と王妃様も納得してくれたのかホッとしたような安堵の表情となる。
「そうか、その子には感謝しなければな」
「レーオくん。今後もシェミールをお願いしますね」
「お任せください。私はシェミールお嬢様の使用人ですので」
その後も少し話して陛下と王妃様とはお別れとなった。
「それでは戻りましょう。シェミールお嬢様」
「違うよ?レーオ?」
いきなり否定された俺だったがその言葉の意味をすぐに理解できた。
「・・・行こうかシェミール」
「うん!行こうレーオ!みんなのところに!」
そう言って手を取られ引っ張られる俺。
その後は授業の開始。世界が違う事でどのような授業があるのかに興味があったが国語や数学など同じ授業も。今日やったのは文字の書き方から数の数え方など。
体育のような運動という授業もあり楽しく外で遊んだ。その時に相獣も一緒に遊んだんだけど大きいのから小さいのまで様々な相獣がいた。その時やっぱり俺の人型は注目されたけど。
「すごーい!人間の相獣なんているんだね!」
「・・・聞いたことが無いですけど・・・」
純粋に驚くミリヤ。相獣はゴリラのテン。そんなミリヤに引き換え興味深そうにルーヴェを見ているセイレーレ。相獣はハムスターのレーレ。よく頭に乗せている。
ちなみにその時も俺に突っかかってきたバンバ―の相獣は獅子のバレン。中々にかっこよかったし能力もすごいらしいが使おうとしたらバレンの方から拒否されていた。
さらに変わった授業もありそれが魔法の授業や魔物の授業。魔法の授業では魔力や魔法について教わり、魔物の授業では魔物の脅威やどのような魔物がいるかを教わった。
こうして俺の二度目の小学校生活は案外楽しく進んでいった。
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