転生したのは男少女多の世界でした

けんはる

第1話

目を開けると見慣れた天井だった

私はベッドから起き上がり

スマホを見てみると

画面には6:13と表示されていた

「ちょっと早く起きたのか、二度寝するのもなんだから着替えよ」

私は護国寺ごこくじ りん

桜花学園おうかがくえん高等部護衛科1-3

そして

前世の記憶をもっている

着替えが終わるとピピピとアラームが鳴ったのを止め

鞄を手に取り

リビングへと向かう

リビングの扉を開けると

真剣な表情で雑誌の袋とじを開けている黒髪の美女が居た

私は美女の前の椅子に鞄を置き

キッチンへと向かい

ケトルの電源を入れ

棚からシリアルを取り出し

皿へと入れると

棚へと戻し

冷蔵庫から牛乳を出し

シリアルへと注ぎ

コップにも注ぐと

冷蔵庫へと戻し

シリアルと牛乳を机に置き

ケトルへと戻ると

湯が沸いていたので

マグカップを取り出し

インスタントコーヒーの粉を入れて

湯を注ぎ

スプーンで軽く混ぜ

袋とじを開け終わり

ため息をついている美女の前にコーヒーを置き

「はい、せつ姉ちゃん」

雪は笑顔で

「ありがとう、鈴」

この人は一番上のお姉ちゃんの

護国寺 雪

ファッションデザイナーで有名なブランドの服のデザインをしている

鈴は雪の前に座り

「でっなんで袋とじを真剣に開けてたの?」

「なんでって鈴、今日が[男の気持ち]の発売日でしょ!!」

雪が見せてきた雑誌の表紙には笑顔の男性が映っていて

下には男の気持ちとタイトルが書かれていた

「あぁ、今日だったんだ」

雪は興奮しながら

「今日だったんだじゃないわよ、これには男性の好みのタイプ、趣味、好きな食べ物等を書いていて、しかも、滅多に見れない男性の写真が載っている聖書と言っても過言ではないこの雑誌の忘れるなんて頭大丈夫?」

鈴は苦笑いをしながら

「大丈夫だよ、ありがとう」

雪姉ちゃんが興奮するのは分かる

[男の気持ち]は

週刊紙で男の人に好みのタイプや写真等がほぼ全てで

後ろの1ページくらいに申し訳ない程度に警護会社の広告が載っている

なぜ警護会社の広告が載っているかと

この雑誌を出しているのが

私の母

護国寺 妙華みょうかがやっている警護会社・護国寺なんです

因みに月額1万で毎週決まった曜日の朝に届くコースがあり

講読者は全員がそのコースを選んでいる

勿論私の家も4冊届いている

シリアルを食べ終えた私は

机の上に置かれた3冊の雑誌を見ながら

「あれ?お母さんが居ないのはわかるけど、佳那かな姉ちゃんはまだ起きてないの?珍しい」

佳那姉ちゃんは私のもう一人の姉で

化粧品の会社で研究員として働いている

「あぁ、なんか夜遅くまで仕事があったみたいよ」

「なるほど」

そんな話をしていると

リビングの扉が開き

そこには

茶色のボサボサ髪に目の据わった女性が立っていた

「佳那姉ちゃん、起きたんだ?おはよう」

佳那は鈴の声に反応せず

机に置かれている[男の気持ち]へと歩き

1冊を大事そうに抱えるとリビングから出ていった

「佳那姉ちゃん?」

「多分起きてないわね、あれは」

「えっでも歩いてたよ?なんで起きてないと思うの?」

「だって眼鏡を掛けないと見えない佳那が眼鏡を掛けてなかったから」

「そういえば、そうだね」

佳那姉ちゃんは眼鏡を掛けないと1メートル先も見えないほど眼が悪い

「無意識に取りに来るなんて、すごいね」

「当たり前でしょ、聖書なんだから」

「あぁ、そうだったね」

そう言いながら鈴はスマホを見てみると

7:25と表示されていた

「それじゃあ、そろそろ行くね」

「いってらっしゃい」

鈴は雑誌を鞄に入れて

家を出た

皆さんはもうわかったかもしれませんが

この世界は男性の数が20分の1しかいないんです

私がなぜお姉ちゃん達ほど興奮してないのは

私の前世が男だったからです

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