第13話 中身にこだわるって、必ずしもいい意味じゃない。


なぜなら、


「中身にこだわる」って、


「外見にこだわるのが怖い」っていう逃げの言葉の裏返しである可能性が高いから。



自分を振り返って、そう思います。




外見にこだわるのは、実は辛くて怖いことです。


売れるのはどういうものか考えることは、自分の現状と比較することなので、そもそも苦痛で、しかも骨が折れます。


自分のオリジナルでないものを作ることは、苦痛を覚えます。


他のあの作品に似てるねと、バカにされたりします。


浅はかだと貶されてしまいます。


媚びたと糾弾されてしまいます。


浅ましいとか、数字に走ったとか、思われてしまいます。




誰にって?

心の中の自分に。


(他人から言われるようになったら、読者がいるということだから、むしろ大したものです。)




恐らく、ビジネスに成功する人ってのは、そんな心の中の自己批判が存在しない、他人から言われてもなんとも思わない人なのでしょう。

いわゆる広義のサイコパスです。


私は、サイコパスに憧れます。

楽そうですからね、生きるのが。




ところで、


私がこのエッセイで「星いらないです」って書いてるのは、あくまで悩まない練習のためってのがテーマだから。


それがズレると本末転倒なので、戒めとして書いただけ。


これ自体は間違ってるとは思いません。



でも、本当は書いたものは誰かに読んでほしい気持ちがあります。


見つけてほしい、わかってほしいという気持ちがあります。


誰かに、自分が数百人、数千人に一人の逸材だと保証して、証明してほしい。


そのためには、本当は外見を、つまりタイトルとか、企画とか、売り出し方とか、そこらへんを整頓しないといけないわけです。



SNSがしんどいのは、このあたりに根っこがあるのでしょう。


素人さえ、発信者にさせられて、


「外見にこだわらないとお前なんか誰も見ない」


「お前には特別な価値なんかない」


という、見たくもない現実を突きつけてくる。


(それが本当に『現実』かというと、それもまた違うのですが……そう信じがちて病む人がいっぱいいますね)




本来もっと無垢に幸せに生きられた人が、「外見が大事である」という残酷な現実によって、たくさん不幸になっていく。


自分の外見と向き合うことなんか、ストレスフルな作業なのです。


それに誰彼構わず直面させてくるのが、インターネット成熟社会の現代です。


シンプルにクソですね。大便です。




インターネットさえなければ、本来は「中身が大事」という表向きの清潔な話だけを信じて、素直に創作できた人がたくさんいる。


外見を整える勇気がないなんてことに直面させられなくて済んだ人がたくさんいる。




私達は、振り回されているの。




そんな地獄の様相を思うに、


この世界を健全に、幸せに生きるのには、あなた自身のゴールを決めることが大事なのでしょう。



どれくらいの精度のものを作って、どのくらいファンがほしいか。


誰にどのくらい認められたいか。



そういうゴールを明確にすれば、


周りの無限に広がる承認欲求の野原に振り回されることなく、


このなんでも評価社会でもやっていけるはず。




……この仮説、信じるのはオススメしませんよ。


だって、これもまた、外見を整える勇気がない人間の、情けない言い訳かもしれませんから。



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