第五話 あるエルフの談話〜どうでもいい情報だけ流さないで本題に戻れよ

「もう良い、もうハヒルの情報は要らない。きっと色々あったんだろう。そういう事にしておこう」


 やっと止まった。

 私はセイル、紛らわしいから言っておくと、長男カイル、長女の私はセイル、次女のシエルと三兄妹だ。

 ちなみにハヒルとすぐ揉めて酷い目に合うのがシエル、ハヒルの行動にストレスで胃をやられたのがカイル、まぁそれはどうでも良い。

 

 私は勇者シズクの話を聞きたかったのに気付けばハヒルの馬鹿みたいな話になっていてウンザリしていた。

 

 それをイブキ様が止めたのでやっと話が進む。

 ハヒルが『私の活躍…』とか言ってるが、活躍じゃないしな、ただの迷惑だから。

 

「もう昔の話はやめよう、それよりケンジとセイルさん、暇潰しに来たわけじゃないだろ?何をしにこんな南方まで?」


「暇つぶしだ」「違います、馬鹿のシャール様は黙っていてくだ…やめろケンジ!貴様!」


 パンッ!


 シャール様もとい変態ケンジが普通に目的を忘れたのか、ただ嘘をつこうとしたので戒めたら胸を摘もうとしてきたのでもイラッときた。というか手を叩いた。

 後、転生前の名前だとつい呼び捨てになってしまうのも直さないといけないと思いつつ…

 

「シャール様だと話が進まないので私、セイルがまとめさせて頂きます。まぁまず、いきなりですがレイランド国でクーデターが起きました。勇者シズクの従者であり王族のレイランド国・第一王子レスリー様は幽閉され、貴女方も一緒に旅をしたミンク姫様は抵抗の上、1度は捕まりましたが逃亡。前王は長年の心労で床に伏せており退位、現在は元宰相のガバスが王となりました」


「そうそう、そんな感じ。行ったら何か知らん奴が居た」

「ミンク姫…何処までも羨ましい…何でそんな絶望イベントばかり…」

「ガバス?イブキ様曰く、集めると景品が貰える奴だ」


「そして、私とシャール様が恒例のレイランド訪問に出向いた時、既にクーデーターは終わっており、ガバスから今後は自分との外交を、そして和平を続けたい旨を伝えられました。まぁ我々エルフの国は他国の政治に関わらずが基本ですからね。一応納得し…エルフの国に戻る際に、今度はミンク様から連絡がありました」


「まぁホストクラブも良く潰れたからな」

「まさかミンク様、1度捕まったという事は…あんな事やこんな事や…クソ、羨ましい…」

「成る程、イブキ様曰くエルフの国はガバスを集めてレイランドグッズを貰うつもりか…私も集めてイブキ様に献上せねば…」


 異様に簡潔に説明してるのに理解してないクソケンジ(シャール)、ミンク様を苛つかせるであろうイブキ、内容不明なハヒルは無視する。


「今、ミンク様は新しく現れた魔王と一部の魔族と手を組んで国の奪還を考えています。今までのレイランドの歴史を考えれば、直系の血族の姫が魔族と手を組むなどあり得ない話ですが、…ミンク様は真の平和、心ある北方の民、つまり魔族と講和、そして新しい世界を作る為の手助けをして欲しいとの事ですが…」


「魔王ってまた女らしい、黄泉百合ランドに来てくれないかな」

「新しい世界って追放されてるじゃん…やることなす事全部ドラマチックじゃん…ミンク姫…羨ましすぎて憎い…」

「そうか、イブキ様曰く、ミンクを集めてガバスに変えれば良いんだな、何を献上するか知らんが…」


 駄目だ、こいつ等話にならない。もう私もイライラの限界だ。


「まぁ詳細は、この通信の魔石でミンク様と繋げられますので話して下さい、後はお前らで勝手にやれって下さい」


 ついつい最後は口調が荒くなったが仕方ない。悪いのはこいつ等、話を聞かないクソ共だ。


 本当はミンク姫に一言、言ってから繋ぐのだが、面倒臭くなりそのまま通信の魔道具を全員が囲ってる焚き火の近く、全員が見える位置に置き、魔力を込め起動させた。

 

 ムリムリムリムリムリムリ…「あ、やべ」


 失敗したな…

 そこにはまさに厠で花を摘むポーズのミンクがいた。投影機なので、空中でそのポーズのまま目を見開くミンク様。

 勿論、私や他の3人も驚きを隠しきれない。


 魔道具なのでミンクの姿しか映さないが、ミンクから出たアレも魔道具は写していた。


『…ジ…ジジ…ンアアァァ…テメ…キサ…セイル!ふざけんな!繋げる前に一言言えって言っただろうがっ!おい!聞いてんのか!?見るな!お前ら見るな!殺すぞ!』


 見るなと言ってもな…と思いながら横を見るとハヒルが言った。


「自らの卑猥な姿を見せ、自らの劣情を満たす…もしくはそれによるイブキ様への誘惑なのか?…ならば貴様、万死に値する」


「それよりハヒル、ミンク姫って短気だったけど…もうちょっと落ち着いて無かったっけ?直接殺すとかこんな顔したっけ?…それとも凄い力んでいるのかな?」


 ミンク姫が皆殺しにせんばかりの凄い形相で大きい物を出していた。

 逃亡した潜伏先の安い厠なんだろうな、空中でトグロを巻いている。さながら蛇のようだ、顔の部分はさしづめミンク様ってところか。


「私のせいじゃないですよ、ハヒルですよ、ハヒルのせい」


 私はサラッと嘘をついた。妹のシエルはこういう時、真面目に対応して胃を壊して従者を辞めた。

 他の従者もそう、頭がおかしい奴ばっかり。

 英雄はそうだな…シズク…が1番マシだったな。

 話によると、転生前の年齢がまだ15年歳ぐらいだったらしいけど。


『クソ!お前等覚えとけよ…ハァハァ…』


 まぁミンク様も分かってるだろ。前回の魔王討伐でわざわざ従者と英雄分けたんだから。

 分けないと話がまとまらないから。

 しかしまぁこれは私の主観だけども…本当にどうしょもねぇ団体だったな。


 ミンク様もなァ〜、普段はちゃんとしてんだけどな、ウンコ英雄共が絡むとこんな目にばかり合うからなぁ…


 カラカラカラカラ〜


「ミンク様は前から拭くタイプなんだな」

「何か猿っぽいけど、美女だと絵になるな」

「あんな力みながらケツ拭くとは馬鹿の極みだな」


 フーフー言いながら、何かを諦めたかのようにトイレの出す、拭く、履くの手順を踏んでいくミンク様…そして立ち上がって凛として立った。

 まぁ立っている横に宙に浮いた巻きグソが一緒に立体モニタに映っているが…あれは向こうからはわからないのかな?


 何故かシャール様が拍手するとイブキ様とハヒルが続けた拍手する。


『皆!落ち着いて!落ち着きなさい!』


 【イブキ様曰く、ミンクが落ち着けという時は1番落ち着くべきはミンク(笑)】


 とハヒルが言っていたがその通りだな。


『拍手をやめろ!話が進まないし、通信魔道具も傍受されては困るから簡潔に言うわ。貴方達全員、ワタシの奴隷になりなさい!』


 私以上に話を端折り過ぎだわ、ミンク様…



※これからは短く豆に投稿しようと思います…♥

 


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