第46話

最悪だ。

ミノタウロスが2体。

そして、よく見ると通常のゲートが二つ、大きなゲートも二つ、合計四つものゲートがある。

魔物がうじゃうじゃいるわけだ。


タッタッタ!!

俺とトヨワさん、魔法兵2体は大きなゲートに向かって走り出す。


「こっちは私にお任せください!!」

トヨワさんがミノタウロスに向かって走り出す。

「お願いします!!」

「グオォォゥ!!」

ミノタウロスの他にも、雑魚が大量にいる。

流石のトヨワさんでも囲まれればやばいだろう。

できるだけ早くゲートを破壊しなければ。


「行くぞ!!」

「ホ!!」

「ホホー!!」


ズシャッ!!

俺は襲ってくる雑魚を斬り伏せながら進む。


「グオォォゥ!!」

ミノタウロスが叫ぶたびに地響きが起きる。


近づくとヤバそうだな。

「よし!! 炎魔法だ!!」

俺は一旦立ち止まり、周りの雑魚どもを殲滅する。

このまま魔法兵の守りを固め、遠距離からダメージを与えていったほうが安全だ。


「ホ!!」

「ホホホ!!」

ゴオォォォ!!

魔法兵の前に炎の渦ができる。


「グオォォゥ!!」

ドスドスドス!!

ミノタウロスがこちらの魔法に気づき、猛烈な勢いで走り出してくる。


ズシャッ!!

さらに周りの雑魚も集まってくる。


ズシャッ!!

ズシャッ!!

ズシャッ!!


クソ、キリがないな。

「「ホー!!」」

魔法兵はこの間無防備だから俺が守るしかない。


「ホホホー!!」


おぉ!!

レベル2の魔法兵からミノタウロスへ向かって炎の渦が飛び出す!!


ドガーン!!


「グオォォゥ!!」

ドスドスドス!!

しかし、ミノタウロスは止まらない。

ヤツの身体から小さな煙がプスプスと出ている。

確実にダメージは入っているはずだ。


レベル3の魔法兵はまだか?

魔法が強力な分時間もかかるようだ。


「グオォォゥ!!」

まずいな。


ダッ!!

俺はミノタウロスの前へ出る。

「グオ!! グオォォォ!!」

ミノタウロスは大きく斧を振りかぶる。


今だ!!


「スラッシュ!!」

ズシャッ!!

「ホホー!!」

ドゴオォォォン!!


俺のスラッシュが決まった直後に魔法兵レベル3の魔法が決まる。


プスプスプス……


ミノタウロスは斧を振りかぶったまあ固まっている。


ドスンッ!!


硬直したまま後方へと倒れる。


「よし!!」

ノーダメージで仕留めることができた。


「このまま進むぞ! ついてこい!!」

「「ホホ!!」」


「おい!! 次、魔法は撃てるか?」

「「ホホホ!!」」

魔法兵は首を横に振る。

やはりクールタイムが必要なようだな。


「撃てるようになったらすぐに教えてくれ!!」

俺は雑魚を斬り伏せ、走りながら話す。

「「ホー!!」」


魔物はうじゃうじゃいるが、ミノタウロスはいない。

ズシャシャシャ!!

魔物を斬りまくって、ゲート前までくる。

まずは小さいゲートから処理だ。


「スラッシュ!!」

ズシャッ!!

俺は突進と共にゲートにスラッシュ打ちかます。

スラッシュもクールタイムはあるが、魔法兵の魔法よりも時間は短いようだ。


「どらぁ!!」

ズシャシャシャシャ!!

全力で斬撃を繰り出していく。


ダメ押しだ!!

「スラッシュ!!」

ズシャッ!!


ゲートが消滅する。

あと3つ!!


「ホホ!!」

魔法兵が俺に合図してくる。

「よし、いけるか!?」


俺は次のゲートまでの道、魔物が固まっている方を指さす。

「いけぇ!!」

「ホホー!!」


ドゴオォン!!


いいぞ!!

炎魔法により魔物が焼却され、ゲートまでの道ができる。

「走るぞ!! ついて来い!!」

「「ホホー!!」」

俺は魔物を薙ぎ払いながら、ゲートへ向けてダッシュする。


「スラッシュ!!」

ゲート前に到着と同時にスラッシュを打ちかます。

「ホホ!!」

もう一体、レベルの高い方の魔法兵が俺に合図する。


「お前は向こうへ向かって放て!!」

こちらへ向かってくる大量の魔物に向けて炎魔法を発動させる。


「ホッホー!!」


ドゴオォォォン!!


熱風がここまでくるが、俺はお構いなしにゲートを攻撃し続ける。


ズシャシャシャシャ!!


「スラッシュ!!」


ズシャ!!


よし!!

ここのゲートも破壊できた。

残るはデカイの2つだ。


「おい、また走るぞ!!」

「「ホホ!!」」

俺は魔法兵を引き連れて再び走る。


魔物が減ってきたな。

「勇者様!!」

トヨワさんだ。

走って合流してくる。


「ミノタウロスは!?」

「ウフフ……消えちゃいました」

マジかよ。

単体で倒したってことか。

通りで魔物が減ってきたわけだ。


「ならあとは消化試合ですね。

 俺はゲートに集中するので周りの魔物はお任せします」

「はぁい」


□□□


「はぁ……はぁ……」

「怪我人はこっちに来てくれ」

「そっちはどうだ?」

「馬が2頭やられた」


なんとか廃村周辺の魔物を一掃することができた。

魂兵が4体やられた。

最前線で戦わせていたからな。

魂兵がやられた瞬間は見ていないが、消滅してしまったようだ。


そして怪我人も出ている。

しかし命に関わるものではない。

感染症にだけ気をつければ大丈夫だろう。


「ふぅ……なんとかなったな」

俺は地べたに座り込む。

肉体強化があっても流石に疲れた。


「食料は数日持つが、ここを拠点に生活をするのか?」

エイハンが聞いてくる。

「そうです。

 そのためには、俺が魂兵を連れてシドル村に戻る必要があります」


「な!! またシドル村に戻るのか?」

「はい」

俺の考えが正しければ、この廃村スクシン村にも帰還魔法陣が設置できるはずだ。

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