第41話

「こいつらに休息はいりません」

「休息が? こいつらは一体何者なんだ?」

「ホ!!」

エイハンの驚きに魂兵は誇らしげだ。


「俺の能力の一つです。

 ゲートの破壊、食料の生産、それからこの魂兵ですね」

「なんてことだ……他にもあるのか?」


「わかりません。俺自身も自分の能力について把握できていないんです」

とりあえず濁しておく。


「まぁ魂兵に休息はいらないので、進軍中の魔物が多くなるまで体力を温存しながら進めます」

「なるほど……それなら行けるかもしれないな」

エイハンの見立てではなんとかなりそうってことだ。

それに、ここからさらに装備を作成すれば盤石だろう。


「では他にも準備を進めます。食糧もあれだけでは不足すると思いますし」

「あぁ、すまない。ありがとう」


俺はフェリスさんのところへ行く。

「これから『帰還魔法陣』について、検証をします。

 『帰還魔法陣』俺一人だけなのか、複数で使えるのかを検証します」

「あの、トヨワも連れていくのはいかがでしょう?」

そうか。

トヨワさんもエルフなのだ。

あの遺跡はエルフなら入ることができる。

ということはトヨワさんも連れて行ける可能性があるな。


「いいですね。できるかはわかりませんが、検証してみましょう」

「フフフ……よろしくお願いします」


俺は転送してきた位置まで移動する。

「これだろうな」

直径約2mくらいの魔法陣がうっすらと光っている。

「やはりこれが『帰還魔法陣』だったのですね」


「はい。おそらくそうです」

フェリスさんは俺が寝ている間に『帰還魔法陣』を確認したのだろう。


「この魔法陣、勇者様と私たちエルフしか見ることができないのだと思います」

「え!? そうなんですか?」


「はい。私とトヨワ以外は誰もこの光に気づいていませんでした」

なるほど。

『帰還魔法陣』が他の人間に気づかれないというのは、有利な点だな。

メージスの兵にも見えないわけだし。


「よし、行ってみましょう!!」

俺とフェリスさん、トヨワさんは魔法陣の上に乗る。

視界が真っ白になり、遺跡に移動する。


「!!」

「これが、勇者様の遺跡……?」

いけた。

全員で転移できたぞ。


といっても3人だ。

魂兵たちは置いてきたことになるのか。


「よし、これで魂を消費すればシドル村と往復できるということがわかりましたね」

「はい!!」

「素晴らしい……」


「とりあえず武器ですね。魂兵用に石材を使って装備を作成します。

 一つ30分かかりますので、約12時間かかります」

「見学しても良ろしい?」

トヨワさんが尋ねてくる。


「はい。もちろんです」

俺は鍛冶場へ行き、台座をタップする。

そして、石材を生成後に、それを中央の台に乗せる。


【完成まで 00:29:59】


「これで30分後には一つ装備ができあがります」

「なんということでしょう……」

トヨワさんは終始驚いている。


「あ、あの……つ、次はどういたしましょう?」

フェリスさんがもじもじしている。

ということは、魂兵作成ということだろう。

し、しかし……


「うふふ……」

「!!」

トヨワさんと目が合ってしまう。

なんか、このままフェリスさんと魂兵作成室に行くのは気まずい。

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