幼馴染に彼氏ができたんですけど…その彼氏がまさか…まさかのっ⁉︎

猫の集会

その彼氏って…

「ねー、だいち」

「んー?」

「いつまでこの部屋でゲームしてるつもりなの?」

「あー、飽きるまで。」

「それは困るなぁ」

 

 なぜ困る⁉︎

 

 オレの横にいるのは、オレの幼馴染のもえ。

 

「なんで困るんだよ」

「だってー、いつまでも部屋に居座られるとさー…」

 

 …え?

 

「は?だってここオレの部屋じゃん。」

「えっ、そうなの?」

「そうだよ。もえんちは隣だろ」

「へへへっ。」

 そう笑うともえは、いきなりオレの足元にゴロンと寝転んだ。

 

「おっ…お前っ…」

「なに〜?」

 

 オレを見上げるもえ…

 

 …

 

 …なにじゃないだろ。

 そんなとこに転がるとかヤバいだろ…

 どんだけマイペースなんだ…

 

「おまえねこかよ」

「ニャ〜ん」

 スリスリ

 

 ‼︎

 

 こいつはー…

 

 全くもえは、思春期の男心ってやつがわかっていない。

 

 オレはもえが好きだ。そんなことしてくるんなら、今すぐにでも押し倒してやろうか?ってなもんだ。

 

 でも…でもさ…もえは…

 

「おまえ彼氏できたんだろ?こんなことしていいのかよ?」

「……うん。だって…いいんだよ」

 

 間…なんだよ、この間は‼︎

 

「いや、よくないだろ。だいたい彼氏いるんだから幼馴染に膝枕ってさ、どんな状況なんだよ」

 

「…そりゃぁ、そういう状況なんじゃないの?」

 

 …は?

 

 マイペースにも程があるっ‼︎

 

 オレは思わずもえに床ドンをした。

 

「いいか、もえ!男の部屋でそんなことしたら、いくら幼馴染のオレだって我慢の限界ってやつなんだぞ!」

 

 と、キスしようとするフリをした。

 

 いや、したいよ?

 でも、彼氏いる幼馴染にそんなことほんとにできるわけがないもんな…。

 

 

 するともえは、当然避ける…はずだったんだけどー…あれっ⁈無抵抗…

 

「おまえ避けないの?」

「……」

「なー」

「……」

 

「はーっ…。」

 オレは布団にゴロンと寝転んだ。

 

 もえは、なにがしたいんだ?

 

 チラッともえをみるとなんと、手を伸ばして近くにあった本をそのまま転がってよんでいるじゃねーかよっ‼︎

 

 マイペースだし、自由かよっ⁉︎

 

「あんたさ…もう家かえんなよ」

 もえにそう言いながら呆れるオレを見てもえは、口を尖らせてあっかんべーして帰っていった。

 

 あーあ。全く意味わかんねーやつ。

 

 

 もえが部屋から出て行ったのでオレも下に降りて水を飲んでまた部屋に戻ったんだけど…

 

 えっ⁉︎

 もえ…なぜまたオレの部屋に…⁉︎

 しかも、ガッツリ布団に寝ていやがる…

 

「おまえ…帰ったんじゃねーの⁉︎」

「だれも帰るなんて言ってないよ。トイレしてきただけだし」

 

 …うわ、完全に開き直ってやがる。

 

 

「わかったよ。何?彼氏と喧嘩でもした?」

 仕方なくもえのグチでも聞いてやるか。

 

 オレは、ベットに座った。

 

 するともえは、ぶつぶつと何かを言い出した。

 

「ん?なんて?」

「だからぁ、彼氏が彼氏じゃないのっ」

 

 は?

 

「意味わかんねー。じゃあ彼氏って何?彼氏じゃなかったらー…あ、彼女ってこと⁉︎」

「はい?だいちバカなの?」

 

 はぁーっ⁉︎

 人が真剣に考えてるのに…っ!

 

「じゃーなんっすか?彼氏が彼氏らしくないってことっすか?」

 と聞くと、

「うん。彼氏のくせに全然かまってくれないの。」

 と急に愚痴りだした。

 

 甘えたいんだ…

 なんかぐさっと何かが刺さった感…

 

 もえが彼氏に甘えるとこ想像したら…なんか…黒いモヤモヤがオレの中に湧き出てきたぞ…。

 

 こんな話…ききたくねー…

 

 するとどんどん愚痴り出すもえ。

 

「普通さ、結婚の約束したんだからさ…ほらもっとイチャイチャとかあるじゃん?」

 と…

 

 結婚の約束までしてるーーっ。

 

「あー…」

「あとさ、優しいくせにぜんっぜん好きとか言わないんだよ?」

 と。

 

 …なに?

 これは…のろけ…なのだろうか?

 

「でね、キスしようとして途中でやめちゃうんだよ?」

 と。

 

 …完全にのろけ。

 

「もうさ、直接彼氏にいいなよ。」

「言った!でも聞いてるくせに音信不通なのっ」

 

 音信不通って…

 

 …

 

「そもそもさ、その彼氏ってなんなの?」

「え?なんなのって?」

「もえのこと好きなの?」

「うん。好きだよ。だってプロポーズするくらいだよ?いつもとなりにいるし。」

 

 …あぁ、学校ではいつもべったりなんだ?

 オレは高校違うからわかんないけど…

 

「もえは、好きなんだよね?」

「うんっ‼︎大好き」

 

 …うわー。つらー…。

 そんなハッキリと言われると傷つくわー。

 

 

「彼氏ってどんな人?」

「うんとー、いつもゲームしてるー」

 

 …あー、オレと一緒だ。

 

「あとは?」

「あとはー、よくパーカー着てる」

 

 …オレもパーカー好きだなー。

 

「性格は?」

「優しいよ。すごく」

 

「…ふーん。ところでいつから付き合ってんの?」

「ずっと」

 

 

 ⁉︎

 

 ずっと⁉︎

 高校入ってからとかじゃないの⁇

 

「え、じゃあオレの知ってる人?」

「もちろん。」

「あー…ならオレが言ってやる?」

「なんて?」

「もっとかまってやらないと…オレが…」

「オレがなに?」

「あー、とにかくもっとかまってほしいって言ってるってさ、言えば彼氏だって変わるんじゃね?」

「うーん…」

「ところで彼氏ってだれ?」

「彼氏はー…だからー…パーカー着てて黒いズボン履いてる高身長のイケメン‼︎」

 

 ⁉︎

 びっくりしたー…

 

 オレ今パーカー着てて黒いズボン履いてるからまさかオレかと思ったわー。

 

 んなわけないか。

 高身長のイケメンって言ってたし。

 

「で、どうする?オレ言ってやる?」

「うん…。」

「じゃ、とりあえず彼氏にあわせてよ。今から電話できる?」

 

 …

 

「ん?どうした?」

 俯くもえ。

 

 

 あー、オレがいると電話しづらいか。

 

「オレ、トイレ行ってくるよ。」

 

 

 …

 

 数分後。

 

「どう?電話できた?」

「あ、うん…彼氏今トイレ行ってて…」

 

 彼氏の行動パターンオレかってくらいかぶるなー…。

 

 プルプルプルプル

 

 ?

 

 あ、電話。

 

「ごめん、もえ。電話きちゃった。ちょっと…電話…に…って…えっ⁇」

 

 着信がまさかの目の前にいるもえからだった。

 

「もえー、電話オレにかけてるぞー」

「あー…、うん」

 

 ⁇

 

「彼氏に電話してよ」

「うん。この人彼氏」

 

 ⁉︎

 

 もえがオレに鏡を向けてきた。

 鏡にうつっているのは…オレ。

 

 はっ⁉︎

 

「もえっ⁉︎」

「…プロポーズしてくれたよね?幼稚園のときにさ?」

 

 ‼︎

 

 ええええええええええっ⁉︎

 

「あれ?じゃあずっとオレたち付き合って…るの?」

「だってプロポーズしてくれたってことは、そうなんだよね?」

 

 

 ‼︎

 

 オレかよっ⁉︎

 その彼氏ってやつオレかよーー‼︎

 

 やっぱりオレはもえがいうように、バカなのかもしれない。

 

 

「もえー…そうならそうと…」

「彼氏じゃないの?」

 

 おわぁーっ‼︎

 そんなかわいい…かわいい顔してオレを見るんじゃねーっ‼︎

 

 

「コホン。もえ。さみしいおもいさせてごめん。これからたっくさんイチャイチャしようね。」

「うんっ」

 

 

 オレはもえを抱きしめた。

 

「やっと。やっとしてくれた。」

「うん。ほんっと待たせてごめんね」

「いいよ♡」

 

 

 チュ〜♡

 

 

 今までの時間を埋めるかのように長〜いキスをして何度も抱きしめあったのでありました。

 

 ところでオレっていつプロポーズしたんだっけ…

 

「あの、オレがプロポーズしたのってさ…」

「うん、幼稚園のお弁当のときだいちがピーマンきらーいって言ってさ、ならもえはピーマン絶対使わないお料理するって言ったらだいち、わたしにじゃあもえちゃんと結婚するー。うん、いいよーってなったんだよね!」

 と。

 

「あー、ねー…。」

 なるほど。

 

 ま、でもずっと好きなのには変わりない。

 

「もえー、大好きー‼︎」

「わたしもだいちが大好きー‼︎」

 

 ギュ〜♡

 

 

 ♡

 

 おしまい。

 

 

 

 

 

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