#3.やしょ、うまかったぞ



 2月15日といえば涅槃会ねはんえ


 詳しい説明は省きますが、涅槃会とは、お釈迦が入滅した日に行われる法要のこと。

 つまり、簡潔にいうと、2月15日はお釈迦の命日です。

(信州では月遅れの3月15日に行うところが多いようです)


 地域や宗派により涅槃会の行事には色々あるかと思いますが、信州とくに北信ほくしん(長野県北部)では「やしょうま」という、いわゆる涅槃だんごの一種をお供えします

(節分や立春に頂く地域もあるようです)



 主に北信から中信ちゅうしん(長野県中部)にかけて広まっているものですが、地域によっては「みみだんご」「お釈迦だんご」など別の名前で呼ばれているようです。



 

 材料は主に米粉。


 北信では長細く伸ばし、端などで2箇所に窪みをつけて中央を盛り上げ、横から見ると凸の字のような形にしたもの。青のりや胡麻、豆を入れたりします(たいてい具材は1種類だけ入れます)とてもシンプル。


 中信では、生地に色をつけて金太郎飴のように組み合わせ、丸い棒状にします。切ると花などの絵が見えるので、とてもカラフル。


《参考画像》

https://kakuyomu.jp/users/sanako/news/16818023213534681970


 ※

 画像上は中信でよく見かけるタイプ。

 下は北信で見かけるタイプです。


 上のものは、私が移住前に銀座NAGANOさん(東京銀座にある長野県のアンテナショップ)で開催された、信州粉もん作り講座のやしょうま作りで作ったものなので、とても歪で申し訳ないです。


 

 

 長野市内では、和菓子屋さんや餅屋などのものは凸型が多く(店にもよりますが)1月末くらいから店頭に並びます。

 スーパーだと丸型花柄のものがカットされパックされたものもあります(ただし、どこのスーパーにもあるわけではないので注意!)



 中信では、主にスーパーで販売されていて、丸型で花柄のカット済みのものが主流のようです。


 


 凸型の理由は、諸説あります。


 その1.馬に見立てている。

(信州は馬との繋がりが強い地域で、いまも馬頭観音がその辺にあって人参がお供えしてあるのを見かけます)


 その2.お釈迦様が坐禅を組んだ姿。


 その3.お釈迦様のお耳。




 私はこれ、シュトレン(ドイツ発祥のクリスマスに向けて食べるお菓子)と、とても似ていると思うのですよ。


 シュトレンは伸ばした生地を左右からそれぞれ中央にむけて少し重なるように折りたたんであります。

 そのため、生まれたばかりのキリストのおくるみをイメージしている、という説があり(山をイメージしている、という説もあります)スライスして食べる、という点も似ています。

(シュトレンは毎日少しずつ食べるので、その辺りは似ていない)


 ドイツと遠い島国(しかも海から離れた山の地)で似たような食べものがあるなんて、人間は同じようなことを考えるものなのかもしれません。


 

 涅槃会のときのお菓子を検索してみると、ボール状のカラフルな涅槃団子や、あられを砂糖や醤油で味付けした花供御はなくご(はなくそ)などがヒットしました。


 涅槃団子は北陸や新潟など日本海側、花供御(はなくそ)は関西(京都や奈良?)のようです。

 


 

「やしょうま」という名は「やせうま」(痩せた馬)という説がありますが、私はもうひとつの説が好きですね。


 それは、お釈迦が亡くなる寸前『やしょ』という弟子が差し出した団子をお召し上がりになり『やしょ、うまかったぞ』と言って亡くなられたということから、という説です。



「お釈迦様そんなこと言わへんで『やしょ、うまかったぞ』って、めちゃめちゃ日本語やろ」

 旦那はそう言っております。



 いや、それはつっこんではいけない!!


 それは、推しと同じ小物をゲットするとか、推しが観ているドラマやスポーツ中継をリアタイしてSNSで実況なんかしたりして一緒に観ている気分になろうとするような、そういう感じなんですよ!


 推しに少しでも近づきたくて、色々なことをこじつける限界オタクみたいな感じで、愛いではありませんか。


 推し活と宗教同一視するな?


 いやでも、推し活って、ほぼ宗教じゃん……

 ライブ行くとそれがすごくよくわかるよね……

 




 やしょうまの食べ方。


 味はついてないようなものなので、スライスして炙ったり、揚げ焼きして砂糖醤油などで頂きます。


 

 私は好きな厚みでカットしたいし、端っこ食べたいので凸型派。

 たぶん、お店的には推奨できないだろうから自己責任ですが、私は買った当日にすべてスライスして個別にラップで包み、冷凍しています。解凍せず、そのままコンロの魚焼きグリルで焼いてます。


 2月15日と3月15日に食べ、残りは煮物に入れたり、餅扱い。

 

 煮物に入れるのは、良いですよ。

 たぶん「ちくわぶ」や「すいとん」が好きな方はわかってくれるはず!

(ちくわぶは関東ローカルですが……あと、すいとんって年代や地域によってはわからない可能性がありますね。旦那もすいとん知らなかったし……)


 鶏チリにしたとき、鶏肉とじゃがいもなどと一緒にチリソースに絡めるのもおいしかった。


 七味マヨだと、いい酒のつまみになります。

 七味唐辛子は、もちろん長野土産としても有名な八幡屋礒五郎さんのもので!



 あー焼酎が呑みたくなってきました。




 

 

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