#2.町でも使う、スキーのストック

 前日の晩から明け方にかけて雪が降り、屋根の上や車の上に、うっすら積雪。すぐ溶けるものの、若干路面状況は悪く、場所によっては滑りやすい。


 そんな休日のある朝、買い物へ行った時の話。

 

 

 私ひとりで買い物行く時は徒歩か自転車ですが、旦那と買い物に行く時は車です。 


 あるスーパーの駐車場から出ようとしたところ、スキーのストックを両手に持った高齢の方が歩いているのが見えました。

 それに感心した様子の旦那。

 たしかに、私も初めて見た時「その手があったか!」と思いました。



 ちなみにスキー用品は持っていません。

 それどころか、私はスキーをしたことは一度もありません(スノボなら1回やったことはありますが、たぶんもうやりません。リフトが怖いので) 



 信州移住者には結構な割合で「山が好きで……」とか「スキー(スノボ)やるために……」と移住して来た方がいらっしゃるのですが、私たちは、ふたりともそういう理由で移住したわけではないのです。



  

「買い物行ってる時、たまに見かけますよ。スキーのストック使って歩いてる人。たいてい、おじいちゃんですけど」

「安全やなぁ。いざという時、人を刺せるし」

「いや、刺しちゃダメです」

「今なら安全に歩けて、人も刺せるこのストックが、なんと、2980円!」

「今なら同じものが2つ、ついてきます! いや、そんなにいらないです。というか、刺しちゃダメですって。あと、テレビショッピングって『うわぁすごぉい』とか『お買い得ですねぇ!』って女性アシスタントの棒読みめいた合いの手入れなきゃダメじゃないですか」


 いきなりテレビショッピングを始めた旦那にツッコミを入れる私。

 

「安全に雪道を歩けるこちら、なんと、人も刺せるんです!」

「『うわぁすごぉい』いや、だから、刺しちゃダメですってば」

「物騒な世の中ですからね、ひとり暮らしの女性には是非、持っていてもらいたいですね。こちら、今ならなんと、2980円!」

「『お買い得ですねぇ!』いや、だから刺しちゃダメです。物騒なのはどっちだよ」

「電話番号はこちら! オペレーターを増やして、お待ちしておりまーす!」




 今月、結婚4年になる私たちの会話は、だいたいこんな感じです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る