復讐船ポラリス ~オトナたちに騙されて宇宙の果てに飛ばされたボクたちはドジョウのおでん汁で戦う!~

@pty029

バラドルの七枝ミユはアイドルの藤島マツリにぶっかけなければならない。

 京セラドーム大阪でドジョウのおでん汁ぶっかけ大会が開催。


 決勝戦のゴングが鳴る。

 まばらな観客と業務用ビデオカメラはドーム中央の舞台と、傍のおでん汁入り大鍋を見守っていた。


 断崖お胸にぴったりな旧式スク水、黒髪ごんぶとおさげ、汁入り両手鍋を手にしたバラドル七枝ななのえミユは鬼の形相で、片手鍋持ちビキニ巨乳アイドル藤島マツリに、両手鍋の中身をぶっかけた。


「あっついです!」


 藤島は片手鍋を取り落とし、胸を揺らして退場。七枝の優勝が決まる。


「脂肪の塊を取ってから出直せやメスブタ……!」


 ドスの利いた七枝の地声はピンマイクでドーム中に伝わる。観客席は沈黙した。


「勝ちました☆ きゃは☆」


 アニメ声にしても遅い。七枝の黒歴史は消えない。

 その時ドームの天井を突き抜けて巨大人型ロボットが落ちてくる。

 ロボの腕が七枝の横をかすめた。死が見えた七枝は尿を漏らしてへたり込む。カメラはお漏らし撮影済み。七枝の黒歴史は消えない。


 轟音と共にロボットはドームの床にめり込んだが、すぐに立ち上がり、ドーム中央の大鍋を掴みおでん汁を口から補給。ロボは空になった大鍋を観客席へ放り投げた。客は横っ飛び回避した。

 

 ロボットは七枝を掴む。

 ナナメ上展開についていけなくなり七枝は失神した。


 補給を終えたロボはブースターに点火。ブースターは光熱を吐き出す。ロボは上昇し、ドームの天井に二つ目の穴を開けてあっという間に姿を消した。


* * *


 目を覚ました七枝は複座コックピットの後部席に座らされていた。前席には金髪の青年がいる。ロボ内部、全天周囲モニターには宇宙と星々が映っていた。


 フリッツと名乗った青年は七枝に「あらすじ」通りの事情と、ワームホールから飛ばされた植民船ポラリスは時を超えて地球付近に来たと伝えた。


 七枝は「あらすじと本文は関係ないって言いましたよね?」と思った。


 フリッツらはポラリスに帰還。船は太陽系を脱出、銀河を超え、ワームホールを次々転移。ついに惑星タイタンに到達。ポラリスの艦砲おでん汁とロボのおでん汁ライフルは惑星全土を燃やし尽くす。


 船窓でフリッツと七枝は真っ赤に燃える惑星タイタンを見つめていた。


「すべては君のおかげだ……ありがとう、ありがとうミユ……!」


 歓喜で涙ぐみながら七枝の両手を握りしめるフリッツ。


「お前、あらすじと本文は関係ないって言ってたやろがああああ!」


 ブチ切れた七枝はフリッツをブン殴り、宇宙船を用意させ、地球に帰還した。(了)

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