顔神様

影神

見てはイケナイ?



山奥にあった各地にある様な名前の神社。


その神社で私は不思議な体験をした。



友達と、遠出をした。


久しぶり遠出だった。



最後にいつ遊んだのか話したが。


互いに何をしたのか忘れて居た。



私は神社が好きだから、何処かへ行った際には、


時間に余裕があれば近くの神社へ行く。



そこは何処にでもある様な名前の神社だった。



山の中にあるその場所は、駅前から出ているミストが。


地面や木々から。自然に、出ていた。



鳥居は立派な木で造られていた。



その大きな鳥居を潜ると右側に手水舎があった。


そこには池があり、鯉が気持ち良さそうに游いで居た。


しかし、私はその場所がとても恐かった。


『怖い』


その感情だけが渦巻いていた。



山の中だからか。


階段には、苔が生えていて滑りやすかった。


ゆっくりと、階段を上がると本殿が見えた。



お賽銭を入れようと、また階段を上がると、


お金を入れる場所は階段より下にあった。



腕を伸ばし、ゆっくりと入れる。



手を叩き頭を下げる。


特に何かを言った訳ではなかったが、


この場所にお邪魔している事を伝えた。



参拝が終わり、境内を見て回る。


若い草木が、光の関係からか。


何故だか光って見えた。



沢山の木々は、私が両手を広げて、


木を抱き締める様にしても手が足らなかった。



立派な木肌に触れ。頭上を見上げる。



一回りして、せっかく来たのだから、


思い出作りに写真を撮る事にした。


写真があれば、次遊んだ時に、


前回した事を忘れない様にする為でもあった。


何と無く、思うままに撮影をした。



帰りに再び手水舎を通ったが。


あの恐怖心は無かった。


けれど、あまり近寄りたくは無かった。



友達と別れ、家に帰り。


ふと、自分で撮った写真を眺めると。


あまり上手くは撮れて無かった。



すると。その中の一枚に、何だか惹かれた。


それは、階段の所で撮った写真だった。



ゆっくりと、ズームしていくと。


遠くに映った本殿のガラスに、


口元の様なモノが見えた。



それはよく見ると、


お爺さんの様な顔立ちをしていた。



私は気になって、何が祀られているのかを調べた。


しかし、そこの神社には、


お爺さんらしき人は奉られては無かった。



何だか怖くなって、私はその写真を消した。


場所によるが。


境内で写真を撮ってはイケナイ場所もある。



もしかしたら、あの神社は。


写真を撮ってはいけなかったのかも知れない。



手水舎で初めて味わった恐怖心。


それと。


このお爺さんの顔は、何か関係があったのだろうか。



お爺さんは何を思っていたのか。


お爺さんは何を伝えたかったのか。



私には分からなかった。



見えないモノを。何かを通して。


私達は、ふとした時に。


覗いてしまうのかも知れない。



それが、いいのか悪いのか。



きっと触れない方が良い事も。


あるのかも、知れない。























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

顔神様 影神 @kagegami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ