第37話 聖女様のお友達襲来
初詣の翌日、自分の家に帰還した俺は全力で正月を満喫していた。
「ん〜おいしい!」
「ふふ、お口に合ってよかったです」
瀬戸さんは冬休みだと言うのに今日も来てくれてお雑煮とお正月料理を作ってくれた。
家で過ごしたりしないんだろうかとも思が来てくれるのはありがたいし、何より楽しいので俺としてはめちゃくちゃ嬉しい。
「やっぱり正月はダラダラするのが
いいよね」
「そうですね、お正月くらいはゆったりと過ごすのが一番いいです。」
珍しく瀬戸さんも正月はゆっくりする派らしい。てっきり正月もテキパキ動く派かと思っていたので少々意外だ。
まぁ彼女は普段から真面目だからこういう時にこそゆったりと休みたいのかもしれないな。
お正月定番のテレビ番組を眺める彼女はとても楽しそうだ。
———ピンポーン
そんなふうに瀬戸さんとお正月気分を満喫していると部屋のインターホンが鳴り響いた。
「誰だろう?」
「私見て来ますよ」
「いや、俺が見てくるよ瀬戸さんは座ってて」
俺は瀬戸さんにそう言って玄関へと向かった。
万が一変な奴とかだったら瀬戸さんに嫌な思いをさせてしまうからな。
しかし誰だろう? 宅急便は頼んでないし、俺に友達はいないし。
そう思いながら玄関近くのモニターパネルを確認するとそこには二人の美少女、清華美来と水瀬香織が立っていた。
「……」
なんでこの二人が俺の家を訪問してくるんだ……てかなんで俺の家を知っているんだ!
するとモニターから音声が聞こえてきた。
『悠真、そこにいるんでしょ。早く開けなさい。』
「……わかりました」
『分かればよろしい』
言われた通りに扉を開けると美少女二人が寒そうに立っていた。
「久しぶりね、月城悠真。」
「ひさしぶりー」
「お久しぶりです、清華さん、水瀬さん。本日はどうされましたか?」
「あら? 随分と他人行儀な対応ね。私達もっと親密な関係だと思っていたのだけれど。」
「いえ、まだ距離感を掴めずにいまして」
「だったら私と香織にも敬語は必要ないわ。気軽に話して頂戴。」
相変わらず独特な人たちだけどやっぱり根はすごく優しいな。流石は瀬戸さんの親友達だ。
だったら俺も彼女達の要望通りの対応をしなければな。
「わかった」
「ふふ、それでいいわ。早速中に入らせて貰うわよ。」
「どうぞ」
まさか瀬戸さん以外の女の子を家にあげることになるとは思ってもみなかったな。
リビングのドアを開けるとそこには瀬戸さんがテレビを見ながらくつろいでいた
「真奈、あけましておめでとう。」
「あけおめー」
「え!? 美来ちゃんに香織ちゃん!?」
清華さんと水瀬さんの姿を見た瀬戸さんはすごく驚いていた。
「どうして二人がここに?」
「由紀さんにあなたがここにいるって聞いてね。ここまで宮澤さんに送ってもらったの。」
「今日は真奈と遊びたいなー思って」
どうやら瀬戸さんと遊びたいが故に遥々ここまできたようだ。友達がいるっていいな。
俺には友達が瀬戸さんしかいないからなー。
「それにしても男の子の部屋って初めて来たけど……なんか普通ね」
清華さんが俺の部屋を見渡してそんなことを行った。
確かに俺の部屋は男らしさがあまりない。基本的に部屋の掃除は頻繁にしているのでそこまで汚れてはいないし、漫画などもあまり置いていない。男らしいのはゲームとその他くらいかもしれないな
「悪かったね、普通で」
「ふふ、そうすねなくてもいいのよ? 悠真……いえ月城悠真。」
清華さんは何やらハッとした様子で名前をわざわざ言い直した。
なんでわざわざ言い直したんだ?
そう疑問に思っていると答えはすぐにわかった。
「……随分と仲がいいんですね」
瀬戸さんがかなりムッとした表情で俺たちを眺めていた。
それに清華さんが慌ててフォローする。
「べ、別にそんなことないわよ」
「……前は名前呼びじゃなかったじゃないですか」
どうやら瀬戸さんは俺が名前で呼ばれていることが気になるようだ。何がそこまで気になるんだろう?
そんなことを思っていると瀬戸さんがボソッと小さな声で何かを呟いた。
「私だってまだ呼べてないのに……」
その呟きが清華さんには聞こえたのかなんだか考えるような表情をして慌てて話題を変えた。
「そ、そんなことより早く遊びましょ! そのために来たんだから!」
「遊ぶー!」
どうやらもう遊ぶモードに切り替えたようだ。そうなると俺は三人で遊ぶのに邪魔かな。
「清華さん達も遊びたがってるし今日は帰る?」
「で、でも私はまだ……」
「いえ、その必要はないわ。あなたも遊びましょ。いいわよね? 香織」
「人数が多い方が絶対楽しい。それにここの方がゲーム多そう」
最後の部分が本音ぽかったが……まぁどちらにしろやはりこの二人は優しいな。流石『氷姫』と『妖精ちゃん』。
瀬戸さんをみるとその方がいいですと何回も頷いてくれた。
「三人ともありがとう。」
「じゃ、ゲームの用意と設定よろしくね」
「え?」
「よ、ろ、し、く、ね」
「りょ、了解」
やはり『氷姫』はドライだった。
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