愛される妹に嫉妬した姉は、間違いを犯して断罪される

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 断罪の刃にかかる。


 頭上から、思い刃が落ちてきた。


 ああ、どこで間違えたのだろう。






 妹が憎たらしい。


 始めてそう思ったのは、七歳の頃だ。


 愛嬌のある妹は、誰からも愛されていて、いつも幸せそうに微笑んでいた。


 甘え上手で、人をおだてて、いいように動かす。


 私にはないものを、かねそなえていた。


 天使の様に無邪気で愛らしいと、人は妹の事を良く言う。


 けれど反対に私は、陰気で顔色が悪くて、死人の様だと蔑まれてきた。


 見た目がおかしいと内面もおかしいのだと、あることないこと噂される始末。


 妹と一緒にいると、私のそれはより強調されて、みじめになった。


 同じ姉妹なのに、なぜこんなにも違うのだろうか。


 どうして天は、誰か特定の誰かばかり贔屓するのだろう。


 私はだんだんと妹が嫌いになっていった。


 だから、嫌がらせをするようになった。


 妹の笑顔が曇ればいいと、私の様に不幸になればいいと思って。


 だって、私ばかり不幸なんて不公平でしょ。


 平等でなくちゃ。







 物を隠したり、何かを盗んだり。


 その行いはだんだん過剰になっていく。


 はじめのうちは、少しだけ意地悪をするつもりだったのに。


 歯止めがきかなくなってしまった。


 そして、気が付いたら私は、妹の背中を崖の上で押していた。


 だって妹と来たわ、私を哀れむばかりで、「お姉さまを助けてあげたいの」なんていうのは口ばっかりで。


 私が本当に助けを求めたら、ごまかすばかりなんだもの。


 私の行動が明るみになった時。


 多くの者達は、「なんてやつだ」と私を罵った。


「同じ家族なのに」とか。


「同じ血が流れているはずがない」とか。


 けれど、私が私を保つにはこうするしかなかったのだ。


 だって、誰も私を愛してくれない。


 父も、母も、使用人も。


 妹だけをちやほやして、甘やかす。


 結婚だって、妹は恋愛結婚なのに。


 私はただの政略結婚。


 友人はいなくて、いつもひとりぼっち。


 このまま妹だけが幸せになっていくのを見ていたら、気が狂いそうだった。







「この悪女」


「人でなし」


「血も涙もない鬼め」


 広場に集まった者達が、私に石をなげる。


 拘束されて、断頭台へ連れていかれる私を案じるものはいない。


 やがて、死刑執行人が合図をして、刃が振り下ろされる。


 ああ、どうしてこんな風になってしまったのだろう。


 こんな一人ぼっちなだけの、みじめなだけの人生を送る事になるなら最初から生まれなければよかったのに。


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愛される妹に嫉妬した姉は、間違いを犯して断罪される 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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