第20話 彼氏と後始末

「母さんがいないうちにカズオも成長したのか。お父さんとしたら、本当に嬉し」

 ゴマ擦り棍棒がお父さんの上で折れた。うんともすんとも言わないお父さんが外鍵付きの部屋に入れられた。


「カズオ、換気くらいしなさい」


「ごめん」

 私の顔はまた赤くなったり青くなったり白くなったりしただろう。


 二人が想定より早く帰ってきたのだ。元々三が日はずっと向こうにいるはずだったのが、向こうのお父さんが「そういえば牡蠣が食べたくなってきた」と、言い始めた。

 一回言い出すと言うことをきかないお父さんらしい。


 牡蠣アレルギーのカズオ君のお父さんは早々に退散したのが二日の朝、車で半日なので、家に着くのが夕方。連絡が来たのは二日の昼過ぎ。


「お父さんが帰るって言って聞かないの。ごめんなさい」

 血筋って怖いな。


「って、連絡あったよ。片付けないとね。って、まだ? もう帰って来ちゃうよ。仕方ないな」

 カズオ君の全てが終わったのが昼過ぎ、カズオ君とシャワーを浴びて私の体に擦り付けて出したのがもう十四時だった。


 念の為に置いておくようにお願いしたスウェットを着て、残骸を片付け終わったのが十六時。

 その時にお父さんの「カズオ帰ったぞ」が、聞こえた。

 引きずられたお父さんを見送って、カズオ君は震え出した。


「換気しなさい」


「はい! ただいま!」

 エアコンを消して、エアコン除菌もしているのだろう。窓を開けなてバタバタしている。


「あの、私も」


「お風呂掃除頼める?」

 さすがに大人は分かるんだよな。アレとアノお父さんとは違うわけだ。


 カズオ君の家のお風呂洗剤の場所を知った。ああいう行為を許した私にも罪がある。壁もぬるぬるしている。


 お母さんごめんなさい。壁を磨く前に全部脱いで掃除した。


「終わったよ。お風呂入っていいよね」

 お盆が頭を叩いた音がした。


「なぜいけない。ここは僕の家で換気とはいえ汗をかいた体を洗うのにお風呂に入って悪い理由が見つからない」


「今はダメ。絶対にダメ。お父さんの通りなら絶対理性が飛ぶからダメ」


「そんなお父さんみたいに理性が飛ぶことは無いよ。お風呂に入るよ。普通にはい、る」


 私はお尻を入り口に向けていた。そう色々丸見えである。


 ボコ、という音がした。


「ことはちゃんは悪く無い。お父さんと同じ刑罰でするから、ことはちゃんはお風呂洗い終わったら、そのままお風呂に入りなさい」


「ありがとうございます。そのカズオ君は?」


「死んだことないから大丈夫よ」

 死んだら出来ません。そう誰もが分かることを言って、お母さんは引きずって言った。遠くから声がした。


「母さん、棍棒はダメだと何度も」


「いたいけな女の子を襲おうとしても?」


「それはだが死んだらどうする」


「まだ死んでいないから大丈夫よ」

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