第13話 彼氏とたこ焼き

「ごめんね。もしかしてお楽しみ前だった?」


「いえいえ、まだ高二ですし」


「奥手なのね」


「まぁ、はい」


「あんたことはちゃんに変なことしてないでしょうね。こんな良い子いないよ」


「してないよ。ちょっと遊んでいただけだよ」


「鯖寿司は食べられる?」


「お酢が効いていれば」


「効いているわよ。美味しいわよ」

 カズオ君母の襲来で何となく流れてしまった。お盆休みもお互い忙しく次にあったのは新学期だった。

 お互い距離感が難しくカズオ君に取ったら、返事はいつ来るのかと思い、私にとったらもう決まっているのに何で察しないのと、少しイライラしている。


 分かってる。ちゃんと言葉が欲しいって、でも恥ずかしくて言えない。あの時は誰もいなくてタイミングさえ狂わなかったら、私も、という一言で済んだのだ。


 あんなに電波で天然なくせしてすごい乱されて何か面白くない。

 今日はお弁当を作れなかったので、私とは別れて食べることになった。最近カズオ君の友達が増えた気がする。やっと溶け込めるようになったか。


 遅いんだよ、バーカ。


 二人っきりになったのは放課後だ。メッセに気づいたのは放課後だった。お母さんからだった。


「お父さん連れて二泊三日の温泉旅行に行きます。節度を持って、いっぱい楽しんでね。じゃ、

 頑張りの何かを言わずに温泉旅行でいないと言うと、荷物を取ってくると一度家に帰るそうだ。

 私は先に家に帰ることを選ぼうとしたが、タイムスリップ時間があったことを思い出し学校の疲れで二往復する恐れがあったので、家の前まで一緒に行った。


「お待たせ」


「登山でも行くつもり?」


「着替えとゲーム」


「それでこの荷物? いいよ、ゲームも楽しいし」


「そのさ、ここでいうことじゃないかもしれないけど、その、えっと」


「煮え切らないわね。何?」

 耳元で「あれから練習したんだぜ。三箱なんてすぐだよ」と、言われた。


「あ、あんた練習って」


「ちゃんと買っといた。けっこう」

 カズオ君のお尻を思いっきり蹴飛ばした。


 お母さんからの手紙にはたこ焼きのタネとタコを用意したから、たこ焼きにするように。


「もー、また焦がして」


「熱いんだもん仕方ないでしょ」


「じゃ、私のあげる。ソースマヨでいいでしょ?」


「いや、たこ焼き上級者の僕としてはしょうゆマヨ一択」


「なら醤油冷蔵庫にあるから、焦げたの半分ずつね」

 最初は慣れない作業も次第に出来るようになってきた。まさかたこ焼きだけでお腹いっぱいになるとは思わなかった。


「アイス食べる?」


「ワンカップはいらない半分ずつかな」


「ミニカップは」


「そしたらそれで」


「食べ終わったらお風呂ね」

 ソファの上でくつろいでいたカズオ君が正座した。カップを持って来ている最中にカズオ君は私を見た。


「僕はあなたの事が一番好きです。八月のお返事をください」

 仕方ないなと思い、床に正座した。


「私もあなたが好きです。というかもう付き合っていると思っていたわ。付き合ってくださいって言ったし」


「その確実な好きが欲しくて」

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