第9話 彼氏の家でお泊まり

「来週、家においでよ。親いないからさ」

 四月、末にも落ち着くと思ったが、アホがゴールデンウィーク感謝祭とかアホなことを言っている。


 何とも信用が出来ない。


「どうせ何もしないんでしょ。ビビり」


「そんな事は無い、これまで我慢してきた。恥ずかしいことをするよ」


「ホント?」


「本当だ。約束する。飯は僕が作るよ。ちゃんとご飯を作れるというアピールポイントは主張しておきたい」

 家に来るのは土曜日に来いと言われた。天然なのでゴムの用意が無いかもしれない。恥ずかしいけど、買っておくか。


 家に帰ってお母さんに土日は泊まりで帰らないと伝えるとあらあらといいじゃ無いといいいくつかの箱をくれた。


「無いと困るし買うのも恥ずかしいでしょ。お父さんが買い込んでいるの、私はそろそろ良いかなって思うけどお父さんが本当に」


「分かった。ありがと」

 親の性事情ほど聞きたく無い話はない。


「お父さんにはお友達の家に遊びに行くって言っておくね」

 お母さんありがとう。ちょっと嫌だけど、ゴム大切に使うね。でも、男側の確認を取ら無いといけない。


 何かあった時に困るのは女性の方だ。する前に用意が無いから生でと言われたら、苦渋の決断で逃亡しかない。


 この質問は怖かった。もし、私が頭にあった最低な事をカズオ君がしそうになったら、関係性を考えないといけないかもしれないからだ。悩んでいるうちに金曜日になった。土日がいないなら、金曜日から行きたかった。


 放課後しか聞けるタイミングが無かった。


「あのさ」


「どうした。ことは」


「土曜日の夜、するよね」


「スタミナが切れなかったら日曜の午前までするぞ」

 え、そこまで! どんなにやる気あるのよ。


「初めてでそこまではこっちもへとへとになるよ」


「少し休んだらいい。ちゃんと日曜の夜には返す」

 すごいな流石男の子。彼女にスタミナ切れさすまで止めないんだ。


「そのさ、そういうことするのに用意はあるの?」


「用意か、ちゃんと揃えているぞ。なるべくフィットするように色々用意しているし、飲み物もたくさんあるぞ」

 ゴムだけじゃなくて、おもちゃまで? 展開が早すぎるよ。


「そんな特殊な物はいらないからね」


「そうか平均的な物にしような」

 飲み物って何? 精力剤? 高校生のエッチでそこまでって。

 土曜日。二箱のコンドームを持って家を出た。お財布とポーチ、化粧落としはお母様のを使わせてもらおう。場所くらいカズオ君は知っているだろう。


 深呼吸をして、インターフォンを押したのが、十五時。すぐに作ってやると言って出してくれたオムライスが美味しかった。


「お風呂先に入るね」

 彼氏の家の初めてのお風呂、臭くないかな大丈夫かな、化粧も落として、お風呂を出た。


「遅いな、一刻も早くしたいんだよ」


「せめてカズオ君もお風呂に入ってから」

 そんなに焦っても私は逃げないよ。


 テレビの前でコントロールを持つカズオ君。


「一晩中、ゲームが出来るな! コントローラーの持ち方も教えるよ」

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