菜の花に 風は冷たき 蜂の春

菜の花に 風は冷たき はちはる



 季語は菜の花、季節は春。

 テーマとなる虫は、ニホンミツバチ(膜翅目ミツバチ科)。



 3月に入り、暦の上では一応春ということになる。


 とはいえ、2月下旬は曇り時々雨で気温も低い日がしばらく続いていた。


 3月1日になって久しぶりに雲が姿を消し、からっと晴れたのだが……いかんせん風が強い。春一番ではなく、また、山から吹き下ろす冬の北風というわけでもないが、東から吹く風はとにかく冷たい。


 少し前まで、何だったか忘れたけどとにかく別の花が咲いていた花壇は、いつの間にか菜の花に植え換えられていた。

 そこに数種のハナアブと、ツマグロキンバエという秋から春にかけてよく見られる小型のハエの仲間が集まっている。


 そして、ニホンミツバチ。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16818093073045808487


 だが、運動不足解消を兼ねてしばらく公園を散歩してみても、チョウたちは見当たらない。そろそろ越冬から目覚めてもおかしくないだろうに。


 三月の日差しは意外と強く、これで冷たい風がなければ目覚めたチョウたちも花にやって来たのではないかと思わせる。

 そしてハチやハエたちは寒風をものともせず、ライバルのチョウたちが出てくる前にできるだけ蜜を呑んでおこうといわんばかりに、花から花へ飛び回っている。


 だから、蜂の時とか蜂のときとか候補を調べてみた。

 秋と書いて『とき』と読む。危急存亡のときという言葉があるが、春も『とき』と読むことが可能ということがわかった。

 しかし、蜂のときなどとしてしまったら、今が活動のピークみたいだ。まだ3月が始まったばかりなのに。だから結局、蜂のはるとなった。


 とはいえ別に、チョウが出始めたからといって、別にハチ達が追いやられるというわけでもないのだが……。

 などと、余計なことばかり考えているとそれこそ創作にならない。理系の人間というか、筆者の悪い癖ではある。

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虫たちを詠む 広瀬涼太 @r_hirose

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