遠き日の 春に夢見し 蝉時雨

遠き日の 春にゆめし 蝉時雨せみしぐれ



 季語は春の夢、季節は春。

 少し形を変えているが、春の夢ははかないものとして季語とされる。他の季節では季語にならない。

 なお、蝉時雨は夏の季語であるが、夢の中の出来事ゆえここでは季語として扱わない。

 テーマとなる虫は、おそらくクマゼミ。子供の頃から家の周りでよく鳴いていた。



 『ある環境調査員のメモ』の『五月のセミ』の項でも書いたのだが、子供の頃、なぜか毎年のように五月ごろ、セミが鳴いている夢をよく見た。


 ああ、もうセミの鳴くような季節なんだ。今年もまた、夏休みが来る。

 そして、夢から覚めてがっかりする。まだ夏休みは遠い。


 とはいえ、楽しみにしていたのは夏休みであって、セミの声はただその象徴にすぎなかったのだろう、きっと。

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