黒揚羽 木下闇へと 消えにけり

黒揚羽くろあげは 木下闇こしたやみへと 消えにけり



 季語は木下闇、季節は夏。

 テーマとなる昆虫はクロアゲハ(鱗翅目アゲハチョウ科)。

 揚羽および黒揚羽も夏の季語らしいが、実際には春から秋まで見られる。



 いくつか昆虫をテーマに句を詠んできたが、何やらそれぞれの種の生態に基づいたものばかりで、一般の人どころか知識のある人間が見ても解説なしでは何のことやらわからないものとなってしまっていた。


 俳句というものは十七文字ですべて語るべきなのは重々承知の上であるが、そこに収めようと色々削ると、必要なものまで消えてしまって結局数百字の解説不可避となるのである。


 それで、『揚羽蝶あげはちょう 曼珠沙華まんじゅしゃげに来て いとをかし』みたいな、目の前の光景のみを描写した俳句が読みたかったのであるが、現状ご覧のとおりの有様だ。

 長い間仕事で虫を見すぎたせいか、あまり新鮮な驚きというものを感じなくなってしまっているのかもしれない。


 

 表題の句は、山に近い公園で街なかではなかなか見ないクロアゲハを見つけたが、一枚写真を撮っただけで逃げられ、森の中に飛んで行って見失った、というものである。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16817330666003674998


 まあ、クロアゲハは闇に紛れるために黒いわけではなく、ジャコウアゲハという毒を食草から取り込んで身を守っているチョウに擬態しているだけなのだ。

 ならばなぜジャコウアゲハは黒いのか。ちょっと調べたがよくわからなかった。



 結局のところ、『虫たちを詠む』の目標としては、余計な解説のいらない句が詠みたかったのだが……。


 まあ、ゆっくり精進します。

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