レベル開示の宝珠

 あれから三匹の魔物を狩ることができた俺は、引きずるようにして買った魔物を運んでいた。


 全ては生き残るために強くなろうとしようとも、殺めた命を捨てるのは命への敬意がかける。


「……とはいえ……流石に三匹分となると、重たい……」


 そうぶつぶつ言いながらも、家に向かっていた時、ガサガサと茂みから何か大きな物が飛び出してきた。


 ……!? まさか、血の匂いに釣られて魔物が出てきたのか⁉


 そう思って、構えたがその心配は杞憂だった。


 何故なら、茂みから出てきたのは我が父グラハムだったからだ。


「おお、ラプラスじゃないか‼ こんなところで会うとは、いや~偶然ってのも恐ろしいもんだ」


 そう言って「がははは」と笑うグラハムは、背中に血に染まった大きな鉈を背負っていた。


 ……まるで、ホラー映画の化け物だな。


「それで……そいつらが今日お前が狩った獲物なのか?」

「え? ……うん、そうだけど……」

「そうか! 流石我が息子、初狩で魔物三匹を仕留めるとはなかなかやるじゃないか‼ 偉いぞ~」


 そう言って、ガシガシと頭をなでてくる。


「ん……別に、大したことをしてないから。それより、早く帰りたい……から」


 そう言って俺は、兎を引きずるのを再開する。

 重たい兎を引きずっていると、突然ひょいっと軽くなった。


「重たいだろ? こっからは父ちゃんが持ってやるから」

「ん……ありがとう」

「いいってことよ、さ、帰るぞ。母さんがあったかい野菜スープ作って待ってるだろうからな」


 そう言って、「がっはっは」と笑うグラハムと一緒に俺は家に帰ったのだった。


 因みに、家に帰りつくと母さんからは狩りに言ったことをこっぴどく叱られてしまった。


 まあ、黙って言ったわけだし……それに、四歳児が狩りするって危険な行為だから……普通は怒られるよな。


 とはいえ、明日も狩りには行こうと思っているが……だって、早く強くならなきゃいけないからな。




 母さんからの説教を喰らい、その後軽く水で体を拭った俺は、そろそろ暗くなってきたからと寝る準備をしていた。




「おーい、ラプラスちょっとこっちに来てくれ~」


そんな時、俺はグラハムから声を掛けられた。


「……ん」


 何? 今から寝ようってしてたのにさ。

 リビングに行くとそこには丸い何かの前で座っているグラハムがいた。


 なんの様なのか……少なくとも、あの丸い何かは関わってきそうだな。


「それなに?」

「そいつはな、レベル開示の宝珠って奴だ。触れた奴の今のレベルを調べることができる」

「へぇ……そうなんだ」


 それは、便利だ。

 どれだけ強くなっているのが分かったら、これからのレベル上げの目標も見えてきそうなものだ。


「お前にやるよ」

「……え? 良いの?」

「ああ、お前欲しいだろ?」


 それは勿論。


「でも、良いの? 貰っちゃって……高いんじゃないの? こういうのって……」

「まあ、高いな。でも俺も母さんも使わないからな……」

「そう……あれ? じゃあなんで買ったの?」

「え、そりゃ……気になるじゃねえか、俺のがどれだけ強いかってのは? まあ、俺からすればレベルとかは正直どうでもいいと思ってるが……一回くらいは見て見たいものだろ?」

「ふーん……」


 レベルは関係ないと言いながら、レベルに興味があるってのは正直よくわからん。けどまあ、自分のレベルを知りたいってのは分かる。


「……とりあえず、貰うね。ありがとう」

「おう、大事に使えよ!」

「分かった……」


 とりあえず、便利そうなアイテムがもらえたってことで良しとするか。

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