第16話 〜事件の概要〜

「全能神・知恵の神そっちは何か成果あったか」

「えぇ。取り敢えずここにいても安全かわかりませんので一旦第8世界に戻りましょう」

俺らは第8世界に戻ってくると、全能神が話し始めるのを待った。

「えーっとまず。第2世界の爆発についてですが、命与神と愛の神が第2世界へ行ってすぐ、何者かにより第2世界の遮断が行われました。カメラの映像では彼らの姿は捉えることはできませんでした。しかし、映像に小さな揺らぎが生じました」

そう言って乱れる映像を見せられた。

「言われてみれば一瞬だけ乱れた感じしたわね」

「でも遮断されたのなら、軍神と模倣神は第2世界には入れなかったってこと?」

「えぇ一度遮断されて第2世界の外側に飛ばされています」

映像には軍神と模倣神が映っていた。第2世界は高温なので軍神がいち早くそれを察知して結界をはったところまで映っていた。

「それでこのあとどうなったの?」

全能神が映像を進める。

しばらく第2世界の周りをウロウロしている軍神と模倣神がいるが、何の前触れもなく姿を消した。

「爆発する前に消えたんだね」

「はい。この1秒後大爆発が起きます」

大きな音を立て第2世界が爆発し、なくなる瞬間の映像が流れる。

「こちらの映像はここまでです。知恵の神続きをお願いします」

「はい。まず爆発前の違う映像データです」

そう言って先程までとは違う色味の映像が映る。

「こちらは第2世界の爆発前の映像です。爆発の前急激にガスが第2世界の周りに充満します」

そう言って進む映像を見ると確かに第2世界の周りにガスが充満していく。映像が進み第2世界が爆発する。

「もう1点おかしな点があります」

映像は第2世界のみではなく全部の惑星が映る画角に変わった。

「本来ならこのような大爆発、他の世界も甚大なる被害を被ります。しかしほぼ被害はありませんでした。

爆発の瞬間それぞれの惑星に結界が張られたみたいで、ほとんど跳ね返されてます」

「言われてみれば、そうね。どう言うことなのかしら」

「ガス漏れが意図的に行われた可能性が高いですが、ならどうして他の世界は守ったのでしょうね。意図がわかりません」

「そうですね。そして消えた4神もどこに行ってしまったのか」

みんな黙り込んだ。

「なぁ、そういえば現場にはこれが落ちていた」

そう言って軍神のであろう鎧の一部を見せた。

冥界神が瞬間的に飛んできた。

「……どう……して」

冥界神はそれを俺から奪うと座り込んでしまった。

「やっぱり軍神のだったか。ちなみに現場にはそれ以外は何もなかった」

「そうですか。ありがとうございます」

全能神が話を切り替える。

「それでは第1世界から第7世界で異変のあった場所についてまとめましょう。まずは第1世界ですね。こちらは異変と呼べるものはなかったです。まぁ強いて言うならいろんな場所で争いは起きてましたね」

一緒に行っていた重力神も頷いた。

「第3世界は異常があったみたいですが、具体的に何があったんでしょうか」

「……」

本来なら冥界神が答えるのだろうが、軍神があんなことになっていては心ここに在らずだ。

「えーっと僕が話します」

空気を読んだ水神が話し始めた。

「第3世界の生活圏と空気層の間に穴が空いており、水浸しになっていました。空気が足りなくなった一部の生物は命を落としております。周りの生物に話を聞きましたが、穴が空いた原因を知る者はおりませんでした。現在穴は封鎖しており、空気も充填してきました。しかし放置するとまた穴が開く可能性があります。以上です」

「故意に穴を開けた奴がいる可能性があるな」

世界創造する際に層に触れたことがあるが、あれは弾力もありそう簡単に壊れるようなものではなかったはずだ。

「では第4世界についてわしから説明しよう」

発明神が話し始めた。

「全能神の話では、第4世界機械の世界は宇宙船も出すほど発展した世界と言っていた。しかし中は時間が止まったかのように何も動いてはおらんかった。動力源である中央の光がだいぶ薄い光になっていたのが原因と考えられる」

「なるほど。それは良くないですね」

全能神がみんなの話を聞いて複雑そうな表情をする。

「次は第5世界は飛んで、第6世界」

「えーっと」

豊穣神が口ごもる。

「どうかしたか」

豊穣神は芸術神を見る。

「何か異変があったのか」

「それが……知らない奴らが」

豊穣神が言い終わる前に、何か力が働き豊穣神は姿を消した。

「はっ?」

「どう言うことだ」

全能神が芸術神に詰め寄る。その形相は以前知恵の神に手を出した模倣神に詰め寄ったときと同じくらい怖い顔をしていた。

芸術神は視線を逸らすと「私は……私は何も知らない」と大きな声で怒鳴った。

背中を向けた芸術神の背中が少し震えているようだった。

「全能神そこまでにしてください。何か言えない事情があるのでしょう」

そう言って破壊神が止めてくれた。

「第6世界には問題があるようですが、第7世界は何もありませんでした。さぁこれで以上です。まとめて次の議論に入りましょう」

破壊神が続けて第7世界について話してくれた。


全能神が緊急事態と集めてからまだそんなに経っていないのに、立て続けに問題が起こった。

妙な緊張感が辺りを包む。

「第6世界に行くか?この感じだと俺らにちょっかい出しているのが第6世界にいる可能性が高いが」

誰もがそうだろうと思っていてもなかなか言えない一言。

「しかし……」

全能神が口籠る。

「このままここにいても問題は解決しないどころか何か悪いことが起こる可能性すらある。だったら悪の根源をぶっ潰しに行くのが早くないか」

「私もお力になれるでしょう」

破壊神の力はわからないがなんとなく頼もしい気がする。

「僕はあまり戦力として力にはなれませんが、頭脳戦ならお役に立てます」

「せっかくテーマパークにした第6世界を汚されるのは嫌だからな。人々を笑顔をにするための場所なのに、豊穣神と芸術神の心に傷をつけたやつに容赦なんかしない。全能神はここに残ってくれても構わない。だから行かせてくれ」

「……そう……ですか」

全能神が俺の方を見つめる。

「それでは頼みます」

「おしっそれじゃあ行くか」

俺は破壊神、重力神、知恵の神、発明神の4神を引き連れ、第6世界へと転移した。

もしものために水神は全能神と残っている神を守ってもらうことにした。

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