第19話 月光とビックイーター


 レベルなぞ見たことないがみたみようかな。とダンジョンの一階層の板に触ってみる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ヤオキ  二十一歳

 レベル286

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 レベル286は高いのか?あとでメルルに聞いてみよう。

 さて、刀はできてるかな?

 北の街まで走って行く。

“ザザザザザザ”

 と地面が下がって行くので危ないと思い空に飛ぶ下からビックイーターが迫って来ていてギリギリで躱せた。あんなにでかいのが空に飛ぶなんて思わないからあぶなかったのじゃ。そのまま空中を飛んで街に降り立つ。


 冷や汗がすごい。


 とりあえず刀のことも忘れてゴタ爺の店で休ませてもらう。

「刀できた様じゃよ」

「ほんとに!あー取りに行かないと…でももう少し休ませて」

 ゴタ爺がアイスコーヒーを入れてくれたのでそれを飲んで心を落ち着かせる。

「ありがとうゴタ爺」

「いいや、ヤオキはいつ見ても可愛いのぉ」

 金平糖をもらって食べる。

「元気湧いてきたからワシ、刀とってくる」

「おぉ、いってらっしゃい」

 外に出ると蒸し暑い路地裏を通って大通りをさらに進んでまた路地裏の工房へとやってきた。

「こんちわー」

「やっと来たか、さぁ、これが今日からお前の相棒だ」

 黒い鞘に入った刀を抜くと黒い刀身に金の波紋が美しい。

「お前のために色々材料調達してたら遅くなっちまったな」

「いや、いい刀じゃ」

「魔力の通りもいいからお前にピッタリだろ?」

 魔力を通してみると金色に光輝く。

「いや、恐れ入った。すごい刀じゃ」

「金貨20000枚だな」

「よし買った」

 金貨20000枚あってよかったぁ。

「ありがとのぅ」

「いやこちらこそいい仕事だった」

 互いに熱く握手をして別れる。

 此れで二本も良い刀を貰うたな。

 そんな中警報が鳴り響く、ビックイーターが近くにいるのか。

「走れー早く!!」

 いつもの衛兵の声が聞こえる。

 いってみると、スズ達か!

「急ぐんじゃ!はしれ!」

 こっちにくる途中で警報が鳴ったみたいじゃ。

 後ろから凄い勢いで、ビックイーターが近寄ってきておる。

 悟ったのじゃろう手を振っておる。

「そんなことさせるかぁー!」

 ワシは新しい刀を手に走り出す。


 スズ達は飲み込まれてしもうたがワシは諦めんぞ!口を開けてくるビックイーターの上に飛び乗り魔力を最大までこめると刀が金色に発光する。

 刺すとずぷりと刺さって行く感覚があるのでそのまま引き裂いて行く。

『クオオォォォォ』

 という鳴き声にも似た音を出してビックイーターはひらきになった。


「スズ!生きとるか!」

「…うん!生きてるよ」

 ケンもアカメも生きていた。ビックイーターの死骸は街に運ばれて中に溜まっていた金貨や誰かの遺骨などを取り出して行く。

 『月光』と名付けたこの刀の最初の初陣はビックイーターだった。

流石ビックイーターだけあって報酬も金貨15000枚になった。あとは腹の中に入っていた金貨10000枚ほどが俺の懐に入ってきた。

「ヤオキ!ありがとうー」

「たすかったぜ!」

「ヤオキに感謝だよ」

 腰を抜かしてる三人は何とか言葉に出して感謝ん告げてきた。

「いや、よかったよ本当に」

 ビックイーターを倒せてよかった。

 月光のお陰だな!

流石にビックイーターを食べる気にはならんので素材として売ったらまた金貨10000枚になった。桁が違うのぅ。

 ギルドにでやりたいことがあったんじゃ。

「今日はワシの奢りじゃから存分に飲んで食ってくれ!」

「「オオオオオオオオオオオオオオオオ」」

 ワシも飲んで食うぞ!

「ヤオキもやるじゃん!」

 スズ達じゃ!

「ワシはいつでもやる男じゃよ」

「そうだね!アハハ。カッコっよかったよ」

「うん、惚れそうなくらいにね」

「男の俺も感動したぜ」

 照れるじゃろ。


『黒の旅人』が、ビックイーターを倒したのは瞬く間に広がった。

「弟子にしてください」

「その刀を売ってください」

 などめんどくさいことこの上ない。

「いやじゃ!売らんし!」

「手合わせを」

「死にたいのか?」


 さっさと密林に行こう。そしてその向こう側にも。ドロップ品を売って稼いだ金で食料を買い溜めして南の街からもっと南、遺跡より南に行く。そして密林に到着した頃スコールがあった、踏んだり蹴ったりである。  

「何でワシが逃げる様に出てこなきゃならんのじゃ!」 

怒りながらスコールの中雨宿りできる大きな葉っぱの下でスコールが過ぎるのを待つ。熱帯雨林なので蒸し暑いし、他と植生が異なる。ここがどこかさえわからないとりあえずは南を目指す。

 スコールに何度となくあいながらここは俺は住まないぞと心に誓う。

 村が見えてきたので一安心すると矢が飛んで来た。

「何様だ?」

「旅のものじゃ!危害を加えるつもりはない。宿を貸して欲しい」

「着いてこい」

 肌色の違う女ばかりの村だ、

「ここに泊まれる」

「あぁ。ありがとう。ヤオキだ」

「アンジュだ」

「男はいないのか?」

「ここはアマゾネスの村だ、男の村は他にある。男女共に暮らす村もな」

「そうか、少しだけ厄介になるぞ」

「ああ。早く出て行ったほうがいい」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る