駄作駄作駄作321

エリー.ファー

駄作駄作駄作321

「まぁ、呪われた時間だってある」


 つまらない、そう言われてしまったら悲しいのだけれど。

 でも、次から次へと自分の物語を作るための言葉ができあがっていく。

 そう。

 生まれたものが、何かを生んでいく。

 そして、産み続ける。

 まるで、そう何かの循環。

 生命にも近い何かである。

 きっと、何かという言葉が多いのは、私にも理解できるものではないからだろう。私の思考の外に存在しているものが言葉という翻訳装置を通ることによって現れているだけに過ぎない。

 結局の所。

 文化とは、そういうものだ。

 分かりにくい何かが、分かりやすい何かに変わっていくために必要なものでしかない。

 変換され。

 壊され。

 再構築され。

 そして。

 翻訳され。

 理解される。

 場合によっては、最初にあった形などとうに忘れ去られてしまう。悲しいことに、誰も覚えていないことだってあるだろう。ヴァイオリンの音色でさえ、完璧には耳に届いていない。鳴り響いているうちに、空気で削られ、人で削られ、空間で削られ、生の音などどこにもない。

 そして。

 最初から生の音などない。

 あってないようなものを。

 あってあるようなものとして存在させる。

 言ってしまえば。

 ペテン以外のなにものでもない。

 あたかも。

 そう。

 最初からずっと。

 蟒蛇だったのだ。

 私たちは、味わうこともまともにできない呪いの中で、文化を芸術を人類を知ったかぶりで語っている。

 いや。

 それでいいのか。

 語り尽くせぬことは明白ならば、どこかで、分かった風でなければならない。

 もっと早く教えてもらいたいことばかりだ。

 私の物語ではない。

 これは人間の物語だ。

 知識と思想が致死量を超える前に、行き着かなければならない真理だ。

 この言葉にも。

 何も見えていない無知なる人間の影がへばりつていると言える。

 白い紙に何を落とす。黒い嘘か。黄色い骨か。赤い瞳か。

 まともに戦ってはならないのだ。

 負けてはならないのだから、私たちは勝負もしてはいけない。

 積み上げたものに傷がつかないように立ち振る舞うだけで精一杯になってしまう。

 でも。

 そのうち。

 バグが現れる。

 意思を持ったバグが現れる。

 すべて壊してしまう。

 大事にしていたものも。

 些末なものも。

 でも。

 それでいい。

 皆、待っているのだ。

 もちろん、いっぱい理解したことを誇り。

 いっぱい知っていることを誇り。

 いっぱい考えてきたことを誇る者は。

 怒るだろう。

 でも、いいではないか。

 どうせ、さっさと死ぬ側である。

 残る側ではない。

 必要な駒ではないのだ。

 分かっているものの思考だけが、海面を漂えばいいのだ。

 深海に落ちていくのは。

 もう、生まれた時から決まっている奴隷の思想でしかない。

 泡にもなれない。

 砂粒からも迫害される。

 分かっているのに、そこから出ることができない。

 プライドの高さが邪魔して、実力不足と才能のなさを真じることができない、凡人のなれの果て。

 もう、話してもしょうがないのだ。

 賢さという病がきっと深くしてしまう。

 マリンスノウと言うらしい。


 良く言い過ぎだろう。

 勘違いの集まりでしかない。

 さようなら。

 大きな悩みよ。

 さようなら。

 何もかも無意味にしてしまう下らない集団よ。

 誰のことを言っているのか。

 まさか、自分のことではないのか。

 この文章を読んでいるうちに自分がその中に取り込まれていることを自覚するような伝えているのではないか。

 深く、考えてはならない。

 理由は簡単である。

 貴方は。

 君は。

 貴方たちは。

 そのことを、ずっと前から知っているはずなのだ。

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