第10話 服装 

俺は次の日ギルドにユーリ草を持って行った。


「有難うございます。」


純粋にギルド職員のリアさんに喜ばれた。

俺の顔に慣れてきたのだろうか?


「それで…マリー花って最近見ないらしいですね?」


「あ~バレちゃいましたか。そうなんですよね。最近はてっきり見なくなって。でも薬草探すの得意そうだから大丈夫かな?って。」


わざとだったのか…。


「でも探してるのは本当なんですよ。貴重なので、1万出します!期間は気にしなくても大丈夫です!」



****



俺は家で、薬草が書かれている本を眺めていた。

マリー花は珍しい木の幹に生息しているらしい。

ローズウッドという木らしい。

その木も枯れて中々見つからないという。


ローズっていうからバラの木なのかな?

でも何だか聞いたことある名前だな。

元の世界と同じ名前の物があるのかな。


「あ、そうだ!」

俺には地図がある。

ローズウッドって周辺に生えてるかな?


目の前に立体のホログラムが浮かんだ。

ミカゲの森、近くの川とかが立体的に等高線で描かれている。

俺はしばらく眺めていたが、地図には何も変化が無かった。



「‥…。」



マリー花は後にしよう。

俺はもう一つの大事な目的を果たすことにする。


「塩を手に入れる!」


確か昔は海水から塩を作っていたと思う。

今でも高級な塩は海水で手作りだ。

この世界でも作っているかもしれない。

庶民的な物じゃないのかもしれないな。


「海か。」


この世界にも海は何処かにあるだろう。近いのか遠いのか分からないけど。







「そういえば、聞きたかったことあるんだよね。今更だけど。」


アンがいつの間にか部屋に入ってきていた。

びっくりした。


「ミライって他の国の人だよね?」


「え?」


異世界から来たのバレてる?


「服も見たことないデザインだし。髪の色も黒いし。」


「あ、うん。だからこの国の事はあまり知らないんだ。色々教えてもらって助かるよ。」


服か…お金出来たら買った方が良いか。?


「服変かな?」


「変っていうか不思議な服だよね。最初見た時、貴族かと思っちゃったよ。」


「その、ふわふわしたやつ。動物の毛皮で作ったんでしょ?」


俺はフリースの上着を着ていた。

化学繊維‥といっても通じるわけないか。

確かにお金持ちの人は毛皮のコートをまとったりするけど。


俺は想像してみた。

お金持ちの貴族で、目つきが悪くてガタイのいい男。

どんなんだ。

見た目がやわだったら、強盗とかに服をひんかれていたかも…。

寒気してきた。

危ないから着るの止めよう。


仕方ないこっちの世界の服を買うか。


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