第12話 反旗⑫

ライラック中将を味方に引き込むことができたので、いったん屋敷に帰って兄さんと父さんと情報を交換する。それにライラック中将を味方に引きずり込むことができたといえど部隊編成なんかも考えなおさないといけなかったりするので、やることは多い。


俺が屋敷につくとそこにはすでに帰っていた兄さんと父さんがいた。


「エミル、どうだった?」


「イズミル海軍基地司令官のライラック中将はこちらに加わってくれるそうです」


「そうか!となると麾下の地中海艦隊も味方に加わるのか?」


「はい。そうなる予定です」


「それならよかった」


「それで兄さん、今のアカル侯爵家にはどれぐらいの戦力があるのでしょうか?」


「部隊長たちによるとすぐにでも動かせる部隊が3大隊に教育中の部隊が1大隊。海軍は重巡1隻、軽巡3隻、駆逐艦4隻、その他が30隻とのことだったよ」


「了解です」


「私からは貴族の反応についてだ。先ほど電報を送ってみたが積極的に参加してくれそうなのはファセリア辺境伯爵、シャラパール伯爵家、ジェンティアナ侯爵家の3つだ。アイリス公爵家はあとで使者を送ってくるらしく、それで判断するとのことだ」


「ファセリア辺境伯爵家ですか?相当遠い貴族ですけど大丈夫ですか?」


「そこらへんはわからんな。私は軍事のほうは得意ではない」


「エミルはどう思う?」


「そうですね。戦力はあったほうが嬉しいですが、さすがにあそこまで遠いと今の状況では難しいですね」


「なるほどな」


「ただ、エーデルワイス公爵家がこちら側に参戦すれば連動することも可能だと思います」


「エーデルワイス公爵家か…あまりかかわりはないな」


エーデルワイス公爵家というのはバクーなどのコーカサス山脈周辺を統治している公爵家で経済力が非常に強いとされている。しかし、あまり公の場に登場することはないので見たことがないという貴族が上級貴族の中でも多数を占めている。


いわゆる謎めいている貴族なわけだな。


「でも、まずはアイリス公爵家がこちら側で参戦してくれないと始まらないからね。まずはそっちに集中してもいいんじゃないかな?」


「そうですね。もしアイリス公爵家がこちら側についてくれれば相当戦況は変わると思います」


「わかった。アイリス公爵家の使者がいつ来るかはわからないが、いつ来てもいいように資料を作っておいてくれ」


「了解です」


俺は2人との情報交換を終えると自室に戻って部隊編成などを考え始める。アイリス公爵家は相当な頭脳派だと聞いているのできちんと勝ち筋のある作戦を考えなければ協力してくれないだろう。

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