第11話 反旗⑪ sideリオット

シオン、エミルが家から出て行ってから私は仕事にかかる。忙しいと言って最近帰ってきていなかったエミルが帰ってきたのは非常にうれしいが、とんでもない厄介ごともついてきた。


イズミル周辺に領地を構えている貴族はいくつもあるがその中でも有力なのはイスタンブールを含めたイズミルよりも北部地域を治めているアイリス公爵家、アンタリヤなどイズミルよりも南部地域を治めているジェンティアナ侯爵家、そしてコンヤなぞイズミルよりも東部地域を治めているシャラパール伯爵家などだ。


その中でもジェンティアナ侯爵家はエミルの婚約者の家でもあり非常につながりが深い。アイリス公爵家やシャラパール伯爵家とももちろんつながりもあり、対話のパイプは持っている。


ただ、だからといって反乱に協力するかどうかは別だ。特にアイリス公爵家は皇帝の血が入っている血筋のため、なかなか難しい。ただアイリス公爵家のところにあるイスタンブールには地中海、黒海ともに活動範囲である第2遊撃艦隊がありもしそれを味方につけることができれば有利に戦争を進めることができるだろう。


すでに様々な街に話が出回っているのでわざわざ暗号で電報を打つ必要もない。イズミル周辺、そして皇帝に対して距離を保っている貴族に対して一人一人丁寧に自らの手で電報を打っていく。


少し経つと送った貴族からそれぞれの返答が帰ってくる。ただ、ほとんどの回答は考えさせてくれという日和見なもの。まぁ、それもしょうがない。ここでの選択が領民全員の命に関わることになる。


しかし、その中で目を引くものがあった。それは帝国北部ハルキウなどを治めているファセリア辺境伯爵家。ファセリア辺境伯爵家は帝国北部で国境を代々守っている軍事的に強力な辺境伯爵家だ。非常に強力な陸軍を私有しているため皇帝だろうと簡単に扱うことはできない貴族でもある。


そんなファセリア辺境伯爵家からの回答は何と反乱に参加するというものだった。しかも軍隊を傭兵として派遣するという支援ではなく全部隊を動員した大規模な作戦を行う準備もあるという。ここイズミル周辺の貴族は基本的に海軍力が強く陸軍力が弱いというところが多いため味方に付くのなら非常に頼もしい。


ファセリア辺境伯爵家から回答が来てから数分後、シャラパール伯爵家、ジェンティアナ侯爵家、そしてアイリス公爵家から続々と返事が届く。


シャラパール伯爵家の回答は反乱に参加するというもの。彼らも最近の皇帝陛下の行動はさすがに看過できないということだろう。そしてジェンティアナ侯爵家も同様に反乱に参加するという回答。


そしてアイリス公爵家の回答だが、使者を送るためそことの交渉によって決めるとこのことだ。

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