第22話 推薦状
「俺は帰るが、お前はどうするんだ?」
そう俺は聞くと、
「私も帰る」
「そうかい」
"ブリザード・アクス"を練習していた時のテンションはどこへやら。すっかりと冷め切っている。まぁ、それが氷華なんだけど。
「そういえば、こうにぃも参加するの?」
「何に?」
なんかあったか?
「能力者選抜式高校祭」
「あー....んなのもあったなぁ」
能力者選抜式高校祭。年に一度だけ開かれる高校生の能力者達の大会。
「まぁ、参加してもいいが....」
正直、魔法だと気付かれる気配が毛頭ないし...。
「なら良かった」
「どういうこと?」
「校長から推薦状、預かってる」
「いやはええな」
びっくりしたわ。推薦状作るの早すぎだろ。俺、何も言ってないのによ。
「あとリンさんも」
「はぁ!?!?おかしいだろ!?」
もう遅い時間だというのに、大声を出してしまった。
「俺はわかる。高校生やし、模擬戦で一応圧倒してたしな?しかし、なぜにリン!?」
「年が同じに見えたから」
........どこが?どっからどう見ても大人だろ。外見で言えば、大学生ぐらいだろうが。成人....いや成魔?どっちにしろ、高校生じゃねぇだろ。
あの校長、ぜってぇリンの胸しか見てなかっただろ。
.....だとしてもわか....いやそういう考えは良くないか。胸の大きい人は大人...なんてのはもうこの時代にはないんだし。背の高い人だって....。
でも生物学的にわか.....。
...........康輔は考えることをやめた。
「で?リンさんも、こうにぃと同じぐらいなんでしょ?確かにスタイルはいいし、年上に見えるけど...」
「.....まぁそうだよ」
....氷華達には面倒になると思ってサキュバスだとは言ってなかったからなぁ....。「年齢は100歳を超えているんです」なんて伝えたら、人間じゃないのバレるし...。
......あの見た目だけど実はBBAだなんてことは....。
........なぜだか、自宅の方から殺気が漂ってきてるんだが....。
この話は考えないでおこう。サキュバスに殺されかねない。
てかあいつ心読みすぎだろ。もう戦闘に使えるレベルやん。
「ん?どうしたの」
「ああ、ちょっとな」
「じゃあ、私はこっちだから」
「ああ」
ん?
氷華が歩いて行った道の端を見ると看板が立てかけてあった。
<この先、穴があいています。ご迷惑おかけしますがこの道は使わないでください>
「.........」
氷華の後を追ってみると、ものの見事に穴に落ちていた。
こいつの不幸体質ほどじゃない不幸はなんなんだ一体。
「こうにぃ」
「なんだよ」
「助けてぇ」
その後、難なく助けて別れたのだった。
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