無慈悲な魔女

第14話 刺客

「あ〜楽しかったねぇ」

「そうね」

リンと萌音がすごく楽しそうに会話している。

「楽しかったのなら何よりだわ」

「でも今日ってバイトだったんでしょ？バイトしてなくない？」

「バイトならしただろ、主に萌音達が」

「「え？」」

2人ともきょとんとした顔でこっちを見てくる。

「そういや、鏡花の名前しか言ってなかったな。俺らのバイト内容は、鏡花のお世話だぞ」

「あ〜」

「なるほど」

2人は納得したようだ。

「........」

「........」

「ん？どうしたの2人とも」

萌音が頭を傾げた。

「なぁ、リン」

「ええ、わかっているわよ」

つけられている。1人から。

「ええ⁉︎」

「シー...」

「あ.....ごめんなさい」

萌音が急いで口を押さえる。

「多分、俺らが尾行に気づいたってのは相手も気付いただろう」

その上で、誘導されている。

「どうしましょうか」

「そりゃ決まってんだろ。萌音は無能力者で魔法も使えない。それに怪我をさせれわけにはいかないから、ここから逃さなきゃいけない」

「ええそうね」

「だから、リンは萌音を連れて逃げろ」

「ええ⁉︎こうにぃは？」

「そりゃ戦うに決まってんだろ」

「危険だよ‼︎」

「私もそう思うわ。敵が他にいないとも限らないし、康輔が逃した方がいいわよ」

「相手が何の能力者かわからない以上、俺が戦った方がいい。だって、リンって苦手な属性があるだろ？相手がその属性でしか防げなかったらどうすんだ」

「........すぐ向かうから」

「できれば家に待機して欲しいんだがなぁ....」

リンは俺の顔を見たあと、萌音を連れて消えた。

「さーてと」

俺は誘導されているフリをしながら、広くて戦いやすい場所に足を運ぶ。

ここなら隠れる場所もそんなないし、存分に戦えるかな。

俺は自身の学校である、極夜学園のグラウンドにやってきていた。

「誘い出されたのは私だったというわけか」

影から男が現れた。

「何者なんだよ。人様のこと尾行してさぁ」

「何者なのか....それはこっちが聞きたいね。君の他にも女性が2人いたはずだが、急に消えた。どういうことなのかな」

「聞いたことに答えて欲しいんだがねぇ....。でも俺を狙うってことはお前ら多分、始祖を信仰するもの....の仲間とかだろ」

「勘が鋭いじゃないか」

「もともと勘は鋭いものでな。それに魔法も付与しているし」

「その、魔法というのをリーダーは危険視したんだ」

「まぁ、お前らの能力者からしたら未知の力だろうからな」

引き出せる情報を引き出せるだけ引き出す。

「......よく私が能力者だと分かったな」

「そりゃ、お前らのような組織のリーダーが危険視した男を無能力者で対処しようとは考えないだろ」

「思考速度も速いのか」

「勉強だけが取り柄なもんでね」

まぁ、それもあるが魔法の力もでかい.....が言わないでおこう。手の内が明かされると面倒だからな。

「能力者には能力者で対処するのがセオリーだろう？」

「能力じゃねぇっての」

まぁ、先に攻撃仕掛けて様子を見るか。