第3話 アルミスト

「そういえば、Aランクがやばいってのは分かったけど...具体的にどんな能力があるのよ」

と、訓練が始まる前にリンが聞いてきた。

「う〜ん....例えば不死とか」

「不死⁉︎死なないってこと?」

「う〜ん....厳密に言えば、不老じゃないから寿命では死ぬんだけど、それ以外なら死なないね」

「確かに世界を滅ぼそうと思えば滅ぼせてもおかしくないわね」

「他にも、他の人間を自分の身代わりにする能力者、純粋なる反射ができる能力者。元素を操る能力者に、ルールを設けることができる能力者、世界を作れる能力者、遺伝を操る能力者とかいるよ」

「よく分からない単語もあったけど、とりあえず自分が理解できた能力と同等、それ以上ってことよね?.........意味はわからなくてもやばいってことはわかるわ」

と少し怯えていた。まぁ、誰だってそうなるだろう。

「あんたは......能力はないんだったわね」

ん?

「俺無能力って伝えた?」

確かにここにきた経緯とか、超能力とかは伝えたけど、自身の能力はいってないはずなんだが....。

「........あれ?違うの?」

「え?」

「だって魔法を覚えたいっていうものだからてっきり能力を持ってないのかなぁ....と」

「ああ、そういうことね」

なるほど.....。話してみてわかったが、リンは賢い。賢いリンならそれくらい予想はできるか。

「それじゃ、予定通り、身体強化系から教えていくわ」

「よろしく頼む」


「まず、クイック系の初歩的なのは、ただの「クイック」よ。ただし、スズキの場合は初歩じゃないわ」

とリンが教えてくれた。しかし、初歩じゃないとは一体...?

「初歩じゃないってどういうことだ?」

「2つの意味で初歩じゃないのよ。1つ目は、習得するまでにかかる期間が初歩の比じゃないこと。2つ目は、強化の度合いが初歩のそれじゃないこと」

もう少し詳しく知りたいな.....。

「あんたはアルミスト。つまり魔法使い....ましてや魔女になったとしても、その中で一番強いということになる」

「それはさっき聞いたさ。苦手なものがないとか......」

俺は思い出しながら言った。

「ええ。苦手なものがないってのは得意なものがないって意味でもあるの」

「どういうことだ?」

「要は、一般よりも習得にかかる時間が多いんだけど、それが全部の魔法で変わらないから、アルミストにとってはその長さが普通なの。だからアルミスト的に言えば、苦手なものがないの」

なるほど.....電気のやつと似てるな...。基本物体はプラスとマイナスを同じ数だけ持っていて、打ち消しあってるから、全体的には電気を帯びていないって感じと同じだと思えばいいのか。

「そして、初歩のそれじゃないってのは、そのままの意味。アルミストは習得までが遅いんだけど、習得してしまえば、こっちのもんよ?だって、身体強化なら、強化度合いが、攻撃系なら威力が、回復系なら治癒力が一般の10倍になるの」

「10⁈⁉︎⁉︎」

「ええ。しかも全魔法が通常の10倍だからね?」

「世界を滅せるって意味がわかったわ。それに3大魔女.....3人が1人にクイックをかけたら、それだけで通常の30倍......やべえな」

「でしょう?」

それから習得までの長い道のりが始まった。

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