第13話神域の魔法使い

国を持ち上げる日が来た


と言っても物理的にだがね


結局騎士団長はオスカーに根負けし、仕方ないと悲しそうにため息をついた


とは言っても国を持ち上げるのを片手で行うと色々と問題が生じることぐらいオスカーは熟知していた


────故に


久しぶりに古代の……神域の魔法を使う時が来た


ルーンに関する魔法よりもさらに前、北欧の物語になったあれのさらに前

それこそ神代のさらに前


1度滅びた文明の……神話にすら残せなかった彼らの魔法を使う


「『↑↑↓↓←→←→』」


……間違えた。多分これは別のコマンド


「『■■■■■■■■』」


腕の周りに四角と丸が浮び上がる。それらはたくさん引っ付いて離れてを繰り返す


その動作を繰り返しながらどんどんと膨れ上がる。

まるで生きているように、ゆっくりと増殖する


魔法式『■■■』


それらに私はコマンドを差し込む


『◇▽▽▽△△▽△▽◇』


国の境界線が黒い壁で覆われる。もちろんこの魔法式の効果だ


ただし、この魔法で作られた壁は他の人には見えない。

そうして壁は一瞬で国を完全に覆い尽くす


その後

『◇◇◇◇▽▽△△▽△▽』

新たなコマンドを挿入すると


国が浮き始める


まるで天空の城のようにゆっくりと


しかし、こんなことをすれば国民が気がついてしまうと誰もが思うだろう


だが、それを無視できるのがこの

古代の魔法式なのだ


この魔法の効果内に含まれているものは全て外で起きていることを認識できなくなり

その後に違和感が発生してしまった時

その違和感は懐かしいような不思議な記憶となって消えるというもの


つまりこの城が上に浮いているということをという感覚で終わらせられるわけだ。


──────それだけでは無い


この魔法は他にもいくつか効果があるのだが

この領域外のありとあらゆる生命、記録それら全ての記録を書き換えることができる


つまり、この国は初めから空に浮いていた。と認識を阻害し改ざんすることが可能なわけだ


何故そんな魔法を使える文明が滅びたのか?

それはもちろん

こんなものとは比べ物にならないほどの化け物魔法を作りすぎて対消滅したからに他ならない



私はひと仕事終えた感を出しつつ王子や騎士団長の元に戻る。


「?何か致しましたか……?」


誰も分からないのは当然である。


ちなみに先程の魔法をどうやって知ったかと言う話だが


昔の時代に戻りすぎたことがあったのだが、その時に偶然迷い込んだのだ


この魔法式の名は意訳するとテラフォーミングに近い物だ


大気の魔力を全て消し去り、その後異なる魔力で満たした時の余波


1種のめまいに近いそれを利用した魔法効果


圧倒的な文明殲滅能力なのだが、いかんせん使い道が限られてしまう


何故か?……まぁこれは私の失敗談なのだが


──────昔星にこれを試したことがあったが

やりすぎてな……というか止め方が分からなくて最終的にその星がブラックホールと化してしまったのがな……


まぁ今回はちゃんと停止コマンドを……おっとそうだ打たねば


「『◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇』」


これでよし。

私は人仕事終えたことを他の人に告げると


次はこの国のどこを改造しようか?と言いながら去っていった





その様子を見ていた女神は度肝を抜かれる


「いやいや!普通に侵略者!どう考えてもやってる事犯罪!まぁ……それでも私以外は気が付かないよね……」


オスカーは知らない。

女神はオスカーの能力の効果を受けない代わりに干渉できない状態だと言うことを


「はぁ……あの人を止められる人なんていない…………いや?待てよ……そうじゃんヒーローを呼ぶんだよ!……それかヒーローを作れば……たぶん彼も改心してくれる……よね?」


こうして、水面下でヒーロー召喚が行われたのだが


その結果は酷いものだった


ヒーローではなく異世界のヴィランを大量に呼び込んでしまったのだ

女神のドジで。



こうして始まったのは……異世界に呼ばれたヴィランと最強のヴィランによる戦い。



名づけるなら

『──────最強ヴィラン決定戦in異世界』だろうか?

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宇宙最強ヴィラン、平穏を求めて異世界に行く 皆月菜月 @Cataman

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