第二章 宿命

第12話 救急

 ロキが基地に辿り着くと、ちょうどライ達と出会でくわした。

「おっ!ロキが帰って……!おい、どうしたんだよ!!」

「よっ!……ちょっと……な……」


 ロキに挨拶しようと近づいてきたライだが、流れている血液を見て慌てて何が合ったかを問いただす。

「隊長、何が合ったのですか?」

「その前に医療テントに向かおう!」

「ロキ隊長、後で事情を話してください!」

 ライに遅れて近づいてきたネロ達もロキのケガを見て、心配しだした。


「心配……させて……」

「とりあえず、しゃべるな!背中に乗れ!」

 謝ろうとする言葉を遮ったライは、背中に乗るように言う。


「サイは、急いで司令官に伝えてきてくれ!」

「はい!」

「ネロは、医療テントに先に行って事情を伝えてきて欲しい!カイは後ろから支えてくれ!」

「了解です!」

「わかった!」

 そして、おのおのが急いで言われた事を行いにいった。


---------------------------

 医療テントに着くと、待機していた医療班のメンバーがロキの治療に取りかかる。

「ライ、ロキのケガは銃痕の可能性がある」

「そうなのか?」

「ああ!後ろから支えながら見ていたが、十中八九、銃痕だと思うんだ!」

「つまり、誰かに……!」

 ライが喋る途中で、サイと司令官の初老の男が向かって来た。


「ハァ、ハァ、ライ、ハァ、おま……お待たせ!ハァ」

「サンキューなサイ!お疲れちょっと休んでくれ」

「ハァ、ハァ、後お願い、ハァ」

 そう言って、司令官に敬礼を行い下がっていった。

「お忙しい所、申し訳ありません!司令官どの!」

「いや、かまわん!それで、状況は?」


 いつも軽口を叩いているライの硬い態度に、司令官は頷いてから尋ねた。

「は!今からおよそ六分ほど前に──」

 ロキと会った所から現在にかけての情報を伝えた。


「ふむ!湖の方角からか……!」

「そうであります!」

 ライと司令官が話しているうちに、ロキの治療が終わったのであった。


 治療テントから出てきた医療班の男が司令官を黙視で確認して、敬礼で挨拶をした。

「司令官どの、お疲れ様であります!」

「楽にしてくれ」

「は!」

「状況は?」

 短い質問にも関わらず、医療班の男は意図を察知して答える。


「至近距離からの銃によるケガと判明!幸い、弾は体内に滞在せず抜けている他、臓器への被害も無いため、血液が多量に流れるだけに留まり、命に別状はありません!」

「わかった、それでロキ第3隊長は?」

「は!現在、安静に休ませる事を推奨します!」

「わかった!では、目覚め次第司令塔に向かうよう連絡するように!下がってよろしい!」

「承りました!失礼するであります!」

 そう言って医療班の男は敬礼を行い去っていった。


「そういうわけだから、ライ第3副隊長はロキ第3隊長が目覚め次第、共に司令塔に来てくれ!それと……第3部隊はロキ第3隊長のケガが治るまで第9部隊と入れ代わりの任に着きなさい!」

「了解であります!」

 そうして司令官は去っていった。


               続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る