真世界シリーズの裏話:4(ミストリアンエイジ〝Cルート〟)

 〝あとがき反省会〟にするか〝真世界シリーズの裏話〟にするか〝創作苦労話〟にするかと迷ったのですが、丁度Cルートが終わったタイミングということで。今回のお話は主に、この〝Cルート〟に関するものですからね。


 ただ、後半は裏話とはあまり関係のない、愚痴となります。

 ご気分を害されましたら、ブラウザバックとブロックをどうぞ。


 毎回、こうした挨拶や前置きをしていると文字数ばかりが嵩みますので、さっそく本題に入らせていただきますね。


 ◇ ◇ ◇


 Cルートは犯罪者ルートということで、「主人公が殺人を犯し、監獄にブチ込まれる」という結末が最初から決定しておりました。これは〝幻のノベルゲーム版ミストリアンエイジ〟の頃から不変のシナリオとなっております。


 幻のノベルゲーム版ミストリアンエイジとすると、書く側も読む側もツライと思われますので、以後は〝マボノゲ版〟と略します。〝MNMA〟でもよかったのですが、アルファベットで略すのは、ここ数年で〝なんか嫌〟になったんですよね。



 さて、このマボノゲ版でCルートに入るには〝Fルートでエレナと別れてPルートへ入り、ミチアを孤児院へ預けた後に教会で数日を過ごし、最初のルート分岐でJルートに入り、戦士団の任務中にリーランドと出会い、Mルートのフラグを立てた後にランベルトスへ向かう〟ことが条件となっておりました。とてもややこしいですね。


 いわゆるガチなバッドエンドルートだったので、エンディングのみが存在する〝隠しルート〟扱いになっていたんですよね。さらにガースを殺害後、逃亡を図ればKルートへ派生し、そのまま捕縛されればCルートのエンディングが確定となっておりました。


 そして表向きのグッドエンドである〝Bルート〟に入るには、一度Cルートのエンディングを見ておく必要がありました。そしてBルートでCと同じ展開になった際、前回には無かった選択肢が現れる――といった具合です。



 このCルートで主人公がブチ込まれることになる〝闇の迷宮監獄〟なのですが、マボノゲ版ではかなりのホラー要素とメタなネタが大量に仕込まれている場所でして。


 先日投稿した小説版では描写を簡略化しましたが、実際に不気味な監獄内を、その時点での残り日数のあいだ自由に探索できるというものでした。


 また、ホラーが苦手な方のために、さっさと自害してエンディングだけを回収することもできる仕様です。


 ここで得られる情報は攻略そのものには関係なく、主に世界観の深堀りや、いわゆる〝大型掲示板〟を読むような〝メタい〟やり取りが見られるといった具合ですね。


 ここには〝生きた人間〟はおらず、残された遺体や資料、他のプレイヤーが持ち込んだものと思われる電子端末などを調べることにより、グッドエンドである〝Bルート〟やトゥルーエンドである〝Gルート〟へのヒントが得られるといったものです。


 これもホラーが苦手な方に配慮し、厳格な〝フラグ〟というわけではなく、プレイヤー自身が攻略上の知識として知っていれば、まとめてスルーできる仕様となっておりました。



 このように迷宮監獄は、マホノゲ版では〝探索してもしなくても良い場所〟なのですが、小説では何かしらの意味を持たさなければいけません。いっそのことカットすることも考えたのですが、そういうわけにもまいりません。


 延々とアインスを探索させ、脳内推理をさせることも考えたのですが、如何せん情報が足りません。それにアインス自身が気づいても、読者の皆さまに〝説明〟してもらう必要があります。



 ――はい、そこで登場したのが〝彼〟ですね。

 あのよくわからない人物です。


 彼の正体はいったい何なのか? おそらく今後の登場機会はありませんので、ネタバラシをしてしまいますと、彼は〝マボノゲ版の主人公〟です。


 マボノゲ版では主人公の名前は決まっておらず、自由に決めることができました。


 なぜそうなっているかというと、私が〝名前を変更できないゲームが嫌い〟だからですね。マボノゲ版でも小説版と同様、あの白い空間でミストリアに名前を訊ねられておりますが、あそこで〝名乗る〟と〝名乗らない〟を選択することができます。


 そこで〝名乗らない〟を選んだ場合に、主人公が勝手に〝アインス〟と名乗ることになるわけです。



 ですので、本来ならば監獄に居る彼は〝アインス〟ということになるのですが、それでは色々とややこしくなってしまいます。かといって名前が判明しなければ伏線なのかと思われてしまいますし、しかも〝名前が無い〟ということになれば、さらにややこしくなってしまいます。


 何せミストリアンエイジの物語は〝名も無き旅人〟が主役ですからね。間違ってはいないが間違っているという、おかしなことになるわけです。


 仕方がないので名前を付けるということにしても、何にするかが問題です。はじめは〝ミルぽん〟といったハンドルネーム的なものにしようかと思ったのですが、すでに似た名前の人物が登場しておりますからね。



 なので〝絶対に被らないもの〟ということで、私が昔のゲームで使っていた名前を付けることにいたしました。


 とはいえ名前だけですので、あれが〝私〟というわけではありません。ミストリアンクエストで登場しているヒロインの一人も、元は私が使っていたアバターの名前だったりします。だからといって贔屓するようなことはありませんからね。名前に困ったので流用したにすぎません。



 ええ、私は名前を決めるのが苦手なんですよ。これに関する苦労もございますので、また別の機会に語らせていただきたいと思います。


 プロットは割と簡単に思いつくのですが、毎回困るのが名前です。名前だけがいつも決まらず[主人公]や[勇者]といった代名詞で書き進めている始末です。



 話を戻しますが、マボノゲ版は小説版と違い、〝VRゲームがレトロゲーム扱いされるくらいに時代が進んだ近未来〟といった時代背景でした。


 主人公も〝ディストピアの労働者〟ではなく、ただの〝社畜〟でしたね。


 社畜の主人公は会社の帰り、たまたま寄ったレトロゲームショップで〝ミストリアンクエスト〟を買い、起動するとそこは本物の異世界のようにリアルなゲーム世界だった――といった感じです。



 はい、元々は〝本当にゲームの世界〟だったのです。当初は、次々とサ終するゲームを憂い、「サ終したゲームのNPCたちを救う」といったコンセプトでした。


 ――だったのですが、この10年の間、設定を煮詰めてゆくにつれ、それでは色々と無理があるなと。ゲームが現実の世界になる、といった展開には解決法を見出していたのですが、〝ゲーム〟だと別の問題が出てしまいますからね。


 そうです。所有権です。


 ゲームの世界である以上、所有権は創った会社にあります。それを無関係なユーザーが、勝手に復活させるのは無理があるなと。



 異世界ならば多少の無茶は許されますが、近未来とはいえ〝現実に近い世界〟だと、色々とツッコミを入れられてしまいますからね。


 「近未来の法律ではOKなんだよ」と説明を入れることも考えたのですが、おそらく首を傾げられてしまうでしょう。


 それにゲームである以上、外部からの維持が必要となります。ただの社畜の主人公に、数千年もの間それを賄える財力はありません。



 はい、ここから先が、愚痴ばかりになります。

 ご自衛をよろしくお願いします。



 ◇ ◇ ◇



 この「現実のルールや価値観と照らしあわされてしまう問題」は書き手としても非常に厄介で、YouTubeなどの辛口批評動画を観ていても、大半の〝クソポイント〟は〝登場人物らの常識や倫理観の欠如〟といった部分に集中します。私の〝創作苦労話・敬語の使えない主人公〟にも代表される要素ですね。


 少しでも曲がったことをすると、〝真面目な正義の味方〟からのツッコミが入ります。いまや創作世界の住人には、現実の政治家以上のクリーンさが求められるのです。クリーンな人物なんて存在しません。居るとすれば隔離施設で管理され、英才教育を受けてきたディストピアの新人類かなにかでしょう。



 そしてツッコミが入る要素の大半は、物語としてはどうでもいいような部分なんですけどね。それでもツッコミが入ります。


 そのせいで物語全体がクソ扱いされたり、作者への人格攻撃まで発展してしまう始末。まるで昔のPTAが、そこら中で監視の目を光らせているかのようです。いつからこんな感じになったんでしょうね。本当に息苦しい。


 ◇ ◇ ◇


 私が〝犯罪者ルート〟である〝Cルート〟に神経質になっていたのも、そういった部分が原因なのです。もちろん読み手へのトラウマ回避という理由もあるのですが、めんどくさいツッコミ回避というのが一番の理由です。


 しかも下世話なツッコミをする人は、物語全体を読まずにツッコミだけを入れてきますからね。まさに〝カク怖〟の時と同じ、〝単語しか見ない人〟なのです。


 あーだこーだと辛口批評を受けている作品も、物語全体を見れば筋が通っているものが大半です。もしくは最初から「そういう作品」だとわかるようになっています。


 長文タイトルなどがそうですね。長文タイトルが苦手な人が「タイトルが長すぎる」とツッコミを入れてくるようなものです。元々ターゲットではないでしょうし、極めて不毛だと言えます。



 多くの作者さまは、必要な展開として〝ちょっと曲がった部分〟を入れざるをえないのです。そうしなければ一本道の、なんの面白みもない話になることでしょう。


 じゃあツッコミを入れる人が、そういう平坦な一本道を読むのかといえば、おそらく読みはしないでしょう。ツッコミを入れられる別の作品を探しに行くだけです。


 ツッコミを入れることだけが楽しいのであって、読むことなんて二の次です。ツッコミポイントを探しているだけなのですから。ツッコミを入れる人は作品と作者を尊重せず、自分自身を主役にします。あえて言わずとも、正真正銘の荒らしです。


 こういう人に遭遇してしまうと、書き手としては作品を穢されるだけで大損なんですよね。読みもせず理解もせず、粗だけを上げ連ねてゆく。かといってコメントを消せば、それはそれで軋轢が生じる。本当にどうにかならないものか。


 ◇ ◇ ◇


 ――と、愚痴っぽくなってしまいましたので、この辺りで終わりにしたいと思います。カクヨムはつくづく人間関係なんだなと、改めて思い知った次第です。


 どうにかめげずに頑張ってまいります。

 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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