創作苦労話:改稿はツライよ

 これは一般論ではなく、あくまでも私の場合ということで。そしてツライからといって、やらないわけにはいかない――そんな悩みの話ですね。


 この文章を執筆しております現在、私はミストリアンクエストの第1章の改稿に、集中的に時間をまわしております。当初は〝第4章〟基準である、「台詞間に空白を入れるだけの簡単な作業」になる予定だったのですが、とても情けないことに、文章そのものの出来もよろしくないなと。結果として、エピソードの全面的な見直しを行なっている最中となっております。



 何度か申しあげておりますとおりミストリアンクエストという物語は、私の〝遺作〟とすべく、全力で執筆している作品です。私の遺作であり、私自身の墓でもある以上、生前の私が万全の状態に整えておかなければなりません。私には子孫も居らず、天涯孤独で死にゆく予定ですからね。誰も、私の墓の世話などしてくれません。


 ――とはいえ、その予定はまだまだ先になるですので、今はとにかく〝物語の先〟を書きたい。第1部の完結までは突っ走ってしまいたい。


 しかしミストリアンクエストをお読みいただき、広く認知いただくためには、とにかく入口となる〝第1章〟を綺麗に整備しなければ、せっかくおいでくださったお客さま(読者さま)にも、そっぽを向かれてしまうわけなんですよね。


 私の心境としても、最新話までついてきてくださっている読者さまにとっても、どんどん続きを投稿するのが得策だとは思うのですが、やはり〝第1章〟の中途半端な状態が、常に頭の片隅にこびりついているのです。第2章に至っては〝第4次改稿〟の途中で第1章へと折り返してしまったために、空白行なしになってしまいますからね。正直に言って現在の作品の状態は、とても酷いです。


 おそらく読者さまの中には、この改稿が済むまで読み進めないとお考えの方もおられるのではないかなと。そうなってしまうと、いくら第4章、第5章と投稿を進めても、ご興味を持っていただくどころか「もういいや」となってしまわれかねません。


 興味をなくされてしまう。書き手としては、これが本当にツライんですよね。

 遺作である以上、私の死後に読んでくださっても嬉しいのですが、出来れば私が生きているうちにお読みいただける方が圧倒的に嬉しいですから。




 さて、私は改稿のたびに〝第1章〟で難儀しているわけですが――この第1章、元々は1話あたり1万文字以上あったものを、web環境に合わせて小分けにしたものなんですよね。過去の近況ノートかどこかでも何度か触れたかと思いますが、私は当初web小説の作法をまったく知らず、一般的なラノベの単行本のように「ひとつの出来事あたりで1話」といった感じで分けておりました。


 当初の第1章は「10万文字を8話程度」に分けていたので、それはもう酷い有様でしたね。さらに第1話はweb小説で御法度とされる、禁断の〝ポエム〟です。


 これを〝第1次改稿〟として60話に分割したのですが、切り分ける際に物語の進行状況と文字数のバランス調整に難儀したり、前後の繋がりが不明になる際に小さな前文を追加したりと必死に改稿を行ない、最終的には12万文字になってしまいました。もちろん、ポエムは削りました。


 この〝第1次改稿〟の際には、まだ空白行がなく、一般的な書籍と同様の書き方を行なっておりました。これに空白行を加えようとしたものが、〝第4次改稿〟ですね。



 ちなみに第2次改稿はwebで好まれるよう「地の文の削減と会話文の追加」を行なったもの、第3次改稿は逆に「会話文が多すぎる問題」を解消すべく、地の文と会話文のバランスを全面的に見直した改稿ですね。


 一見すると迷走しているようにも思えますが、結果的にこれらの改稿は私自身の執筆スキルの向上という面において、とても勉強になった部分でもあります。



 そして第4次改稿にて空白行を追加する際、またしても大きな問題に直面し、やはり文章全体の見直しを余儀なくされることとなりました。


 元々、私の書き方は学生の頃から愛読しているミステリ小説の影響を強く受けており、地の文と会話が一文中に連続して含まれるといったことや、会話文の間に動作を示す地の文が含まれるなどといった書き方をしていたんですよね。


 これに単純に空白行を加えてしまうと、まるで意味のわからないブツ切りになってしまう。空白行は会話文と地の文を分けることが鉄則ですからね。元々一文中に両方が交じっているような、私の書き方との相性は最悪だったわけです。


 これをどうにか解消すべく、これまた必死に改稿を行ない、第2章の終盤近くまでの改稿を完了させることができました。――なのですが、ここでまた問題が生じてまいります。まさに〝創作苦労話:ダッシュ使いすぎ問題〟の発生です。


 しかしながら、とてもありがたいことに、これは自主企画を通じて素晴らしい師に巡りあえたことで「ダッシュに頼らず、尚且つ私自身の文章も崩さない書き方」を、早期に体得することができました。もう本当に、先生には感謝しかございません。



 これを踏まえ、さらにレベルアップした(つもりの)文章力を以って、再度〝第1章〟からの改稿に取り掛かる――これが、最近まで着手しておりました〝第5次改稿〟です。


 はい。〝最近まで〟です。

 現在は〝第6次改稿〟となっております。


 第6次改稿はミストリアンクエスト第4章の投稿を機に、試験的に「会話文同士の間にも空白行を入れてみた」ところ、どうもこちらの方が良いのではないかなと。そもそも、最初の空白行なしの段階から変更してしまうのならば、最初からこのようにしておくべきだったんですよね。


 そうして第1話から取り掛かった改稿なのですが――。

 やはり単純な空白の有無だけでなく、文章もよろしくないなと。


 具体的に何がダメかと申しますと、所々文章に〝誤魔化し〟が散見されるんですよね。マンガのキャラを描く時に、左眼が描けないので影や眼帯や前髪で隠す――みたいなことです。つまりは邪気眼発動です。


 自分で自分の文章を読んで、こうした誤魔化しに気づいてしまうくらいなので、おそらく読者さまにとっては、相当読みづらい思いをなさったのではないかと。とても申し訳ない気持ちです。



 あとは自分自身の執筆方法に変なルールを課してしまっていたことも、読みづらさが発生してしまった原因ではないかなと。


 例えば一文中に句読点は1つ、最大でも2つまでと決めていたせいで、あからさまに句読点が少ない。


 擬音を極力使わないようにしていたせいで、表現に無駄に文字数を喰われてしまう。具体的には電子音を表す際に「ピピッ」という擬音を使わず、〝声とも音とも知れぬ、彼らには聞き覚えのない甲高くも短い奇妙な音が、周囲の空間に響きわたった〟と表現するなど。


 同じ言葉や固有名詞を連続して使わないようにと決めていたせいで、苦しい誤魔化しに頼らざるを得ない言い回しになってしまった。


 また、無理に別の単語や言い回しへ変更することで、一回目に付けたふりがなが無駄になってしまい、結果的にふりがなが多くなってしまう――といった具合ですね。



 この〝変な自分ルール〟を一旦忘れ、自然体で執筆することで、かなり筆の進みがよくなった気もいたしますし、総合的には読みやすさの向上にも繋がったのではないかなと感じております。それが以前の表ノートに書いた、〝好きなように書く〟というやつですね。自分自身に課していた縛りを取っ払いました。


 他の作者さまの作品を拝読させていただいても、「この言い回しを気に入っておられるんだろうな」と感じることはありますが、「だからダメだ」とはなりませんからね。同じ単語がよく出てくるというのは多少の引っ掛かりの原因にもなりますが、「スルスルと読めても意味がわからない」よりは数倍マシです。こればかりは、今後も私自身が腕を磨く以外、解消する方法はないでしょう。精進いたします。




 さて、ここで肝心の〝第6次改稿〟の進捗状況なのですが、ようやく第11話まで来れたといった段階です。この辺りがとてもツライんですよね。


 ――と、申しますのも、この第11話から〝はじまりの遺跡〟イベント完了までの間は、元々は1話にまとまっていたのですが。それを無理矢理切り分けてしまったので、そのエピソードで必要な説明が本文中にない、逆に今必要ではない説明が無駄に入っているといったことが多々ありまして。


 かといって変にいじってしまうと、後々の第2章や第3章にまで悪影響を及ぼしてしまう――と、かなりデリケートな部分になってしまっているんですよね。



 特に、この第11話、「ただ遺跡に移動するだけ」なのでバッサリと切っても良いのですが、それをしてしまうと大変なことになってしまうのです。


 ……ええ、まさかここで登場する〝チョイ役の彼〟が後々の重要人物になるとは、当時の私は思いもしなかったんですよね。「まともな台詞は11話と12話しかないうえに、モブ同然の事務的な台詞のみ」ですからね。数少ない、読者さまに名前を呼んでいただけるキャラの一人になるとは大出世です。ちなみに第5章にて、彼にも出番が回ってくる予定です。第3章の〝あの場面〟が鍵になっております。



 いっそ最初から書き直してしまった方が早いのかもしれませんが、この〝第1章〟の雰囲気は、私が最初に第1章を書き始めた当時の感性でなければ再現できません。


 これを第4章の私が書き直してしまうと、まるで別物になってしまうのです。ミストリアンクエスト、平行世界はありませんからね。なので、どれだけツラくとも、頑張って修正せざるを得ないのです。




 はい、そんなわけでして、今後とも頑張って改稿を行なってまいります。

 こうして苦労話を書き出すことで、かなり気分が楽になりましたからね。


 元々あるものを修正するのはツライですが、書くこと自体は大好きですので、もちろん本編の投稿も進めてまいります。行き詰った際には単発スピンオフの投稿や、切れッ端などで気分転換を図るかもしれません。その際には、温かく見守っていただければ幸いです。


 それでは、今回も長文にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

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