第25話 大変だった

 私達は十階に行くまでに苦戦をした。

 全部話すととても長くなるので短くまとめよう。

 まず七……はとばしていいか。あまり変わらなかった。

 八は、大変だったなあ。 

 ヤギの大群がいたのだ。ヤギ単体ならなんとかできたと思う。攻撃力は高くないから。

 しかし、大群ともなると手こずるもので……

 最終的には階段まで全力で走って降りた。後ろから近づいたから足音達には緊張感があったのだが、なんとか逃げ切ることができたのだ。フロアを攻略しないと進めないとかではなくて良かった。


 次の九階には、トンボやバッタといった昆虫がいた。

 てっきりもふもふな動物だけ出てくるかと思っていたのにな。

 しかも大きかった。昆虫で、大きいって怖い。トンボは飛んでいて、いつどうやって襲ってくるのか分からなかった。

 バッタも地面でピョンピョンと飛んでいたし。トンボには私のスキルが届かなかった。

 私のはある程度距離が近くないと使えないのかもしれない。

 

 バッタの方には『止まれ』と言って動かないようにしたのだが。

 トンボは飛んだり降りてきたりを繰り返していたので、タイミングを見計らって通り抜けた。

 

 そして私達は二のボスと対面することとなったのだ。

 今、私達はそのボスの前にいる。


「でかい、ね」


 私はそれを見て言葉を発した。

 見て、最初に思ったのがそれだった。

 先程のネズミと同様……いや、まだ大きいかな。

 しかもそれが二体いる。

 この場合は匹ではなく、体が正しいだろう。


「そうだな」

「あれはなんなんですの?」

「さあ?」


 三人は返事をした。

 やはり知らないんだな。

 この世界にもいそうなのに。


 ちなみに、私達の前にいるボス。

 その二体も動物である。

 私の知っている限り、あの姿はおそらくウシとイノシシだ。

 よりによってなぜその二体が共にいるのだろう。

 

 攻撃力が高そう、というか速そうだ。

 さて、どうやって対処しようかな。

 

 そんなことを考えていると、イノシシが突進してきた。


「ぎ、ぎゃああー!」


 私は叫んで避けた。

 まあ、ヴォルフが避けてくれたのだが。

 ライオスとニコも無事避けれたようだ。

 

 猪突猛進という言葉があるが、その言葉通りに動いているな。前を見て突き進んでいる。当たっていたらどうなっていたか分からない。

 確実にケガをしていたということは分かる。ケガだけで終わっていたかは分からないけれどね。


 いやー避けれて良かった。

 良かったのだが、また来そうな気がする。

 それに、まだウシもいるし。


 先程は一体だけだったからマシだったのだなと、そう思う。

 だが、それでこそボス戦なのかな。

 まだボスと戦うのは二回目。

 

 慣れていないけれど、やるしかない。

 考えを巡らせて、最善を尽くす。

 それが今私にできることだ。


(絶対無事に次へ進んでやる!)

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