第13話竜の世界

僕はまたあの薄暗いバーにいた。

「よお兄弟、初陣は見事な勝利だったな」

僕そっくりのサタンはバーカウンターの向こうにいる。氷の入ったグラスに水を注ぐ。

サタンはグラスを持ち、それを僕の前に置く。そうすると不思議なことに水がぶどう酒に変化した。

お酒の苦手な僕は一口だけ飲んだ。

飛竜ワイバーンは竜の基本型だ。これからもっとおまえは力をつける。存分におまえの欲するものを手にいれるがいいさ」

その言葉のあと、サタンはあははっと高笑いする。



夢から覚めると僕は世羅が拠点としていたホテルの一室にいた。ベッドで寝ている僕の顔を世羅がのぞきこんでいる。

「おはようダーリン」

世羅は僕にキスをする。相変わらず冷たくて柔らかくて、最高に気持ちいい。


世羅の話では僕は丸一日眠っていたようだ。

「ほら見てよ、ダーリン。やっぱりあいつも持っていたわ」

世羅は僕に黒い美麗なカードを見せる。

それはウォラク、ザガン、ヴァヴラ、オリアス、アミーの五柱のディアボロスカードであった。

さらに滝沢詩音の友人である咲がナベリウスのディアボロスカードを持っていた。


獣王バルザックの元にいた女性たちは奴に精神支配の魔法をかけられていたようで、皆正気を取り戻した。

左眼寺の提案でこのホテルでかくまうことにした。ほかにも数人ほど繁華街で生き残りがいたので彼らもかくまうことになった。

世羅が面倒だと彼らを追い出そうとしたが、僕が毎日愛してると言うことを条件に納得させた。


獣王バルザックの配下であったあの金髪グラマーは名前をキャサリンと言い、月影財団のエージェントだと名乗った。

世界屈指の資産家である月影響子という人物がそのトップであるという。雪白市に由縁がある月影響子は封鎖都市の状況を調査すべくキャサリンを派遣したという。

その調査の途中でキャサリンは獣王バルザックに囚われ、配下になるように洗脳されたのだ。奴が死んだことにより、その魔法は完全に解けたようだ。

そしてキャサリンもディアボロスカードを所持していた。

彼女が持つのはグレモリーのカードであった。

僕の手元には十五枚のディアボロスカードがある。左眼寺のヴィネ、滝沢詩音のマルコキアス、咲のナベリウス、キャサリンのグレモリーを合計すると十九枚になる。

「この調子でコンプリートしようね。なんだかゲームみたいで楽しいわ」

僕がテーブルにカードを並べて見ていると世羅が後ろから抱きつく。

世羅はいつもいい匂いがする。

ずっと嗅いでいたいぐらいだ。

「そうだな、世羅。これからも力を貸してほしい」

「もちろんよ、ダーリンはわらわの善き伴侶なんだから」

後ろから世羅が僕の頬にキスをした。



世羅の拠点となるホテルと神宮町の一部分は完全に世羅の勢力下に入った。

この辺りは完全ではないけど魔物の出現がかなり減った。安全地帯が増えたと見ていいだろう。

左眼寺の提案で僕たちはファミリーを名乗ることになった。なんだかマフィアものみたいでかっこいい。

ファミリーネームは世羅の提案で竜の世界ドラゴンワールドとなった。世羅の世と僕の界人から一文字づつとり、ファミリーネームとした。

恥ずかしながら竜の世界のボスは僕がすることになった。

僕に世羅、左眼寺義時、滝沢詩音、藤原咲、キャサリン・グリーンウッドが最初のファミリーメンバーだ。

僕は彼らと共にディアボロスカードを集め、世界を変える戦いに身を投じる。

僕一人じゃあ絶対無理だけど、皆がいればなんとかなると思う。世羅を愛し、ファミリーを信じることが世界を変える力だと僕は思う。


「世羅愛してるよ」

僕が世羅を抱きしめ、キスをすると彼女は天使のような笑みを浮かべる。

「わらわもよダーリン」

僕たちはお互いをきつく抱きしめた。




★★★

世界を変える運命の恋中編コンテストに応募しています。中編なのでここでいったん完結させていただきます。よろしければ作品のフォロー、レビュー★などお願いします。


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半身を失った僕は吸血姫の伴侶となる 白鷺雨月 @sirasagiugethu

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