第7話 レベル0の……増えるスキル?

 ――――【スキル『スライム使い』を獲得しました。】


 あれ? また新しいスキルを獲得した?


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レベル:0/0

才能:無

魔力:999999

スキル:

魔力操作=315/99999

スライム使い=1/9999

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『美味しい~! ご主人様のご飯美味しい~!』


『イケメンやわ~』


『ご主人様~ご主人様~』


 スラちゃんたちは僕の魔力を食べると、全員が僕を「ご主人様」と呼ぶようになった。


 才能には『テイマー』というものがあって、魔物を使役できる才能で、成長するとドラゴンまで使役できるようになる大当たり才能だけど、レベルを上げるのが大変だという。


 テイマーじゃないのにスライム使いになれるのも不思議だな……。


「わ~い! 楽しい~!」


「「「楽しい~!」」」


 村の一角に集まったスライム風呂・・・・・・。そこに村の子供たちとリア姉、ソフィが跳ねて遊んでいる。まるでトランポリンのようだ。


 どうやらスライムたちは僕の魔力を食べて、ものすごい元気になったらしくて、『肌が綺麗になったわ~』とか『体の弾力が強くなったよ~』とか言っていて、試しにスライムたちをぎゅうぎゅう詰めにすると即席トランポリン場になった。


 これは僕がスライムたちにご飯をあげる代わりに、働いてもらうことになったからだ。


 スラちゃんたちも快諾し、いまは村の掃除、スライム風呂、子供たちの護衛、狩り、防衛、村のあらゆる出来事にスライムが加わるようになった。


 愛くるしい姿も大人気で子供たちに大好評だ。


 異世界なのもあって、子供たちも一所懸命に働いている。例えば、近場から水を運んできたり、料理用の木の枝を集めてきたり、風呂を沸かしたりと意外に多忙だ。


『ご主人様~猪倒してきた~』


 スラちゃんたちが子猪を大量に捕まえてきた。


 あはは……何もしなくても食糧が増えるのはありがたいね。


「セシルっ! ねえ! 聞いてる?」


「う、うん! 聞いてるよ?」


 スラちゃんたちに意識を奪われていると、リア姉がぷくっと怒る。


「魔力操作教えて! お願いっ!」


 スキルなしで魔力操作が使える僕に何かを思ったのか、リア姉も教えてと駄々をこねる。こういう姉さんは初めてで驚いた。


 ちなみに、リア姉は魔法系統の才能だけど、魔力操作のスキルはないみたい。


「僕の感覚だと、体の中にうねっている波みたいなものがあるんだ」


「体の中に……波?」


「うん。こう~うねうねって感じ~?」


 目を瞑ってう~う~と唸ったリア姉。何も変わらない。


「わかんなぃ……」


「ん~――――あ! これならどうかな」


 両手を合わせてその間に、僕が感じている波を魔力で形にする。


 イメージは柔らかい風。それを形にしたものだ。


「わあ~! 綺麗~」


「これが僕のイメージしてる波の形なんだ」


「うん! やってみるね!」


 そして、また集中し始めるリア姉。


 またう~う~と唸ったリア姉。


「あ~! 見えてあああ!」


 大きな目をパチッと開けた姉さんは、まっすぐに抱きついてきた。


「セシルっ! ありがとう~!」


「もう見えたの!? すごいね。リア姉のためになったんなら嬉しいよ」


「うん! なったよ! まだ操作はできないけど、これから練習頑張るね?」


「うん! リア姉がんばれ~」


「わ~い!」


 ――――【スキル『応援』を獲得しました。】


 また新しいスキルを手に入れた!?


 よくわからないけど、ひとまず『応援』というスキルをリア姉に使う。


 するとリア姉の体に赤いキラキラした光が包み込まれた。


 どうやらリア姉は気付かないみたい。僕にしか見えないのかな?


「なんだか急にもっとできる気がしてきたっ!」


 応援の力なのかはわからないけど、リア姉がやる気になったのならよかった。


 ついでにというか、みんなにも応援をかけに回った。


 どうやら人数制限はないみたいで、家族、村民、スラちゃんたちにもかけられた。


 スラちゃんたち…………多いと思っていたけど、二千匹もいたのね。


 その日から僕は毎日みんなに応援を使いつつ、魔力操作を使ってスラちゃんたちにご飯をあげながら、スラちゃんたちはせっせと働いてくれて村がどんどん潤い始めた。


 それが少しずつ――――いろんな歯車を狂わせて(?)いることに、僕は気付かなかった。

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