第26話 オトコは1000パー⚪︎⚪︎⚪︎の奴隷である。

「朱雀くん、すぐ病院に連れて行くからね」


私は、朱雀くんを背中におんぶして、

ドアに向かってよろよろ歩き始めた。


「逃すかああああああ!!」


郷田の大声が聞こえた。やばい奴が息を吹き返した。

ドアまでもう少しなのに。


ガチャガチャ。

しかしドアは開かなかった。


後ろから、はあはあと、臭くて湿った生暖かい息が肩に当たる。

振り返るのが怖かったけれど、私はせーので振り返った。


郷田はかなり怒っていた。そらそうだろう。



「真衣華ああああ、よくもこの俺様を馬鹿にしてくれたな」



さっきまで、ブヨブヨの体で、私の上で泣いてたくせに。

寂しがりやの妖怪くん。


「お遊びはおしまいだ、死にやがれ!」


そん時、私の口が勝手に話し始めた。


「真衣華、そのドアは押すんじゃない、引くんだ」


私は、慌ててドアを引いた。そしたら簡単に開いた。

ドアの、向こうは長い廊下だ。


♦︎あなたは誰、ドアが引くってなんだわかったの?


「あんたのおっちょこちょいは、あたいが一番知ってるからさ。

あたいはあんただから」


♦︎あなたミランダ?


「イエス」


私は、朱雀くんをおんぶしたままひたすら逃げた。


♦︎ミランダは、私のこと体から追い出すの?


「あたいらは一体、運命共同体だ、目的は一つ。

マッチョをメロメロにして天井から逆さに吊るして締め上げて恥ずい思いをさせることさ!」


♦︎ミランダ、なんてこと言うの。あなた変態??


逃げながら、

私は8分の6次元に実在した自分と喧嘩していた。


「真衣華、逃げる事ないぜ、私があんたのS &W M &P 9シールドで

あいつの眉間をぶち抜いたらすべてオッケーだろ」


♦︎ミランダ、もういいから、今は朱雀くんを病院に連れて行かなきゃ!


「そんな童貞ほっておきな!全てのオトコに愛なんてない、

オトコは1000パー、⚪︎⚪︎⚪︎の奴隷なんだ!」


♦︎朱雀くんは命の恩人よ、絶対助けなきゃ


「そういう問題ではないよ。ただ事実として、そいつ庇ってたら共倒れだ」


「ほら、捕まえたあ、真衣華よお!!ズタズタにしてやる」


♦︎まじやば♡


緊急事態を感知した私の体は、私のコントロールを離れて、

速やかに戦闘モードにチェンジした。


「0.03秒やる、それで十分だろ」

ミランダは言った。


♦︎オーケーミランダ。


私は、朱雀くん床に放り投げて、片手をついて体を横に回転させた。

郷田の斧は目標を失い、何もない空間を切り裂き、床にめり込む。


全てが永遠みたいだわ、スローモーションで時が流れている。


私は郷田の背後に回り込み、太ももに巻いたホルスターからS &W M &P 9シールド小型拳銃を取り出して、獲物を探して振り返った郷田の眉間を狙い余裕で引き金を引いた。


その時間、わずか0.03秒。


「かちり」


郷田は床に倒れ込む、その向こうに若い警官がいる。


私の拳銃は、不発だった。

郷田をしたとめたのは警官が撃った象でも倒せる麻酔銃。


かちゃん。


「出雲真衣華、殺人未遂で逮捕する」


私の両方の手首には手錠がはめられた。

その後、朱雀くんと郷田がどうなったのか、私には知るよしもない。

続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る