月? まあ綺麗ですね。で? ⦇長⦈

 こんにちは、たてごと♪ です。

 「勇者」が「盗賊」と同義で、〝盗賊は縛り首〟が習わしなんだったら、勇者も縛り首でよくね?


 ……はい(

 まーた寝沈んでます、ガチ冬眠ですねこれ(

 なんか外からの情報に、痛覚みたいのが生じるような状態でして。

 いくつかご反応いただいてるのに、なんもお返しできず申し訳なく、、

 さてそんななか、ふと見た満月が、れいだったわけですが。


 そう言えば、〝月がれいですね〟ということばがありましたね。


 英文学者だった某夏目そうせきちゃん()が、その門下生らに対して言ったやつです。

 英語の「I love you」の対訳を「我、君を愛す」などとしていたのに対して、〝それではちょくせつ的で、日本人らしい奥ゆかしさに欠ける〟として手本を見せた、と。

 そういういつなんですけれども、これって実は疑問視されてまして。

 それに関する記録が何ひとつ残されてない、というのが大きな理由だそうです。

 ただ、ちょっと考えるとこれ、仮にそれが残ってたとしても「その記録って本当に事実なのかや?」みたいに疑わしい話、だったりするんですね。


 だって言葉として、〝月がれいですね〟のどこに「I love you」の要素ある?

 無いでしょ。

 じゃあこんなん、ぜったい伝わらないでしょ。

 あらかじめ、「そういう言葉だ」って知らないかぎりはね。

 さすがにこんな「伝わらないことば」を、神経質で有名なあのセンセイが作るとは、ぜんっぜん思えないんですよ。 

 不自然不自然、すこぶる不自然。


 もし事実だったとしたらこれって、きっと「ここは文脈上の理由でこう訳しておくのがよい」みたいにいてたやつ、だったんじゃあないですかね。

 そしてそれを、またもや()どっかのヴァカが〝いかにも〟な話のネタとして、都合いいように独善的な切り取り方をしたんじゃないかと。

 なにしろ、「英文学の翻訳について教えていたとき」の話のはずですから。

 ぶんせき家気質とも評されるあのセンセイが、授業中にこんなことばり出してくる可能性とか、それ以外にはちょっと考えらんないんですよ。

 そうなると、愛の告白をしようって場合に、決まり文句として引用してくるには、この〝月がれいですね〟ということばはたぶん不適当、という事になるでしょう。


 ただそれ以上に、なんですよ。

 いやまあ、「有名人のことばあやる」というのにも、否定のしがたい魅力は有りますけどね。

 でもそれって、つまるところは権威主義ってものでしょう。

 そんでもってそうちゃん()ってあれ、大の権威ぎらいだったりするんですわ。

 権力者らはもちろん、富豪らまでに至るまで、なんらかの影響力を強く持ってるような存在を、メッチャ憎んでた人物なんですね。

 要は、あのセンセイをぶんだんの権威扱いするのはむしろ、ひどいじょくにあたるかもしらんわけですよ。

 なのでこのことばを、「高名な人の有りがたいことば」のつもりで便利に引用してまわるのは、お控えになられたほうがよろしいかとおもいます、


 少しでも敬意を持ち合わせているなら、〝そうせきは うえかざらず かたならべ〟ですわ。


 つーかもそも、「説明なしには伝わらないことばを説明なしに多用する」というのは、「それを知らない人を見下す」というのとセットで、低能の考え方。

 そう言える理由は、「言葉とは伝達をするもの」ゆえに、それに逆行した考え方をするぶんだけコミュニケーション能力が低下するから、ですね。

 ま、ぼくもだいぶあやしいですが()、恥はふりかないように気をつけたいところです。



     †



 そーいや権威ぎらいが高じて、せっつかれまくってた()とか、そんないつまで聞かれますけども。

 その権威ぎらいを決定づけたのってもしかしてコイツかなー、っていうのが森おうがい

 同じく文豪と呼ばれたりする人物ですね。


 そうちゃん()、いろいろあって病んだ状態で、ロンドンに飛ばされて。

 当時には旅行の概念なんか無くって、それどころか旅客飛行機も有りませんで、船しか無いから渡航にはウン十日も掛かる。

 つまり、わたる自体が一世一代の大仕事、みたいな感覚だったわけですね。

 その心労にくわえて、当地での生活のストレスもって、とことんノイローゼにさいなまれたと。

 そんな地獄のような留学生活だった、というのは有名な話でしょうけども、それでしょうすいきわまって、やっとの思いで帰国したところへ、こうですよ。

 〝お国のおための留学だというに、病みつぶれておめおめもどってくるとは、なんたる非国民‼〟、と。

 そんなふうに盛大にののしって、以降それっきり、っていうのがこのおうがいという男なんですね。

 いや開いた口がふさがりませんわ、こんなん。

 やまいに苦しめられてへいしきって、うように帰ってきた相手にですよ、ほんとあり得ないでしょう。

 精神ぶっ壊れますって。


 このおうがいがつまりおエラいさんで、最高権威の陸軍軍医だったわけですけれども、これがまた、ね。

 白米食という当時の「あこがれに固執」するあまり、これを危険視する栄養学の「ぶんけんを次々握りつぶした」あげく、「3万人以上もの軍兵をかっで死に至らしめた」、と。

 そういう、とんでもない事をやりやがったんですわ。

 ウソみたいですがガチ史実です、3万人ですよ3万人。

 東日本大震災よりも被害でかいですよ。

 それも貴重な、訓練された軍兵らがバタバタ無駄死にしたわけで。

 その損害といったら、国家的ダメージと言って過言じゃないでしょうし、戦わずして死した兵隊さんたちだって、あまりの無念にえなかったことでしょう。

 それで悲嘆に暮れさせられた遺族だって、大勢いたんじゃないですか。

 いやさ、いったい何やってるのよこれ、テロってレベルすら超えてねえかや。

 なんだよぶんけん握りつぶしって。

 医師、それも軍医の分際が、やっていい事じゃねえでしょうがよ。

 どこへ行った『ヒポクラテスのちかい』、マジでどっちが非国民なんよ。

 っていう。


 しかもこの人、医学を学ぶためにドイツ留学も、してるんですが。

 その成果がそんな大惨事なのかよ、というツッコミはもとより。

 そこで女作って子まではらませときながら、「名誉にひびく」とかいう理由でポイ捨てして、さらに後日それをネタに小説書いて、美談化までしたりとか。

 あまつさえ、後年に日本まで単身追いかけてきた彼女を、れいこくにも顔すら見せぬまま追い返したどころか、この事までをも別の短編のネタにしたとか、もうね。

 サイッテーです。

 てかこれ、〝自らの悪行を「近代的自我による苦悩」のように描いた作家〟とか評されとりますがな。


 ◦『名著入門 #1‐平田オリザ│AERA dot.』

  https://dot.asahi.com/articles/-/12443


 ひでえわ、虚飾まみれ。

 これ、もはや「絵に描いたようなド鬼畜」としか、言いようが無くないですか。

 まさに「むなくそ」、そこまでの大悪党が本当に存在してたんですか、ってくらいの。

 公的観点でも私的観点でも、とてもかばえたものじゃあない。

 いや、いろいろ文章書いてて、それなりに評価はされてるようですがね。

 正直ですわ、そんなもん。


 というかそういう作品を、実在の他者をさんざん踏み付けにして出来た作品を認めてしまうのは、やっぱり「倫理的に問題がある」と言わざるを得ないでしょう。

 とにかく結果させ出せればよい、という「手段不問主義マキャベリズム」を当然に招く、と予想されるからです。

 もちろんおうがいをそうさせたうっくつなどもあったのでしょうし、才能だってそれ自体は評価されてしかるべきなんでしょうけど、問題はそこじゃあないわけですね。


 〝もりおうがい こころなかで ふんしょです〟(


 文通や贈答品の贈り合いなどはあったみたいですけど、わりと近い距離にいたのに顔を合わせてないわけですから、それを交流と呼べるのかは疑問が残るところ。

 のちにそうちゃん()の葬式にだけは顔出したそうですが、これってご遺族的には、どうだったんでしょうね。

 こうまで虚飾を並べられるとさすがに、「それポーズじゃね?」とか「自分がラクになりたかっただけじゃね?」みたいに、邪推するしかできないんですけども。

 いやぁぼくもまあね、もともと権威は大っきらいなんですがね。

 こんな人物がもし身近にいたとしたら、教会から聖水を大量に取り寄せて「じょうじょうァ!」とか叫びながらそいつにたま浴びせまくってるやもしらぬ(


 余談ですが旧千円札、あれってそうちゃん()のしょうぞうでしたけど、権威ぎらいのあの人としてはそんな扱い、噴飯ものじゃなかったんですかね。

 で、現千円札は野口英世のしょうぞうですが、ヤツもまたおうがい並みのクソい虚飾家で、偉人と呼べるような功績なんか何ひとつ無かったそうで。

 かつ新千円札のしょうぞう、某北里しばさぶろうっち()が、悪人ではないものの大層な性豪で、水揚げ競争()だの愛人と心中未遂だのと、恥ずかしいいつばっかりだったと。

 いやこれもう、日本の千円札は一体どうなっとるんだと(



     †



 ともあれ、その暴言でもってそうちゃん()、いよいよ病みも極まりまして。

 そんな状態に追い込まれた反動か、ここから執筆始めて10年ほどで数々の名作を産み出しつづける、とかいう激ヤバコースを辿たどってくんですけども。

 果たしてこれ、幸せな人生だったんでしょうか。

 おそらくそれらの作品には、どれも世への恨み節が込められていて、ただしそのたぐまれなる文章力のせいでとてもれいに、分厚いオブラートで包まれてしまっている。

 そんなふうにも感じ取れるんですが、なんと言うかまあ……。

 る瀬ないですね、、


 だからせめて、ぞうの墓の中では安らかに、とは思うわけですが──



 月?

 まあれいですね。


 で?



 ──いやもし、この事をもって〝そうせきが功績をのこせたのはおうがいのおかげ〟とか言ってくれる人がいたら有りがたく、心の中でのふんしょまきにさせていただくのですが(

 ともすれば、〝功績さえのこせれば〟って考え方は本当に、どうなんでしょうね。

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