男装女子はお嫌い?

夕日ゆうや

友達

「ボクと一緒にいるの、裕太ゆうたくらいだよ」

 そこにはすらっとした美青年がいた。

 高校の制服に身を包み、ズボンがぴったりな人。

 すらっとした身体つき。足が長く、顔は中性的。

「なに言ってんだ。別に冬羽とわは変じゃないだろ」

「あははは。裕太は変だね。ボクのこと気持ち悪く思う人もいるのに」

 そう彼は一つの趣味を抱えていた。

「男装女子なんて今どき流行らないっというのも分かっているって」

「そんなことないぞ。ネット界隈ではむしろご褒美だ」

 俺はそう言うと、周囲を見やる。

 ひそひそと話しているクラスメイトも多い。

「にしても、この学校はいいな。男女ともに服装を選べるなんて」

「ボクもそれが目当てで入学したようなものだし」

 この高校はスカートとズボンを選択できるのだ。

「筋金入りだな。お前の男装は」

「まあね。これが生きがいだし」

 クスクスと笑みを零す冬羽。

「あの冬羽さん」

「なに?」

「きゃー! かっこいい」

 話しかけてきた女子が嬉しそうにしている。

「わたし、花園はなぞの詠歌えいか。よろしくね!」

「ほら。ここにもいるじゃないか、友達が」

「そう、だね……。ありがとう、裕太」

 なんだか、ちょっと浮かない顔をしているが、どうしたのだろう。

「ふたりきっりの時間が……」

 小さくうめく冬羽。

 すぐに顔色を変えて、詠歌を見やる冬羽。


 二人はすぐに友達になれそうだな。


 俺のこのドキドキは隠すべきだね。

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