第6話 みるくの対抗心?
「――というかさ、あんただけで連れて行くとか不安すぎるから、ウチも一緒について行ってあげるよ」
「ええ!?」
「何さ〜? 何か問題でもある?」
「な、無い……」
こういう時の腐れ縁は頼もしくもあるし、厄介でもあるから下手なことは言えない。
とはいえ、オレとみるくの二人だけでみるくの教室に行ったらそれはそれで色々言われそうなことを考えれば、付き添いの女子がいてくれるのは正直助かる。
そもそも肝心のみるくにしても、
「ところでみるくの教室は――」
「うん、連れて行って」
「……だよねえ」
みるくはやっぱりオレを頼りにしてる。でもオレはその教室が分からない。
「そういうわけだから……、頼むよ、みけ」
「それはいいけど、あんたもついて来る意味無くない?」
「いや、だから」
「……はいはい、じゃあ黙ってついて来ること。その子の為にもあんたも場所覚えなよ?」
「そうする。多分これからも続くだろうし」
オレの言葉に三池は驚きの表情を見せているが、みるくのことだから今回だけで済むとは到底思えないのが分かってしまう。
「……ともくん」
「うん?」
「この子はどうして一緒なの?」
まあ訊いてくるよな。オレがみるくの教室を知らないばかりに案内を頼まざるをえないという何とも言えない問題だし。
「ウチは三池舞です〜! えっと、ウチはこの男の子の監視役みたいなものなんだ〜」
きちんと自己紹介はするんだな。
しかし、
「ともくん、何かしたの?」
――といった感じで、みるくはオレしか見えていないみたいに三池に対してのリアクションが無い。
みるくがいくら何も出来ない子だとしても、他の女子相手に普通の対応くらいは出来ると思うんだが。
華麗にスルーされた三池も戸惑いを隠しきれていないようで、オレの顔を見ている。
「オレは何もしてないよ。そうじゃなくて冗談なんだよ。一緒にいる彼女はオレと同じクラスの女子だから、慣れてるってだけだよ」
何で言い訳みたいになっているのやら。
「監視されるようなことをともくんがしてる?」
「してないよ」
「……そうなの?」
そうだよな?
といった感じで三池を見るも、さぁ? という風にして視線を外されてしまった。
みるくには疑われ、三池にはスルーされるとか、誰も味方がいないとかキツイぞこれは。
そもそもみるくの教室がどこなのかも分からないままついて行っているだけでも不安なのに。
早くみるくを送り届けたいんだけど。
「舞は、ともくんとはどんな関係?」
この質問はオレにじゃなくて三池に放ってるよな?
見えてなかったわけでもスルーしてたわけでもなかったんだな。
しかも初対面で下の名前呼びとか、これはもしかしなくてもみるくの心の何かに火をつけたのか?
「えっ? えーと……」
「教えて」
戻ってきた幼なじみが経験ゼロっぽいので、オレが何もかも教えることにしました。 遥 かずら @hkz7
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。戻ってきた幼なじみが経験ゼロっぽいので、オレが何もかも教えることにしました。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます