ばか銀行始末記

@kabutociti

第1話 1995年 ふ号作戦

平成7年(1995年)の秋、バカ銀行大本営(企画部)は、ご公儀(大蔵省)より不良債権の新たな開示を求められた。しかし不良債権は増えつづけ、企業破綻の増加とともに延滞貸出の急増に悩んでいた。そこで大本営は密かに不良債権隠しを画策し、資金証券部内に秘密部隊を創設する。この部隊は、デリバティブチームと呼ばれた。その部隊が平成7年から平成8年の冬に実行した作戦がふ号作戦である。この作戦は、延滞する貸出を期日一括回収の貸出に利息とともに振り替え、

(バルーンという)金利スワップをつけて、延滞貸出からはずすものである。

この作戦は帳簿上の不良債権額を約1兆円以上減らす(見かけ上は)という、画期的な戦果をもたらした。これは、胃がんをポリープと言い換えるようなもので、本来の不良債権の額は変わらず、内実は何一つ改善してなかった。

この奮戦もあったが、時すでに遅く約2年後(1997年秋)には焦土での敗戦を迎えることとなる。力及ばず、返す返すも無念である。


・追伸、ふ号作戦とは1995.11から1996.2にかけてバカ銀行の不良債権飛ばしとの方法として、金利オプションなどを駆使して遂行した作戦である。バルーンとは 半期ごとの固定(変動)金利受け&最終期日一括変動(固定)払いの円金利スワップで これを不良債権を買い取らせた幽霊会社に融資と合わせて実行すると、あら不思議、キャッシュフローも正常な正常債権と化ける。しかし、100億円とか儲けても2兆円とかコゲついているのではいかんともしがたい。

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