第13話

「美嘉はいつ見ても可愛いし、綺麗だね」

「悟君、そんなこと褒めても美嘉からはハグとチューしか出ないよ」

「それで十分だよ」


 自分でも分かるくらいの笑顔で美嘉は悟君を抱きしめてチューした。悟君も受け止めてくれて互いの唾液を交換し合い、舌を絡め、悟君の口の中を美嘉に染め上げてから放した。


「悟君、幸せ?」

「うん、幸せだよ。美嘉と一緒にいれるだけで良い」

「えへへ、美嘉も悟君がいるだけで良い。悟君以外なぁーんにもいらない。悟君、大好きだよ、ずっと一緒だからね」

「うん。僕も大好きだよ。一緒にいよう」


 悟君の方からギューしてくれたから、美嘉も精一杯、思いが伝わるように抱きしめた。えへへ、本当に幸せ。悟君とこんな甘々で蕩けそうな日々を送れるなんて。ずっとこのままが続けばいいなぁ。


「悟君、こっちおいで」

「うん」


 ベッドに二人で寝転び、互いの顔を見合う。自然と唇を近づけて軽いキスをする。


「もう我慢できないかも」

「いいよ、しよっか」


 私は悟君の下半身に手を伸ばし、そこからは..............



 



「気持ちよかったよ、美嘉。ありがとね」

「美嘉にはこれくらいしかできないから」

「そんなことないよ。美嘉は可愛くて他人の事を考えられる立派な人だから。そんな風に思わないで」

「えへへ、ありがとう。悟君」


 お互い全裸の状態で体を密着させ、微笑み合う。


 あぁ..............幸せ。


 私と悟君はそのまま一緒にベッドで眠り..............



「悟君!!!」


 起きると隣には悟君はいなかった。部屋のどこを探してもいなかった。ただぐちゃぐちゃになった部屋のみが残った。


 悟君は..............そうだ、悟君は..............悟君は..............。


 悟君は..............死んだ。


 そう理解した瞬間、体から胃液がこみあげ猛烈な不快感に襲われて急いで洗面台まで行きゲロを吐き出した。吐いた後特有のツンとした胃液の匂いがして更に不快になる。


 体から力が抜け、その場に座り込んだ。


 なんでなの、悟君。


 なんで美嘉を置いて行っちゃうの?美嘉と悟君はずっと一緒じゃなきゃダメなのに、悟君は私の悟君なのに。


「悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君、悟君」


 悟君、どうして?私は悟君なしじゃ生きていけないの分かってるよね?悟君がいないと寂しくて生きていけないんだよ?悟君が居なきゃなぁーんにもできないの分かってるよね?悟君がいるから頑張れてたんだよ?悟君がすべてなんだよ?悟君以外いらないんだよ?悟君しか私の世界にはいないの。


「悟君、寂しいよ」


 凍えて死んじゃいそう。早く、美嘉を抱きしめて暖めてよ。ギューって優しくしてよ。キスもしてくれたら嬉しいな。美嘉、それだけで幸せ。


 悟君、ほんとは生きてるんでしょ?ドッキリだったするのかな?そうだよね、そうに違いないもん。悟君はいっつも美嘉に優しくしてくれるもんね。これも美嘉を喜ばせるためにこっそり何かしてくれてるんだもんね。でも流石にやりすぎたと思うなぁ。悟君が嘘でも死んじゃったら美嘉、おかしくなっちゃうからあんまりそういうのはしないで欲しいかも。


 だから、はやく美嘉の所に来てよ。ねぇ、悟君、早く。もぅ、仕方がないなぁ。これだけ待たせてると出ずらいよね。仕方ないから、部屋のベッドで美嘉は寝てるからこっそり入って来てね。一緒に寝よ?それで許してあげる。


 震える足を何とか抑えて立ち、壁を支えにしながら何とか自分の部屋まで辿り着きベッドに横たわる。


 ねぇ、悟君。早く来てよ。


 早く私をタスケテ。


 


 


 


 


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