メモリーはカプセルの中に

蓮蠱

第1話 再開の記憶

桜の花びらが風に舞い散る春の日。青空町の小さな公園に、橘太郎(たちばなたろう)がいる。太郎は友達と一緒に元気に鬼ごっこをしていました。公園は子供たちの笑顔とはしゃぎ声で溢れ、楽しいひとときが続いています。


しかし、太郎の視点が特定の少女に向けられます。その少女は他の子供たちとは一線を画し、どこか謎めいた存在でした。太郎の目には、彼女に対する特別な感情が芽生えていました。その姿にはもやがかかり顔がはっきりとしていなかった。

「ねぇ君も一緒にあそぼうよ」

1人でたつその少女に声をかける。

「あなたは誰?」

少女は質問を返してくる。

「太郎だよ」

「太郎。いい名前ね。それじゃぁ」

少女はどこかにいなくなろうとする。

「まって」

少女に手を伸ばそうとすると黒闇に空間の中にはいっていた。

少女はだんだんと身長がのびていき、制服姿に変化する。

「君はいったい」


太郎が目を覚ました。彼は高校生になっていました。太郎はベッドから起き上がり、部屋の中を見回します。彼の部屋は成長した証拠でいっぱいだった。まるで、さっき見た少女に合わせて成長したようだ。


太郎は鏡の前に立ち、自分の顔を見つめます。太郎はさっきまでのものは夢だったと実感する。しかし、夢でみた少女を知らない。だから、現実になった今も彼女を思うこの感情がどこから来ているのかを理解できませんでした。


「おはよ!!」

扉が開き制服着た女性が飛び込んでくる。それを受け止める太郎。彼女の名は白井結衣(しらいゆい)。家が近所の幼馴染である。

「だ、か、ら。起こしにくんなって」

「いいじゃん。ほらっささと学校行くよ」

「まだはえーだろ」

ほぼ毎日同じやりとりをする二人。まだ登校時間にしては相当早い時間帯に起こしに来るのである。

「今日は?」

「もらおうかな」

「食べていく!」

 結衣は太郎の家で朝食をとることを告げた。

 太郎は結局夢の中でみた少女については特に思いだすことなく日常を過ごす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

メモリーはカプセルの中に 蓮蠱 @rusiruhu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る