第14話暇なプロも居たもんだな
人の温もりある料理に涙しそうになりながらご飯を食べた夏樹は、ようやく今の状況に慣れてきたのか本当に今更ながらになるが、気になっていたことを真白に質問した。
「あ、あの……」
「はい、どうかしましたか?」
「ま、真白さんはどうして自分を家に呼んだんですか?い、いや、呼ばれたからってホイホイ着いてきちゃった自分が言うのも何ですけど、女性が見知らぬ男性を自分の家に迎え入れるのは危なくないですか?そ、その特に真白さんは綺麗な方ですし……」
所々言葉に詰まりながらもそう質問すると、質問された真白は少し首を傾げてから答えた
「あの、夏樹さんと私ってクラスメイトですよね?違ってましたっけ?」
「………………あ、あってます。」
「ですよね!びっくりさせないでくださいよ〜」
「い、いやあの、じ自分みたいな部屋の角に溜まってるホコリみたいな存在が真白さんに認識されてるとは思ってなかったので……。そ、それに先日は気づいてなかったので……」
「あ〜それはごめんね。この前は真昼が居なくなって焦ってて、実は家に帰ってからクラスメイトだって事に気づいて、クラスメイトを誘拐犯と勘違いしたのは流石にまずいなって思って、出来ればお礼とお詫びをしたかったんだよね」
「そ、そうだったんですね……」
ま、まさか本当に俺みたいな奴が真白さんに認識されてるとは……。
と言うか多分クラスメイトの中で俺の事をしっかり認識してる人物は珍しいぞ?
普通にちょくちょく大会とかその他の用事で学校サボっても、特に誰にも何か言われたことないし。
そんな訳でその後も真白と2人で軽く世間話をしていると、話題はいつの間にかゲームの話題になっていた。
「そう言えばさっきまで真昼と一緒にゲームで遊んでくれてたけど、どうだった?私ゲームあんまり強く無くて真昼は私と一緒にゲームやると面白くなさそうなんだけど……」
「え、えっと……それは多分真白さんが弱いんじゃ無くて、真昼ちゃんが強いだけだと思うよ。この前も、ゲームセンターの格ゲーで、大人相手に9連勝してたらしいし……」
「え!真昼そんなにゲーム強かったの!?」
「う、うん。多分このまましっかり練習していけばプロにもなれると思うよ?」
「真昼がゲームのプロ!?」
「う、うん。技術面はまだまだだけど、反射神経とゲームセンスはピカイチだから、技術さえ覚えれば行けると思う……」
「そ、そうなんだ……」
それを聞いて驚いた顔をした真白を見て、夏樹はハッとした。
俺は素人相手に何の話をしてるんだ!真白さんがこんな話聞いた所で全然面白くもないと思うし、それに可愛い妹をゲームのプロみたいな安定しない職業には付かせたくないだろ!
いや、まずゲームのプロって言う職業があるのすら知らないのでは?
そもそもゲームにプロがあるのすら知らないのでは?
そんな事を1人悶々と考え込んでいると、真白が大声で叫んだ。
「それって凄くないですか!」
「っ!?あ、えっと……?」
「だってプロですよ!」
「う、うん。」
「あ、ごめんなさい……。ちょっと熱くなっちゃって」
「い、いえ……そのもしかして真白さんも結構ゲームってしたりする人なんですか?そのてっきり自分真白さんみたいな人は、ゲームとか全然してるイメージなかったんですけど?」
「えーっと、今までものんびりとしたゲームはやってたんですけど、最近友達に誘われてFPSゲームをやり始めまして……」
「そ、そうなんですね」
「それで……ちょっとした縁があってプロの方に教えてもらえる事になったんです」
「な、なるほどプロの人に……………………ってプロの人に教えてもらえる様になった!?!?!?!?!?」
「わっ!」
「あ、すいません……」
あまりにもびっくりした夏樹は、普段出さない様な大声を上げて驚いてしまった。
「で、でもすごいですね……そのプロの人に教えてもらえるって」
「そうなんです!それも私がめちゃくちゃ初心者だから最初は、初心者は教えられないって断られると思ってたら、わざわざ私の為に初心者の練習したらいい所なんかを集中的に教えてくれたんです!」
「そ、それはすごいですね。」
もしかしてそのプロの人は真白さんとは顔見知りの友人か、真白さんの事が好きな人なのかな?
でも無ければ流石に初心者相手にそんな懇切丁寧に教えないよな?
それともあれかな?特に実績のないプロの人かな?
「あ、でもその人の事は自分も見習いたいですね。最近自分も知り合いの初心者の子にゲームを教える事になったんですけど、自分ゲームって全般的に感覚でどうにか出来ちゃうタイプ何で、どう教えればいいのか難しいんですよね」
「え!夏樹さんもゲーム教えてるんですか?」
「ま、まぁ流石に真白さんが教えてもらってる様なプロの人には負けますけど、ゲームはそこそこ出来るので……」
「いいなぁ〜ゲーム出来る人って!」
「ははは、」
そんな訳でその後も軽くゲームの話をしたところで、そろそろ限界が来た話を区切り夏樹は椅子から立ち上がると、荷物を持って玄関まで移動した。
「そ、それでは本日はありがとうございました。ハンバーグすごく美味しかったです」
「なつきぃ〜もう帰るの?」
「ご、ごめんね……」
「ううん!なっきぃ〜!また遊ぼうね!」
「そ、そうだね。また機会があったらね」
「この前は真昼を見つけてくださってありがとうございます。それと焦っていたからってあんなことしてしまって、本当にごめんなさい」
「い、いや……アレは怪しい挙動してた自分も悪いので……本当に大丈夫です。そ、それにそのおかげで美味しいハンバーグを食べれたので、じ自分的には逆にラッキーみたいな?そ、そんな訳で!それじゃあ!」
そう言うと本格的に限界になった夏樹は、頭を下げると急いで玄関の扉を開くと急いで天童寺家を後にした。
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